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徒然日記 ~2023/03/20~

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結果的に尊氏アニメデビュー。

 

アニメ版『まんが日本史』に登場しているとはいえ、実質的には本作が足利尊氏が登場する初の本格アニメになると思われます。他に先例があるとの情報をお持ちの方は御教授頂けると嬉しい。尊氏スキーとして見逃せないので。勿論、作品のアニメ化自体も喜ばしいかぎり。正直、連載が始まった当時は目のつけ所がニッチ過ぎたので、中先代の乱辺りで俺たちの戦いはこれからだエンドを迎えるんじゃあないかと危惧していたのもいい思い出です。あ、時行は種崎敦美さんでオネシャス。ラスボスは友人が挙げていた最有力候補が【大人の事情です】で投入が難しくなってしまったので、ここは一つ原点回帰の意味も含めて、

 

足利尊氏……CV:真田広之

 

でどうでしょう? 御自身が出演した海外ドラマで本人が吹き替えやっている作品を見たことあるけど、フツーに上手いから大丈夫大丈夫。尚、予算【略】

今回の話題は2つ。来週再来週は決算業務で更新出来ないかも知れないので、そこそこ力を入れた内容になっていると思います。

まずはこれ。

 

 

 

武田信玄「猫は嫌いではない。寝たい時に寝て、起きたい時に起きる。あやかりたいものじゃ……非礼はお詫び致す。堅苦しいのは好きではござらぬでなぁ。このように肩肘張らずに会ったほうが相手のことをよく判るというもの……今川領駿河と遠江、駿河から我らが、遠江からは其方が互いに切り取り次第で如何か? ようござるな?」

徳川家康「」

 

序盤の普通の鷹狩りではないと思わせておいての普通の鷹狩りの件を含めると、一週で二度のドッキリを仕掛けられた我らが神の君。『どうする家康』よりも『どうでしょう家康』にしたほうがしっくりくるように思えます。思えない? 『僕、また騙されたよ』『ま た か い』という家康と於大の方のやり取りを見てみたい。会談では武田サイドの言い分丸呑みで終わってしまった我らが神の君ですが、これはあくまでも事前に『信玄は貧相な甲斐の猫! はっきりわかんだね!』と陰口を叩いた非礼を償うためであって、決して甲州忍びに包囲された恐怖で唯々諾々と頷いてしまった訳ではありません……と本作ナレーション的バレバレプロパガンダ擁護をしてみます。二人は幸せな(間接)キスをして(会談)終了。家康と信玄の間接キスは大河史上空前絶後の出来事でしょう。信玄と家康の会談をセッティングした信長でしたが、まさか『俺の白兎』が信玄と濃厚な間接ベーゼを交わす仲に進展するとは想定外であったと思われます。後年の信長の、武田に対する苛烈な姿勢は、或いはこのNTRに対する報復であったのかも知れません。

まぁ、戯言はここまでにして、先週の予告で見た家康と信玄の会談シーン、果たしてどういう流れで漕ぎつけるのかと不安7期待3の心持ちでしたが、フタを開けてみるとメチャクチャ面白かったです。まず、序盤で三河守就任(のための家系捏造)エピソードを描くことで、形式的な体裁が整ったことを表し、次いで上洛のために今まで以上に後背を固める必要に迫られた信長が仲介を務めるという二段構えの梯子を架けることで、家康・信玄両名の直接会談に持っていきました。実際、信玄は家康宛に『今度お会いしてお話したいな☆(ゝω・)vキャピ』みたいなリップサービス丸出しの書状を出しているとの話を聞いたことがあるので、人目を忍んで逢瀬……じゃない、会談をしていた可能性が全くないと言い切れないところもミソですね。とはいえ、両名をそのまま公の場で会わせるにはハードルが高いので、会場にはレェェェェェベルが違うんだよォォォォォォと山縣何某と穴山何某という家臣を遣わす相手の外道っぷりにキレた家康が、平八郎と小平太相手に管を巻いているところへ『仕掛け人登場!』とばかりに現れる信玄。そして、慇懃無礼な物言いと甲州忍びの物理的圧力で自身の要求をしゃぶれよと串団子もろとも家康の口に突っ込んでしまう。この場面の家康、もう漏らしてるだろ。これ、あれだよね、信玄は家臣を名代に送り込んだら、家康がキレて会談の座を蹴るところまで読み切っているよね。何せ、瀬名の栗好きを知っていた(事前に落ち栗の中身が持ち去られているので、家康たちの話を立ち聞きしてから用意したのではない)くらいですから、家康周辺のことをメチャクチャ調べたうえで、こちらがこうしたらあちらはああなると完璧に予想して、酒井・石川両名よりも家康単体のほうが与しやすいと見切ったうえで、この遠大なドッキリ……じゃない、作戦を決行したに違いありません。瀬名の栗好きまで知っている信玄ですから、家康は耳が性感帯でヨシヨシプレイが好きなことも当然把握していたでしょう。平八郎と小平太がいなかったら、あの場で家康を性的に丸め込むことなど造作もなかったと思われます。つまり、今回のMVPは平八郎と小平太。間違いない。

そんな訳で視聴者も家康も、信玄入道の恐ろしさをまざまざと見せつけられた今回の会談シーン。新説歴史コメディとしてはなかなかのクオリティで楽しめました。まぁ、一方で『今川領は魅力だけど、武田との緩衝地帯は残したい』という家康の戦略的葛藤などにも触れて欲しかったので、メチャクチャ面白かったけれども、もう一押し欲しかったというのが正直なところ。数十年後には開城の使者を追い返す鳥居元忠が、お田鶴さんへ開城を求める使者を務めたり、キャスティング的に今回の出番で終わるとは思えない、恐らくは三方ヶ原の追っかけBBAであろうキャラクターの登場など、中・長期的な伏線や布石と思しきシーンはニヤリとさせられたものの、肝心の田鶴さんのエピソードが捻りのないベッタベタなストーリーで終わってしまったのがなぁ。立場上は自然なこととはいえ、物語の中のお田鶴さんが今川の世を『あるべき正しい社会』と頑なに拘る動機づけが弱かったので、感情移入が難しくなってしまいました。ここは大きなマイナスポイント。次回以降の巻き返しを期待します。

 

次はこれ。

 

 

 

先日、今季の放送を終えた『相棒』。最終回2話連続SPでは亀山と神戸の競演という長年の相棒フリークの夢が叶いました。この調子で冠城や青木との絡みも期待したい。カイト君は……まぁ、中の人の都合があるからなぁ。ただ、内容的には官房長の遺骨盗難はほぼほぼ貰い事故で拍子抜けしました。前編での神戸の『官房長は生きている』という冗談は実は嘘じゃなくて、何らかの事情で生きていることを隠すため(官房長本人が証人保護プログラムの導入を計画していたので)に遺骨の奪還が至上命令になっていた(前季でそっくりさんとすれ違うシーンもあったからね)のかも思いましたが、フツーに死んでいました。確かに『今更生きています』とか言われても、長年の相棒フリークとしては感情のやり場に困ったと思いますが、官房長は死の直前まで赤いカナリアとの交渉に当たっていたので、或いは骨壺にはそっち関係のヤバい情報が詰まったマイクロフィルム(古ッ)でも隠されていて、それが表に出るのを恐れた警察庁が神戸経由で回収に来たのかとも予想していたので……まぁ、結果的にはマクロな犯罪の皮を被ったミクロな動機という『相棒』らしいオチではありましたね。

今季のベストエピソードはダントツで『最後の晩餐』。昨年挙げた『相棒』ベストエピソードも『容疑者六人』OUTの『最後の晩餐』INで。第二次亀山時代を代表する佳作になると思います。あれが善くも悪くも後味の悪い結末に定評がある真野脚本だったら、ラスト直前の自分の所為で娘と思っていた女性が死ぬ場面で終わっていたでしょう。最後まで事件の真相が二転三転する、こちらも『相棒』らしいストーリーでした。

尤も、亀山が再登板した割にイマイチ盛りあがりに欠けたのも事実です。内容自体も面白くはあるのですが、世間一般で認知されている相棒らしい話が少なかったかなぁ。今、こちらで第一次亀山時代の再放送されているのですが、我々が思う相棒のスタイル ~社会派とミステリの程よい融合~ が確立されたのは第三~第四クールなんですよ。具体的にいうと瀬戸内米蔵の本格的な登場以降。今の相棒の社会派系エピソードが心に響かないのは政治家サイドに魅力的なキャラクターが不在で、単純な勧善懲悪モノになってしまっていることが大きい。確かに今季は懐かしい作りのエピソードが多かったけれども、全体的には第一~第二期の頃の二時間サスペンスの延長の頃の相棒という感じがしましたね。全盛期の復活を期待していたのに若返り過ぎた感が否めなかった。杉下どころか亀山も定年の心配をしなけりゃいけない時期なので、来季以降はガッツリと全盛期の内容を取り戻して、綺麗にシリーズを完結させて欲しいものです。

他に印象に残っているのは第19話の『再会』。内容的には夢オチというオチも含めて意味不明なファンサービス特化回でしたが、亀山が犯人の決行を阻止する際に『俺は最近まで日本で学んだ正義を広めようと外国で頑張ってきた。でも、帰国してみると今は日本のほうが正義がなくなっている』と語りかけるシーンでドキッとなりました。海外からの政治亡命者が隠密裏に消されるサルウィンと日本のどちらがマトモな国かという根本的な疑問はさて置くとして、今季第一話が放送された直後、亀山がサルウィンで民間教育に従事していたという設定に対して、

 

「日本人のキャラクターが『不正だらけの国の子どもたちに正義を知ってほしい』と言って現地の教育に携わるのを美談として描くのは植民地主義。こうしたフィクションが違和感なく消費されるのは、こういう発想が善とされてるから。専門的な教育を修了したわけでもなく、現地語も出来ない日本人が、発展途上国で現地の子どもに日本人の道徳を伝えて社会を良くしようとする『文明化の使命』には賛同出来ない」

 

という批判の声があがったことを覚えておられるでしょうか。その批判が如何にあほたわけな主張であるかについて述べた記事で、私は亀山が『この国は俺が居ない間にサルウィンよりも不正義がまかり通るようになった。今度は日本に正義の種を蒔きたいと思う』みたいなことを言い出すんじゃないかと予想していましたが、それが結構なタイムラグがあったとはいえ、キチンと台詞になったのが嬉しかった。レビュアーの仕事とは公開された作品を分析することで、発表されていない内容を予想することではないと理解しつつも、的中すればテンションがあがりますね。ちなみに上記のクソみてーな理屈で本作を批判していた界隈が19話を見て『ごめんなさい』したという話は寡聞にして存じません。昨年の元日SPのデモ描写に関する太田愛さんの苦言にフリーライドして本作や社会をブッ叩いていた連中もそうでしたが、相棒にせよ大河ドラマにせよキチンと本編を見ていないくせに自分の主張を押し通すための叩き棒にするなと言いたいですね。

 

 

 

 

 

 


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