本来は今週の更新はお休みする予定でしたが、来週も急用で休むか、更新したとしても大河ドラマとは関係ないネタがメインになりそう&今週の『青天を衝け』は今までの放送分の中でも屈指の神回でしたので、感想とはいかないまでも雑感的な記事で軽めに触れておこうと思います……というか、ヒソカが登場&ピンクレの時点でJE市民的には充分に神回でした。今回の出番はアバンタイトルに留まったものの、来週は郵政事業ネタもやるので、再登場を期待します……期待していいよね?
ポイントは3つ。今回は画像で御紹介していきましょう。
嘗てのテロ行為を喜々として語る俊輔とドン引きしている栄一の表情がツボる一枚。自身のテロ未遂の前科をひけらかすことで出仕を断ろうと考えていたら、政権首脳部にマジモンのテロ実行犯が居たでござる。明治政府の闇は深い。
伊藤俊輔「オレたち長州志士はな! 血洗島や水戸近辺で尊王だの攘夷だのって大口叩いて仲間と心を慰めあっているような負け犬どもとは訳が違うんだからな! 『焼討する』と心の中で思ったならッ! その時スデに焼討は終わっているんだッ!」
という訳でもないでしょうが、焼き討ち未遂犯渋沢vs焼き討ち実行犯伊藤の時点で既に勝敗は決していたといえるでしょう。完全に目がイッちゃっている俊輔と『すご~~~い(コイツやべぇ~~~)』という栄一の視線の対比が実にベネですね。そのうえ、栄一の焼討(未遂)にシンパシーを感じるばかりか、その流れで『でも、今は西洋贔屓だ』と宣うとか、俊輔さんマジモンのソシオパス。のちに政治や経済、更には下半身ソウルメイトの親交を深める俊輔と栄一ですが、まずは焼討フレンズという形で、俊輔からの片思いで関係がスタートした模様。馬関戦争時には随分とイケメンな俊輔だなぁと思いましたが、今回はシリアスも変顔も腹芸も下ネタもこなせる振り幅の広い印象を受けました。山崎育三郎さんイケそうやん! これは『獅子の時代』以来の当たり俊輔になりそうな予感。ネタ以外では二人のフレーンイン直前に映った背広でチョンマゲの人物がツボ。当時の明治政府の内情をサラリと端的に表現した名シーンですね。
究極超人リスペクト感ある八太郎。尤も、初手から『~~であるのであ~る!』という八太郎の口癖ネタを使ってしまったのは色々と惜しい。ここぞという場面まで取っておいて欲しかった……とはいえ、明治政府黎明期の現時点で大久保ではなく大隈がトメクレというところに本作の明治編への並々ならぬ意気込みが感じられました。問題は意気込みを実現し得る尺が残されているか否かですが、今回はクオリティの高さに免じて心配するのはやめましょう。
さて、栄一に『お前も新政府の役人にならないか?』と猗窩座リスペクトな勧誘を試みる八太郎。勿論、栄一は『ならない。君と俺とでは価値基準が違う。徳川は悪くない、侮辱するな』と煉獄さんオマージュな返答で応じましたが、基本的に栄一がイキリ散らしながら相手の勧誘を断ろうとするのは絶対に丸め込まれるフラグであり、今回も八太郎の前に完敗。毎度同じ過ちを繰り返しているようですが、ここまで見事に即落ちフラグを回収しておきながら、栄一が無能に見えないのは今までも今回も栄一の立場と対立する相手の論旨をキチンと描いているからでしょう。特に今回は獄中の成一郎の存在が大きかったですね。成一郎が旧幕府軍に身を投じた際には『死ね!』と火の玉ストレートを投じた栄一とはいえ、親族友人の心証次第で死一等を減じられる可能性があるとなれば、そこに一縷の望みをかけるのは決して批難されるべきではありません。確かに『二君に事えず』というのは高潔な生き方ではありますが、それが君臣関係の全てではないことは数多の歴史が証明しています。シュトライトとかファーレンハイトとか。その辺の事情を鑑みると八太郎の説得も純粋なディベードに留まらず、暗に成一郎の処遇をチラつかせるくらいの際どい台詞があってもよかったかも知れませんね。
ただ、今回の八太郎の演説って明治政府の大義名分(≠本心)を過不足なく表現していて、他の大河ドラマも見習って欲しいくらいのクオリティでしたので、そこに余計な手を加えるのも考えものとも思いました。何が上手いって、八太郎の主張は基本的に『幕末の動乱に志を抱いた者は誰でも日本が外国に侮られないようにしたいと思っただろ? 政治体制は兎も角、それを今の政府で実現してみないか?』という当時の正論ではあるのですが、根っこの部分に、
「済んだことをいつまでもガタガタいうなッ!」
という勝者の驕りが見え隠れしているのがキチンと伝わるところですね。流石に八太郎一人では栄一の説得は難しかったと思いますが、そこは俊輔が適度にフォローを入れることで、結果的に良い警官悪い警官メソッドに近い効果が発動。栄一の反発を最低限に抑え込んだ感がありました。流石は俊輔。栄一と八太郎の会話の陰で綾子を口説いているのではないかとの疑惑もありましたが、キチンと状況は把握していた模様です。
平岡の『へぇお待ち!』と同じレベルで爆笑した今回のラストシーン。いや、今までの栄一の言動からしても、大河でありがちなお偉いさんにもマジレス主人公カッケー展開かと思いきや、
伊藤俊輔「ここ、大蔵省じゃないぞ」
からの土下座とか面白過ぎましたよ! 面白い逸話は大抵史実というのが本作の特徴ですが、流石にこれは史実じゃないよね?(誉め言葉) ヘッドハンティングされた中途採用組が、慣れない初日の会社で部屋を間違えて重役会議でイキってしまった感あり過ぎ。ラスト付近の廊下でブルーのジャケットを羽織る栄一が変身したメテオさんを彷彿とさせる猛烈なカッコよさを醸し出していた分、余計にオチとの落差が際立ちました。今後の展開への不安要素は数あれども、少なくとも単品の面白さではここ十年の大河ドラマでも屈指のクオリティではなかったかと思います。欠点らしい欠点は大久保が洋行前からヒゲを生やしていた点ですが、ヒゲは明治の大久保のトレードマーク的なところもあるからね、多少はね。『おんな城主直虎』の信長が岐阜時代から魔王オーラをプンプンさせていたようなものと思えば、あまり気になりません。