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大河ドラマ私的ベストキャスティング20 ver.2021

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予告済とはいえ、オリパラ明けの『青天を衝け』の感想をサボッ……じゃない、休んだことに忸怩たる思いがないではありませんが、来週は二度目のワクチン接種の予定なので、どうせなら、まとめて休んでしまおうと開き直ることにしました。一度目の副反応は筋肉痛レベルで済みましたが、二度目は結構大変との話なので、大事を取ってゆっくりします。実は他にも事情がありますが、後日笑って話せるようになったら記事にする予定。幸いにも『青天を衝け』の総評に関しては、毎年恒例の食べ物に例えるネタが思いついたので、その線で何とか進めていけそう。現在のクオリティが維持されるに越したことはありませんが、維持されない場合でも通用しそうな比喩なので、取り敢えずは最初の山場を越えたと思いたい。ちなみに中華料理です。一応、オリパラ明けの『青天を衝け』に軽く触れておくと、全50話の折り返し(幕末編の総括~明治編の前フリ)としては完璧でしたが、現実の残り話数を考えると頭がおかしくなりそう。マジで消えたオリパラ分の尺を追加して欲しい。

 

さて、先日、

 

 

という人気投票を見かけて、早速贔屓のノッブに投票してからアンケート結果を覗いてみたのですが、途中経過とはいえ、何というか……その……、

 

ジャンボ鶴田を知らない世代に『最強のプロレスラーは棚橋弘至』と断言された古参のプヲタの心境

 

に近いものがありました。まぁ、最強レスラー論争やベストキャスティング論争に正解などないのは理解している&アンケート記事で他人様の投票に異議を唱えるのは野暮の極みと承知しているので、内容に四の五の文句をつけるよりも私なりの大河ドラマのキャスティングベストという蟷螂の斧で対抗してみようと思い至った次第です。それも、ノッブだけでなく、歴代大河ドラマの私的ベスト10。先述したように来週も更新を休む予定なので、そこそこ大きな企画にトライしてみましょう。勿論、何も考えずに好きなキャスティングを全員挙げていったら、余裕で煩悩の数を越えてしまうのは確定的に明らかなので、以下に掲げる5つの条件をつけて絞り込んでみることにしました。

 

条件① 実在の人物に限定する……キャスティングを比較してベストアクターを選出するという企画の趣旨上、特定の作品にしか登場しないオリジナルキャラクターは敢えて除外する。例:『獅子の時代』の平沼銑次は主人公のうえ、2021年現在でも生きている可能性があるとさえ思える強烈なキャラクターであるが、他に比較対象がないため、ここでは除外。

 

条件② 大河ドラマ以外でもそれを越える配役がない……如何に大河ドラマで最も推しのキャスティングであろうとも、他作品でそれを上回る事例があった場合は潔くノミネートを諦める。例:日テレ版『白虎隊』の近藤&土方&沖田を越えるキャスティングはないので、大河ドラマの近藤&土方&沖田は全て除外。すまんな、特にヤマコー。当然、大河ドラマ内でも同一のキャラクター、同一の俳優を挙げることは禁止。

 

条件③ 物語の重要なファクター足り得る……スポット参戦やワンポイントリリーフではなく、物語の主題に相応の関わりや貢献のあるキャラクターに限定する。例:『新撰組!』の徳川慶喜や『八重の桜』の白井小四郎は非常に印象に残るキャラクターではあるが、涙を飲んで除外。

 

条件④ 当該の大河ドラマを全編視聴している……ベストキャスティングの選出も作品評価の一つの形態である以上、全編を鑑賞したうえで判断するべきという私のモットーに基づき、未見或いは総集編のみの視聴に留まる作品は対象としない。例:『花神』で西田敏行さんが演じた山縣狂介はマイベストガタさんと呼ぶに相応しいが、視聴は総集編に留まるので、断腸の思いで除外。

 

条件⑤ 20世紀と21世紀から各10人を選出……某レビュアーの10年ルールではないが、古参の視聴者は多かれ少なかれ思い出補正というフィルターがかかるのは避けられない以上、選出に公平を期するために一つの区切りを設定して、その前後でそれぞれのベスト10を定義する。区切りはシンプルに20世紀以前、21世紀以降。

 

これで漸く20人まで絞り込むことが出来ました。尚、このランキングはあくまでも私個人の趣味であり、未見の作品のキャスティングや他の方の推しや好悪を否定するものでもありません、念のため。また、紹介は作品の放送順であり、キャスティングのランキングの優劣とも関係ありません。まぁ、ベストキャスティングと銘打ちながらほぼほぼ好きなキャラクターランキングになってしまったのは御愛嬌です。

まずは20世紀のベスト10から。次点は『翔ぶが如く』で三田村邦彦さんが演じた徳川慶喜。ベスト10から外すのが惜しいなんてもんじゃあないけど、これを入れると『翔ぶが如く』だけで半数を占めてしまうのと、もう一つの理由で次点止まり。本当に惜しい。

 

 

1 織田信長(高橋幸治)『黄金の日日』

 

本人降臨その1。初球から消える魔球レベルの決め玉を放ってしまう計画性の欠片もないランキングですみません。でも、織田信長といったら高橋幸治さんしかいないっしょ? 信長は大抵の作品で家臣や諸大名に畏怖される存在ですが、高橋さんの信長の怖さは単純に怒鳴るとか睨むとかいう判りやすさじゃあないんですよ……というか、逆。基本的に相手と目を合わさずに会話するのがめっちゃ怖いのよ。相手を人間と見做していないか、或いは相手の背後にある『天』を見つめているのか。何れにせよ、常人とは異なる世界を見ている感が素晴らしい(それゆえ、信長が目を見て話す相手は大事に思っている人物と判る)。原点にして至高の信長。

 

 

2 豊臣秀吉(緒形拳)『黄金の日日』

 

大人気ないにも程がある鉄板の二人でワンツーフィニッシュ。でも、これもしゃーない。豊臣秀吉というサル~木下~羽柴~豊臣~ラスボス~老害という出世魚レベルで名前も地位も人格も豹変する人物を全て違和感なく演じきったのは緒形さんしかおらん訳で。大河ドラマの秀吉というと『独眼竜政宗』の勝新秀吉が有名ですが、あれはラスボス~老害に特化したバージョンでしたからねぇ。再放送中の『黄金の日日』での今後の豹変に注目です。

 

 

3 本多作左衛門(長門裕之)『徳川家康』

 

本人降臨その2。面倒臭いことに定評がある三河武士団でも特に扱いにくいキャンプファイヤーマンのイメージそのまんま。『徳川家康』は説教臭さと抹香臭さが半端なく、必ずしも好きな作品ではないのですが、やることがいちいちアクが強くて、主君相手にも平気で下世話なネタを振ったかと思えば、その流れで家康に乱世の主としての心得を説く面倒臭い鬼作左のシーンは全て楽しめたものです。ナレ退場が惜しいぜ。

 

 

4 真田幸隆(橋爪功)『武田信玄』

 

本人降臨その3。一目で真田一徳斎ならぬ『胡散く斎』と判るヴィジュアルが最高に真田って感じで好き。『風林火山』のダディクールな佐々木版幸隆もカッコいいけれども、DNA的にはアレの息子が『真田丸』の昌幸に育つとは到底思えないので、やはり、橋爪版幸隆が大河ドラマでの真田家の正規ルートと見做してよいでしょう。橋爪功の息子がタンバリン(真田太平記)か草刈正雄って、真田の血って色々と恐ろしいよね。そらぁ、陸奥が欲しがる訳だ。

 

 

5 大久保利通(鹿賀丈史)『翔ぶが如く』

 

少なくとも、幕末大河では未来永劫変わることがないであろうトップキャスティング。福地源一郎が北洋に浮かぶ氷山と評した威厳がヒシヒシと伝わってきました。ほぼオーベルシュタインですが、吉之助サァへの過剰なヤンデレ感はロイエンタールっぽくもあります。しかし、鹿賀版大久保の凄味とはヒゲで雰囲気を出せる明治以降のみならず、一蔵時代のシュッとした頃から『コイツは紛れもない大久保だ』と視聴者に思わせたことでしょう。ホンマ神キャスティングの一言に尽きます。尚、西郷どんは【略】

 

 

6 島津久光(高橋英樹)『翔ぶが如く』

 

大抵の作品では維新の大英傑西郷とソリが合わなかったがために、頑迷な保守派か残念系ネタキャラ扱いされがちな三郎。実際、司馬さんの原作でも同様の描かれ方であり、リアタイ視聴時の私も西郷を困らせる怖いおっさんというイメージを抱いていましたが、今年に入って改めて本編を視聴すると、多少面倒臭いところはあっても自分なりの政治ヴィジョンで主体的に政治改革に取り組み、気に食わない人材(主に西郷)も私情を殺して使い切るプラグマティズムに溢れた名君であり、その器量と鬱屈が見事に表現されていました。ほぼ私が考える理想の三郎像。装鉄城さんが『篤姫』の中村梅雀さんの井伊直弼を究極のチャカポンに推すように、私もヒデキの島津久光を至高の三郎と呼ぶことにします。この新政府を作ったのは誰だぁっ!

 

 

7 有村俊斎(佐野史郎)『翔ぶが如く』

 

村田蔵六が嫌いではない私的には好きになれない筆頭に近い人物ですが、本作ではどんなにアレなことを仕出かしても、

 

全く俊斎坊はしょーがねーなー

 

の一言で許容出来てしまう不思議な存在。上野戦争直前の軍議のシーンの遣り取りからも『コイツは絶対に蔵六殺しているよな』と察せられるのにしょーがねーなーで済んでしまいそうなんだよなぁ。『花の乱』の足利義視を凌ぐ、佐野史郎の大河ベストアクト。

 

 

8 江藤新平(隆大介)『翔ぶが如く』

 

このキャスティングの恐ろしさは司馬さんの『歳月』を読む時に、私の脳内の主人公像が完全に隆大介さんで固定されてしまっていることです。大きく張った額と意志の強さを示す眉、その下でギラギラと輝く双眸、舌鋒を以て人を刺す言葉を紡ぎ出す大きな口、何れも司馬さんが描こうとした江藤新平のイメージそのまんま。このキャスティングで『歳月』を映像化して欲しかった。『獅子の時代』の細川俊之さんも捨てがたいですが、ここは自分のイメージに正直に行きましょう。

 

 

9 足利尊氏(真田広之)『太平記』

 

基本的に歴史劇の俳優さんには『実在の人物を演じさせて頂く』という気持ちを何処かで抱いていて欲しいと考えていますが、数少ない例外が足利尊氏と真田広之さん。これに関しては尊氏のほうに『よくぞ真田さんが演じて下さった』と思っていて欲しかったりします。だって、初対面の藤夜叉に顔面偏差値が高いコミュ障とアッサリ見抜かれるアレな人格を筆頭に、随所で史実通りの放送事故級なメンヘラ言動を繰り返した尊氏が、何とか長編作品の主人公の役割を貫徹し得たのは、偏に真田さんの演技力とイケメンなルックスと本格アクションのおかげですからねぇ。あんな宇宙人みたいな輩が主人公の物語を、今でもナンバーワン大河ドラマに推してしまうのは全て真田さんのおかげ、或いは責任です。

 

 

10 佐々木道誉(陣内孝則)『太平記』

 

上欄の尊氏の項目で記したように訳の判らない展開に定評がある『太平記』は、南北朝時代という大河ドラマの歴史でも一度しか取りあげられたことのないことも相俟って、非常にハードルが高いです。主人公は二度三度と主君を替え、部下や弟も主人公の政治生命を絶とうと試み、そうした風潮が時代に反映して誰を信じていいのか、登場人物も視聴者も判らなくなる世界ですが、その中で唯一絶対に主人公を裏切らないのが判官殿でした。勿論、事あるごとに『寝返るぞ、本当に寝返るぞ』と尊氏をチラ見してくるのですが、口では何といおうと心は正直な判官殿は決して尊氏を見捨てることはありません。つまり、何も信じられない物語の中で視聴者が安心して見ていられるのが判官殿なのですね。彼がいなかったら、視聴者は物語を見る基準点を定めることは出来なかったのではないでしょうか。判官殿の『ハッハッハッハッ』という御馴染みの高笑いも、実は物語の中で遭難しかけた視聴者に大声で『ここが基準点だよ』と導くためのものであったのかも知れません。そして、そんな判官殿をキッチリ演じきった陣内さんパネェっす。

 

 

以上が20世紀版のベストキャスティング。こうして見ると意外なことに『独眼竜政宗』から一人も選出されていないのが我ながら驚き。そういや『吉宗』や『葵』もないな。ジェームス三木氏の大河ドラマって、脚本家がキャストに求める演技力のレベルが全体的に高過ぎる所為で、逆に突出した誰かが印象に残らないのかも知れません。

ここからは21世紀バージョンに突入です。

 

 

1 山南敬助(堺雅人)『新撰組!』

 

選出条件②で近藤・土方・沖田が軒並み落選する中、一人気炎を吐いたサンナンサン。司馬さんの作品等でも殆どクローズアップされることがなかった山南を『土方と並ぶ近藤の両輪』のポジションに据えることで、新しい人物像を構築した功績は極めて大。実際、本作では山南という片方の車輪が外れることで、新撰組の迷走が始まりましたからね。本作以降に制作された新撰組関連の創作では山南が登場するか否かで、その作品の本気度が窺えるようになったと思います。堺雅人というヒット大河請負人を輩出したのもポイント高い。

 

 

2 榎本武揚(片岡愛之助)『新撰組! 土方歳三最期の一日』

 

外伝からの選出という反則臭いチョイスですが、総裁好きなので仕方ありません。ホントに私のイメージ通りの釜さんなんよ。日テレ版『五稜郭』の榎本は貫禄があり過ぎてね……洒脱で軽妙で博識で諦めが早くて、それでいて、江戸っ子の芯が一本ビシッと通っているのが素敵。ついでに本作の大鳥も好き。土方・榎本・大鳥は本編の近藤・土方・沖田を凌ぐ名トリオだと思う。

 

 

3 上杉謙信(Gackt)『風林火山』

 

大河ドラマ史上最高の出オチキャラ。キャストが発表された時には『うまくハマれば代打逆転満塁サヨナラホームランになるだろうが……難しいだろうなぁ』と悲観的に構えていましたが、いざ蓋を開けたら二ケタ勝利&二桁本塁打という大谷翔平に迫るレベルの絶妙のチョイスでした。これは謙信公の地元民なので敢えて言わせて頂くと、ガックン政虎の魅力はカッコよさとか演技力とかよりも、

 

この人は近づいちゃいけない人だ

 

と一目で判る雰囲気がドハマリなんですよねぇ。いや、ガックンがどうこうではなく、あくまでも物語の中の謙信公の話です、念のため。毘沙門天像を相手に裏声で自問自答して恍惚となる『武田信玄』の柴田恭兵さんの謙信もヤバくて好きですけどね。

 

 

4 高杉晋作(伊勢谷友介)『龍馬伝』

 

正直に申しあげると『龍馬伝』は世間で言われている程には評価していなくて、最大限好意的に解釈しても意欲的な失敗作と思っていますが、高杉のキャラクター造型に関しては、ほぼ完璧と評してよいでしょう。リアルな高杉の人物像よりも、世間が抱く頭のネジが外れた天才革命児キャラ高杉の虚像をトコトンまで追及した漫画の主人公タイプ。実質、龍馬よりも主人公していました。四境戦争時の着流し三味線無双とか、スタッフの頭の悪さ(7:3で誉め言葉です)がモロに出ていて好き。『男の人ってこういうのが好きでしょ?』といわれている気がしたものです。実際、高杉晋作ってソースに匹敵するオトコのコの味だよな(井之頭五郎感)。『花神』の高杉もいいけど、あちらは総集編しか見ていないうえ、中村雅俊さんは日テレ版『白虎隊』の龍馬のほうがドハマりやったからなぁ。

 

 

5 平忠正(豊原功補)『平清盛』

 

皆大好き忠正叔父さん。兄上LOVEで嫂にも気配りが出来て甥っ子にも優しくて(清盛は除く)、一族を守るためには死をも厭わず、それどころか己の死さえも清盛に平氏を背負って立つ覚悟を抱かせるために擲った好漢オブ好漢。保元の乱で清盛と袂を分かつ際の、

 

「清盛……わしとおまえの間には……絆などハナっからないわ!」ニヤリ

 

という強面系の豊原さんが見せた最高に悲しい笑顔好き。忠正叔父さんの魅力は総評でじっくりねっとりと触れたので、ここでは割愛。

 

 

6 徳川慶喜(小泉孝太郎)『八重の桜』

 

『大政奉還とは大政を奉還することです』という郎構文を使いそうな、変人宰相の息子が演じた変人征夷大将軍がランクイン。20世紀版で『翔ぶが如く』の三田村版慶喜が惜しくも次点に留まったのはコイツの所為。三田村さん、モックン、今井さん、つよぽんと並み居る強豪を押しのけてナンバーワンの座を掴んだコータローさんパネェ。三田村版やモックン版が慶喜の内面にも比重を置いていたのに対して、コータロー版は慶喜が周囲の目にはどう映っていたかを追求していたと思います。それぞれ甲乙つけ難く、或いは総合面では三田村版が勝っているかも知れませんが、ネタキャラ好きの私的には甲よりも敢えて乙を選びたい。

 

 

7 松平容保(綾野剛)『八重の桜』

 

本人降臨その4。どう見ても史実のタッパー公です。本当にありがとうございました。個人的には先述のコータロー慶喜とワンセット、鬼庭左月&遠藤基信に匹敵する大河ドラマ屈指の名(迷)コンビと認識しています。本人的には大迷惑でしょうが、タッパー公をランクインさせた以上は相方も入れない訳にはいかないからね、仕方ないね。勿論、ピンでも充分に魅力的な綾野版容保公。生まれたての仔馬を思わせる濡れ濡れピュアピュアな瞳が汚れなき王城の護衛者感を醸し出していました。男でも母性本能を擽られるタイプですね。日テレ版『白虎隊』の利かん坊容保のイメージを覆した逸品。

 

 

8 直江兼続(村上新悟)『真田丸』

 

『天地人』の悪夢を覆した最大の功労者チベスナさん。大河ドラマの主人公は、その作品のイメージが長らく定着してしまうケースが多く、ホンマにどうでしょうではないほうの小松江里子の所為で、直江兼続と我らNG県民がどれだけ屈辱的な思いをしたことか(我ながら主語がデカい)。その鬱屈の全てを完璧に晴らしてくれた『真田丸』と三谷さんと村上さんには感謝しかありません。目玉焼きの声が聞こえないくらい何だってんだ!

 

 

9 人見絹枝(菅原小春)『いだてん』

 

ベスト20のうち、唯一の女性キャラクター&アクトレスというジェンダーへの配慮が足りないMYランキングですが、まるで反省していない。いや、確かに大河ドラマには魅力的な女性キャラクターや女優さんは多いですけれども、男女の分け隔てなく上から順番に選んでいくと、ベスト20に入るのは彼女しかいないんですよねぇ。2000年代初頭から所謂女性視点を標榜した大河ドラマが乱発されましたが、結局のところ、誰一人ピンとこないままで現在に至っている訳で、女性主人公という理由だけでチヤホヤされるキャラクターよりも『男は負けても帰れるが、女は帰れない。私が負けたら同じ志を持つ全ての日本女性の未来が閉ざされてしまう』と男と同じ戦場で戦うキャラクターのほうに遥かに魅力を感じるんだよなぁ。勿論、演じた菅原さんの雰囲気もバッチリ。ラケット片手に初登場した時の剣豪感が半端なかった。強い(確信)

 

 

10 嘉納治五郎(役所広司)『いだてん』

 

ラストを飾るのは本編でも一話を除いてガンとしてトメクレを譲らなかったアヘアヘ金欠ウホウホ借金おじさんこと嘉納治五郎。これに関しては実は半分くらいは困惑しておりまして、この作品以降、役所さんの演じる役は何を見ても嘉納治五郎に思えてしまうのですよ。これは初めてのヒット作に恵まれた新人俳優とかでよくあるケースなのですが、まさか役所さんレベルのヴェテラン名優で同じ現象に苛まれるとは思いませんでした。今年前半に視聴した『花の乱』や『徳川家康』は勿論、下半期ベスト候補作の『竜とそばかすの姫』の終盤で主人公と役所さん演じる父親がLINEで本心を語り合うメチャクチャいいシーンでも、私の脳裏には治五郎おじさんの顔がチラついて、劇場で笑いを堪えるのに必死でしたよ。それっくらいのハマリ役。俺の中では役所さんは永遠に嘉納治五郎なんやろうなぁ……嬉しいけど複雑な心境です。

 

以上が私的大河ドラマベストキャスティング20です。こうして並べてみると主人公が2人しかいないのよね。大河ドラマの主人公は結構な確率でトメクレや二枚目キャラに人気を喰われるケースが多いんだよなぁ。その点で今年の『青天を衝け』は主人公が大健闘していますね。総評記事で初の主人公によるキャラクターランキング第1位成るか? それでは来週はお休み致します。

 

 

 

 

 

 


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