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徒然日記 ~2016/08/04~

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千利休「親とは木の上に立って見ると書く! 木から下りて、ノコノコ、子の喧嘩に行く親がどこにある!」

何かと話題に事欠かなかった今回の都知事選に関する或る親子の発言を聞いて、真っ先に思い浮かんだのが上記の『花の慶次』の台詞。しかも、今回のケースでは親の加勢にも拘わらず、その発言がフルボッコにされた挙句に唾まで引っ掛けられるレベルの大敗北を招いたそうですから、世の中には漫画よりも滑稽な事案が確かに存在するようですね。当の本人が漫画規制を主張していたかと思うと、ちゃんちゃら可笑しくて、ヘソが放課後ティータイム。
可笑しいといえば、候補者の動きを事前にスッパ抜くでもなく、今まで溜め込んでおいた過去の醜聞を選挙期間中に垂れ流すことに終始したマスコミも大概でした。一番笑ったのは主要候補者に『都内に別荘を持っているか』とかいう質問をぶつけたTV番組。前任者は別荘を持っていたから都知事の座を逐われた訳ではないんやで。
ちなみに結果に関しては当選者が勝ったのは勿論ですが、それ以上に他の候補者が自滅したという印象を受けました。具体的な事例は伏せさせて頂きますが、チョンボ、フリテン、ドラ単騎のオープンリーチへの振り込みのオンパレード。『この程度の危機管理もできない候補者に票を投じられない』という有権者の判断が今回の結果に至ったと思います。しょうがないね。今回の話題は3つ。


1.不条理について

国内外共に多事多難な一カ月となった先月。大抵の不条理は酒と一緒に腹中に流し込める年齢になったと思っていましたが、無辜の民が兇刃に斃れる事件というのは幾つになっても容易に飲み下せないものです。特に後半に起きた事件直後はヴラド・ツェペシュや上杉鷹山の逸話をベースに時事記事を書こうとしたものの、自分でもピンと来る内容にならなかったため、UPを見合わせました。結局、あの事件は差別とか尊厳とかの問題ではなく、容疑者が自分一人の逃げ道を爆走してしまったと考えるのが一番シックリきましたので。勿論、容疑者には罪状相応の刑罰が科せられることを望んで已みませんが、早期の経済回復による労働環境の改善が望めない現状を考えると、色々と薄ら寒い予感を覚えずにはいられないのも事実です。
ちなみに前半に起きた大量殺人事件は宗教の暴走といわれていますが、私個人は逆に宗教の影響力の低下を感じずにはいられませんでした。異邦の発展に献身してきた人物が異教ゆえに害されるという不条理。教義の違いはあれども、本来、そうした生と死の不条理と向きあうために人間が編み出されたのが宗教ではないかと思うのですが、そうした論調が表立って語らなかったのは、宗教の存在意義そのものが問われているのではないかと考えた次第。まぁ、私のように『マリーダさんが画面から飛び出してきてくれたら神様を信じてもいい』とかいう、宗教と3D技術を取り違えている無神論者……というか不信心者にいわれたくはないでしょうけれども、ごく一部で『宗』の四文字が『税金対策』と同義語と見なされているのも確かですので。


2.悔しいけど感じちゃう

『面白いけれども好きになれない作品』というのは意外と多いもので、今年に入ってから二作品巡り合いました。微妙に嬉しくない。一つ目は、

ザ・ラストシップ 〈ファースト・シーズン〉 コンプリート・ボックス(2枚組) [Blu-ray]/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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BSフジでシーズン2まで放送していたのですが、普通に面白かった。海外ドラマにありがちな何時まで経っても核心に迫らない謎トラウマに端を発するギスギスした人間関係で話を引き延ばすのではなく、タメとカタルシスのサイクルが非常に早い。事件の大本である謎の伝染病についても、シーズン1の終盤でワクチンが開発されちゃったので、シーズン2に入ると『コイツらは何のために戦っているんだろう』という疑問がフツフツと沸き起こってしまうのですが、そういう細かいことを考えずに連続モノのB級アクション映画を週単位で見られたと思えばOK。正直、オススメの作品といえます。
じゃあ、何が気に入らないかというと、主要キャラクター全員が『世界を救うのは俺たちしかいない』という如何にもアメリカらしい有難迷惑大きな御世話思想に爪先から旋毛までドップリ漬かっていること。いや、作品は現実と違い、その思想を振り翳して世界のアチコチで騒動を起こしている訳じゃあないのですが、このテのマチズモは生来性に合わないものでして……。
もう一つは、こちら。

LOST シーズン1 COMPLETE BOX [DVD]/ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

¥21,000
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海外ドラマでは王道の定番作品。シーズン2の序盤、二つのグループが接触するところまで見ました。これも普通に面白い。通常の作品は現在から未来に向かって話が展開するのに対して、本作は過去から現在に至る流れを基調に構成されています。時間軸を未来に向けると物語の設定は否応なく変化を強いられるものですが、過去を振り返る分には現状に踏みとどまっていられます。つまり、メインストーリーを大きく弄ることなく、様々な物語を紡ぐことができるのですね。コロンブスの卵。
しかし、ストーリーではなく、キャラクターやエピソードを中軸に据えている所為で何時まで経っても物語の謎が明らかにされないという欠点もあります。これと似たような物語を何処かで見たことがあると思ったら、

NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX ’07 EDITION/キングレコード

¥30,240
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これですね。これもキャラクターの内面や毎週のバトルの面白さ、思わせぶりな謎掛けで物語を紡ぎ続けた挙句、ストーリーの基幹部分に触れないままで現在に至っているので、ひょっとすると『LOST』も様々な謎が全く解明されずに終わるか、或いは解明されても『あっそっ』で終わるレベルになるのではないかという危惧を感じています。面白いけれども、最後まで見たら後悔するんじゃあないかという予感がヒシヒシ。しかし、毎回面白いから見ちゃうんだよなぁ。


3.笑の戦国

武田晴信「男には時として理不尽に女子が恋しくなることがある(`・ω・´)

今年一番ワロタwww

絶賛再放送中の『武田信玄』がメチャクチャ面白い! 以前も書いたように『武田信玄』は大河ドラマの教科書だと思っていますし、しなやかな筋肉をまとった骨太なストーリーには毎回唸らされていますが、時々、こういう天然系のお笑いが潜んでいるんだよなぁ。『わしはどんなことをしても湖衣姫を手に入れる!』という主人公の夜這い宣言や『荀子曰く、人の性は悪なり! 人の性は悪なり!』と大事なことを二回言う場面とか、亡くなった大炊夫人が霊魂になってもナレーションを続ける件のイイワケとかメッチャ笑えるのよ。上記の言葉も、晴信の気持ちは判るけれども、いっていることは『不倫は文化』と大して変わらん。こんな台詞が真顔の中井貴一さんの口から飛び出すんだぜ。そりゃあ、ヘタなコントよりも面白いわなぁ。
勿論、これは現代風の感性であるからこそ、笑いのツボを刺激されるのであって、当時のスタッフは大真面目であったのも間違いありませんし、それはとても尊い志であると思います。真面目さの例を挙げると台詞。本作は『城落とすは容易きこと』といった具合にてにおは抜きの台詞が非常に多い。台詞を漢文調にすることで物語の風格を醸し出すと共に、削った助詞を視聴者自身に想像させることで、物語への集中力を喚起しているのでしょう。これは生半な作品で同じことをやったら、お高くとまった印象を拭えないのですけれども、本作では些か鼻につくのも確かですが、しかし、有効に機能している。台詞一つ取っても、原作の品位を落とさないように大真面目に取り組んでいるのが伝わってくるのですね。そして、大真面目であったからこそ、現代の感性とズレた箇所が質の高いコメディのように感じられるのでしょう。『侘びあってのひょうげ。必死さあっての一笑』という古田織部の言葉通りですね。笑いの感性は時と共に移ろうもの。それが『武田信玄』の再放送が示してくれたことではないかと思います。『本格大河の教科書』と『天然系コメディ』を同時に味わえる本作は今年一番の拾い物でした。ある意味で『独眼竜政宗』よりも楽しみに見ています。再放送ながら、今年のベスト1あるかも。

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