『大河ドラマらしさって何だ?』という疑問の模範的回答として挙げたいのが、現在絶賛再放送中の『武田信玄』。『独眼竜政宗』が大河ドラマの最高ヒット作とすると、本作は大河ドラマの教科書といえると思います。詳細は本編を御覧頂くに如くはありませんが、兎に角、やることなすことの全てが仰々しいの一言に尽きる。第4話ラスト付近で主人公(一児の父親)が、
武田晴信「わしはどんなことをしても……湖衣姫を手に入れる!(キリッ
とメチャクチャ生真面目な表情で宣言するのですけれども、そのために晴信が取った行動は単なる夜這いなのですよ。外見が中井貴一さんというだけで、やっていることは冴羽獠と変わらん。しかし、天下国家の大事から、やりたい盛りの辛さに至るまで、押し並べて仰々しさを求められるのが大河ドラマではないかと改めて思いました。
その点、今年の『真田丸』が大河ドラマらしさに欠けることは何度も述べてきた通りです。今回でいうと大政所の人質の件。あれ、大河ドラマの王道に従うと、百姓から雲上人になりあがった秀吉一族の悲劇がメインになるのですが、普通にコメディシーンになっている。それと終盤の秀吉と家康の対面。猿と狸という天下屈指の千両役者同士の名演技が見所になる筈なのに本番に弱い大根役者が開演前日に必死こいて台本合わせをするという通説とは真逆の設定でした。敢えて王道を外してくる。それが三谷さんの作風です。この辺は以前の記事で『三谷さんは真面目な場面を書くのに照れが入る人なので、王道大河は望めない』と書いた通りの展開。
でも、それで面白くないかといわれると決してそんなことはなく、特に今回は非常に面白かった。久々に復帰した松さんの件が霞むくらいの小ネタの機銃掃射。『真田丸』は小ネタのスピーディー感が生命線なので、それを封じられるシチュエーション(合戦とか)ではイマイチな内容になりがちですが、日常と史実がパタパタと交錯する回には安定感がありますね。第一次上田合戦がアレな内容に終わったのは、三谷さんにしては真面目に合戦に取り組み過ぎたからなのか……でも、合戦シーンくらいは正面から描いて欲しいからなぁ。あ、ちなみに松さんは記憶喪失ではなく、空っ惚けているのではないかと予想します。そんな今週の『真田丸』のポイントは9。何気に史上最多かも。ちなみにサブタイの『再会』はお松さん以外にも秀吉と家康にもかかっていると思われます。
1.今週のナレーション
ナレーション「真田にとって最大の危機が訪れようとしていた」
何度目の最大の危機だ。
放送の度に最大の危機が訪れている、毎日がアルマゲドンな真田一族。本来、芝居や脚本で補いきれない情報をフォローするのがナレーションの役割ですが、本作ではナレーションもネタの提供に一役買っております。これでネタバレがなければ、結構好きになれそうなのですが……。
2.今週の秀吉
羽柴秀吉「安心せい、真田はワシが守ってやる」
家康に真田討伐を許したのは外交上のポーズという秀吉。結果的に秀吉の思惑通りの展開になりましたが、しかし、阿国の舞台を見ながら暗に権佐殺害の真相を仄めかす秀吉をはじめ、自分と会ったことを黙っておいて欲しいと頼んだにも拘わらず、当然のように秀吉に漏らす茶々といい、お前を殺そうとしたけれども、清正はイイ奴だから許してやってよとかワケの判らない理屈を捏ねる秀長といい、誰よりも大政所の心配をしているのに周囲の人間には恥ずかしくて本音をいえないツンデレ治部といい、斯くも多くの奇人変人に囲まれていたら、秀吉の『真田はワシが守る』なんて台詞、真に受けるほうがどうかしています。信繁は秀吉の言葉を信じられなかったというよりも大坂城にいる連中の人間性そのものを疑っていたのではないでしょうか。時期的に信繁ときりちゃんの接近が近いと思いますが、斯くもアレな人間に囲まれていた所為で、きりちゃんが相対的にマトモに見えてくるという展開なのかも。
3.今週の平八郎
本多忠勝「失礼ながら、片桐さまは『賤ヶ岳七本槍』の御一人であられるとか。天下の豪傑にお逢いできて光栄に存ずる」
片桐且元「は、はぁ……」
どう見ても忠勝のほうが強そうに見える二人の対談。褒められた且元のほうが居心地悪そうにしていましたが、範馬勇次郎辺りに『おまえ強そうだな』といわれて、無邪気に嬉しがるほうが人間的にオカシイので、反応としては妥当でしょう。勿論、且元の居心地の悪さは忠勝の褒め殺しのみが理由ではなく、大阪城から自分の頭越しに正反対の命令が下されたこと。この人は大坂の陣でも同じようなシチュエーションに見舞われるので、本作終盤で似たような情景をお目に掛かれるかも。尤も、その時は家康が謀る側になるのですけれども。
4.今週のスズムシ
真田昌幸「『策がある』といったな。あれは嘘だ。それよりも、上洛を渋って、もっともっと真田の値を吊りあげる。倍プッシュだ。勝負のあとには骨も残さない」
真田信幸「聞けぇー! 人の話を聞けぇー!」
久々にあれは嘘だが炸裂した上田パート。秀吉の対家康外交の余慶を蒙ったに過ぎないにも拘わらず、秀吉が真田の価値を認めたと勘違いをしてしまう昌幸の迂闊さよ。信濃の地政学上の価値を高めることを有力大名との交渉の『手段』にしてきた昌幸ですが、どうやら、真田の価値を高めることそのものが『目的』に変化してしまっているようです。流石はスズムシ。尤も、この情勢判断の甘さは信繁からの手紙が届かないことも一因でしょう。秀吉の馬廻りという政権の中枢近くにいる諜報要員から一切の音沙汰がない以上、真田のやり方は秀吉に黙認されていると考えるのは自然な反応かも知れません。この辺、信繁からの手紙がないことをスズムシが己の都合のいいように曲解するシーンがあってもよかったのではないでしょうか。惜しい。
一方、大好きな弟から手紙がこないことで、本能的に事態のヤバさを察しているのがお兄ちゃん。流石ブラコン。お兄ちゃんは信繁が大好きだからね。仕方ないね。折角、おこうさんが唇の腫れを口実にしな垂れかかってきたのに、
真田信幸「……あまり触らないほうがいいと思うぞ」
とマジレスしちゃう辺り、この人は本当に女の扱いが不得手。そこは黙って押しt【自主規制です】。
5.今週の秀吉一家
石田三成「人質ではございません。家康が上洛している間、向こうにお預けするのです」
羽柴秀吉「ほんの一時の人質じゃ」
寧々「人質ではないですか!」
羽柴秀次「……ということは、ほんの一月くらいのことですよね? 物見遊山ですよ。それくらいの気分でいかれれば」
後述するMVPには及ばないものの、小田原評定になりかけた大政所説得の転機となった秀次有能。今回の技能賞確定です。まぁ、浜松では物見遊山のレジャー気分どころか、本多作左が人間キャンプファイヤーの準備をしながら、手ぐすね引いて待ち構えているのですが、結果的に未遂に終わったので、それは些細なことです。大政所の面通しに旭姫を利用して、その反応を覗き見するシーンといい、や徳鬼。尚、このシーンは珍しく、源二郎やきりちゃんが同席しない設定。この場に彼らが居合わせたら、寧々の『実の母親に人質に行けなどと、よう申せますね!』という批判の説得力が欠けてしまうからでしょう。真田家における実の母親は立派な人質要員なので。や真鬼。
6.今週のきりちゃん
茶々「源二郎、誰じゃ?」
真田信繁「きりといって幼馴染です」
茶々「二人はいい仲?」
真田信繁「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………あぁ、ええ、まぁ」
きり「えっ?」キュンッ
茶々「……へぇー(あっ、察し
きりちゃんのウザキャラ設定が報われた!
今まで多くの視聴者からウザがられ、マスコミからも大河バッシングの材料にされてきたきりちゃんの存在が初めてプラスに働いた瞬間! 画面の前で大爆笑してしまいましたよ! 今の君はピカピカに光っている! 胸をキュンとする仕草が何ともウザ可愛いぜ。一歩間違えると寄せてあげるブラのCMに見えなくもないモーションですが、今までのウザさの積み重ねがあったからこその輝きでしょう。
それにしても、このシーンの茶々が怖い。ついでにBGMも怖い。生半な謀略シーンよりも不気味なBGMを被せてきます。もしかすると茶々も秀吉に負けず劣らずのサイコパス設定かも知れません。権佐の一件は彼に色目を使ったというよりも、自分がチョッカイかけた男が秀吉にボコボコにされるのを見るのが楽しいのではないでしょうか。そうなると、きりちゃんが今回の件で茶々のターゲットにされた可能性大。信繁、自分の嘘の責任は取れよ。
7.今週の清正
加藤清正「そんなに家康が恐ろしいのか。そんなに奴の顔色が気になるか」
家康の顔色云々よりも目の前にいる清正の顔が近いほうが遥かに気になる当該シーン。そこまで接近しなくてもいいのに……刑部といい、清正といい、治部の周辺にはホモホモしい雰囲気が漂ってしまうのは前世の因縁というものでしょう。流石は悪左府。はっきりわかんだね。『全ては殿下の判断で三成に罪はない』との助け舟を出した刑部の対応も、治部の『正妻』の座を巡る清正との抗争に見えなくもありません。何れにせよ、心の奥底では大政所の身の上を案じているのに、虎や市松には恥ずかしくて本音をいえない三成は一言足りない系のイラッと人間の典型という私の認識は正しかったようです。
初登場時には治部の邸宅でウダウダとクダを巻いていた清正ですが、今回の一件で治部との決裂を覚悟した模様。所謂武断派の清正と吏僚派の三成の対立軸の始まりとしては妥当な落としどころではないでしょうか。尤も、清正は武辺者である以上に優秀な民政家であるのは周知の事実ですし、三成も賤ヶ岳ではそれなりの武功を挙げているうえ、三成の盟友である吉継の賤ヶ岳での功績は文武両面で七本槍全員を凌ぐものがありましたので、これらを武断派と吏僚派と括るのは無理があります。私個人の独断と偏見ですが、清正や正則と三成の対立は分権派VS集権派という視点から見たほうがいいのかも知れません。勿論、今日的な意味での地方分権とは異なりますが、地方知事と中央官僚の対立のほうがしっくりきますし、靖難の役での斉泰や黄子澄と燕王の抗争のように、有力諸侯の勢力を如何に削るかに腐心する中央官僚というのは各国の歴史でも繰り返し見られるパターンですので。
8.今週のMVP
徳川家康「殿下……芝居がどんどん難しくなっております」
完全に『笑の大学』なのですが、それは。
椿さんから細かい演技を要求された向坂さんの『アナタ、私を過大評価している!』の台詞を思い出しました。いやぁ、笑った笑った。今回もスズムシやきりちゃんといった多くの笑いのツボがありましたが、一番笑ったのがココ。そりゃあ、夜更けに唐突に押しかけてきた相手に台詞を覚えろとかいわれても困りますわなぁ。しかも、信繁の阿国譲りの丹田ネタ辺りから秀吉の口調が説得というよりも催眠術のようになってきていましたし。次にテメーは『殿下がお召しの陣羽織、拙者に頂けませぬか』と言う。ジョセフ・ジョースターか。
勿論、単純な笑いのツボに留まらず、今週の家康は随所で器量の大きさを見せました。旭姫や信繁相手の遣り取りのように心底では穏やかならぬモノを孕みつつも、表面上は平静を装い、誠意を尽くせる人間は信頼に値するものです。今までは癒し要員として重宝されていた家康ですが、今回は判然とのちの天下人の輪郭を垣間見た思い。まぁ、それでも、
徳川家康「一度、安房守には兵法の極意を教えて欲しいものじゃ」(#^ω^)ビキビキビキビキ
この台詞の時は流石に溢れる憎悪を隠しきれませんでしたが。
しかし、本作は本当に大河ドラマ的な仰々しさとはかけ離れた作品ですね。内野聖陽と小日向文世という稀代の個性派・演技派の俳優を揃えたら、普通は天下人二人のド正面からの腹芸を描きたくなるものですよ。それなのに名優二人に『芝居下手』『あがり症』をやらせるとか……勿体ないけれども面白い! ホンマ、三谷さんは歪んでいるわぁ。ちなみに、この二人は『風林火山』序盤の仇敵同士。短期的には諏訪が一矢報いた形ですが、長期的には勘助の勝ちという展開は変わらない模様。
9.今週の治部
石田三成「どうしても真田に届けたい文なら、もっとうまくやれ」
先回に続き、今回も信繁の手紙にリテイクを出す治部。優しい。ガチで優しい。ツンデレとはこういう人間をいうのでしょう。本当に信繁を嫌っていたら、手紙を口実に処罰することも、偽の手紙を差し替えて真田を滅ぼすこともできる筈なのに、密書を通じて信繁を鍛えているかのようです。やだ……三成ってカッコいい。しかし、
石田三成「もっと物事の裏を読め。素直なだけでは生きてはいけぬ」
おまえにッ! だけはッ!
いわれたくッ! ないッ!
いや、これはこれで関ケ原の布石なのか。あ、それと密書にも拘わらず、宛名も差出人も本名で書いちゃうお兄ちゃん可愛い。これは三成に呆れられても仕方ないレベル。まぁ、
真田昌幸「あれだけ勢いのあった信長はどうなった? 人生、調子のいい時ほど何かが起こるものじゃ。こりゃあ、秀吉が滅びる日も近いぞ」
こんなスズムシのフォローを一人でやっているのですから、そこまで気が回らないのも已むを得ないのかも知れません。内記は兎も角、出浦さんもスズムシの暴走を止めないからなぁ。何だかんだで大泉さんが一番マトモに見えるという点で、現在の上田パートの昌幸・信幸・内記・出浦さんのカルテットが『どうでしょう』の四人にダブッてしまう今日この頃。
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武田晴信「わしはどんなことをしても……湖衣姫を手に入れる!(キリッ
とメチャクチャ生真面目な表情で宣言するのですけれども、そのために晴信が取った行動は単なる夜這いなのですよ。外見が中井貴一さんというだけで、やっていることは冴羽獠と変わらん。しかし、天下国家の大事から、やりたい盛りの辛さに至るまで、押し並べて仰々しさを求められるのが大河ドラマではないかと改めて思いました。
その点、今年の『真田丸』が大河ドラマらしさに欠けることは何度も述べてきた通りです。今回でいうと大政所の人質の件。あれ、大河ドラマの王道に従うと、百姓から雲上人になりあがった秀吉一族の悲劇がメインになるのですが、普通にコメディシーンになっている。それと終盤の秀吉と家康の対面。猿と狸という天下屈指の千両役者同士の名演技が見所になる筈なのに本番に弱い大根役者が開演前日に必死こいて台本合わせをするという通説とは真逆の設定でした。敢えて王道を外してくる。それが三谷さんの作風です。この辺は以前の記事で『三谷さんは真面目な場面を書くのに照れが入る人なので、王道大河は望めない』と書いた通りの展開。
でも、それで面白くないかといわれると決してそんなことはなく、特に今回は非常に面白かった。久々に復帰した松さんの件が霞むくらいの小ネタの機銃掃射。『真田丸』は小ネタのスピーディー感が生命線なので、それを封じられるシチュエーション(合戦とか)ではイマイチな内容になりがちですが、日常と史実がパタパタと交錯する回には安定感がありますね。第一次上田合戦がアレな内容に終わったのは、三谷さんにしては真面目に合戦に取り組み過ぎたからなのか……でも、合戦シーンくらいは正面から描いて欲しいからなぁ。あ、ちなみに松さんは記憶喪失ではなく、空っ惚けているのではないかと予想します。そんな今週の『真田丸』のポイントは9。何気に史上最多かも。ちなみにサブタイの『再会』はお松さん以外にも秀吉と家康にもかかっていると思われます。
1.今週のナレーション
ナレーション「真田にとって最大の危機が訪れようとしていた」
何度目の最大の危機だ。
放送の度に最大の危機が訪れている、毎日がアルマゲドンな真田一族。本来、芝居や脚本で補いきれない情報をフォローするのがナレーションの役割ですが、本作ではナレーションもネタの提供に一役買っております。これでネタバレがなければ、結構好きになれそうなのですが……。
2.今週の秀吉
羽柴秀吉「安心せい、真田はワシが守ってやる」
家康に真田討伐を許したのは外交上のポーズという秀吉。結果的に秀吉の思惑通りの展開になりましたが、しかし、阿国の舞台を見ながら暗に権佐殺害の真相を仄めかす秀吉をはじめ、自分と会ったことを黙っておいて欲しいと頼んだにも拘わらず、当然のように秀吉に漏らす茶々といい、お前を殺そうとしたけれども、清正はイイ奴だから許してやってよとかワケの判らない理屈を捏ねる秀長といい、誰よりも大政所の心配をしているのに周囲の人間には恥ずかしくて本音をいえないツンデレ治部といい、斯くも多くの奇人変人に囲まれていたら、秀吉の『真田はワシが守る』なんて台詞、真に受けるほうがどうかしています。信繁は秀吉の言葉を信じられなかったというよりも大坂城にいる連中の人間性そのものを疑っていたのではないでしょうか。時期的に信繁ときりちゃんの接近が近いと思いますが、斯くもアレな人間に囲まれていた所為で、きりちゃんが相対的にマトモに見えてくるという展開なのかも。
3.今週の平八郎
本多忠勝「失礼ながら、片桐さまは『賤ヶ岳七本槍』の御一人であられるとか。天下の豪傑にお逢いできて光栄に存ずる」
片桐且元「は、はぁ……」
どう見ても忠勝のほうが強そうに見える二人の対談。褒められた且元のほうが居心地悪そうにしていましたが、範馬勇次郎辺りに『おまえ強そうだな』といわれて、無邪気に嬉しがるほうが人間的にオカシイので、反応としては妥当でしょう。勿論、且元の居心地の悪さは忠勝の褒め殺しのみが理由ではなく、大阪城から自分の頭越しに正反対の命令が下されたこと。この人は大坂の陣でも同じようなシチュエーションに見舞われるので、本作終盤で似たような情景をお目に掛かれるかも。尤も、その時は家康が謀る側になるのですけれども。
4.今週のスズムシ
真田昌幸「『策がある』といったな。あれは嘘だ。それよりも、上洛を渋って、もっともっと真田の値を吊りあげる。倍プッシュだ。勝負のあとには骨も残さない」
真田信幸「聞けぇー! 人の話を聞けぇー!」
久々にあれは嘘だが炸裂した上田パート。秀吉の対家康外交の余慶を蒙ったに過ぎないにも拘わらず、秀吉が真田の価値を認めたと勘違いをしてしまう昌幸の迂闊さよ。信濃の地政学上の価値を高めることを有力大名との交渉の『手段』にしてきた昌幸ですが、どうやら、真田の価値を高めることそのものが『目的』に変化してしまっているようです。流石はスズムシ。尤も、この情勢判断の甘さは信繁からの手紙が届かないことも一因でしょう。秀吉の馬廻りという政権の中枢近くにいる諜報要員から一切の音沙汰がない以上、真田のやり方は秀吉に黙認されていると考えるのは自然な反応かも知れません。この辺、信繁からの手紙がないことをスズムシが己の都合のいいように曲解するシーンがあってもよかったのではないでしょうか。惜しい。
一方、大好きな弟から手紙がこないことで、本能的に事態のヤバさを察しているのがお兄ちゃん。流石ブラコン。お兄ちゃんは信繁が大好きだからね。仕方ないね。折角、おこうさんが唇の腫れを口実にしな垂れかかってきたのに、
真田信幸「……あまり触らないほうがいいと思うぞ」
とマジレスしちゃう辺り、この人は本当に女の扱いが不得手。そこは黙って押しt【自主規制です】。
5.今週の秀吉一家
石田三成「人質ではございません。家康が上洛している間、向こうにお預けするのです」
羽柴秀吉「ほんの一時の人質じゃ」
寧々「人質ではないですか!」
羽柴秀次「……ということは、ほんの一月くらいのことですよね? 物見遊山ですよ。それくらいの気分でいかれれば」
後述するMVPには及ばないものの、小田原評定になりかけた大政所説得の転機となった秀次有能。今回の技能賞確定です。まぁ、浜松では物見遊山のレジャー気分どころか、本多作左が人間キャンプファイヤーの準備をしながら、手ぐすね引いて待ち構えているのですが、結果的に未遂に終わったので、それは些細なことです。大政所の面通しに旭姫を利用して、その反応を覗き見するシーンといい、や徳鬼。尚、このシーンは珍しく、源二郎やきりちゃんが同席しない設定。この場に彼らが居合わせたら、寧々の『実の母親に人質に行けなどと、よう申せますね!』という批判の説得力が欠けてしまうからでしょう。真田家における実の母親は立派な人質要員なので。や真鬼。
6.今週のきりちゃん
茶々「源二郎、誰じゃ?」
真田信繁「きりといって幼馴染です」
茶々「二人はいい仲?」
真田信繁「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………あぁ、ええ、まぁ」
きり「えっ?」キュンッ
茶々「……へぇー(あっ、察し
きりちゃんのウザキャラ設定が報われた!
今まで多くの視聴者からウザがられ、マスコミからも大河バッシングの材料にされてきたきりちゃんの存在が初めてプラスに働いた瞬間! 画面の前で大爆笑してしまいましたよ! 今の君はピカピカに光っている! 胸をキュンとする仕草が何ともウザ可愛いぜ。一歩間違えると寄せてあげるブラのCMに見えなくもないモーションですが、今までのウザさの積み重ねがあったからこその輝きでしょう。
それにしても、このシーンの茶々が怖い。ついでにBGMも怖い。生半な謀略シーンよりも不気味なBGMを被せてきます。もしかすると茶々も秀吉に負けず劣らずのサイコパス設定かも知れません。権佐の一件は彼に色目を使ったというよりも、自分がチョッカイかけた男が秀吉にボコボコにされるのを見るのが楽しいのではないでしょうか。そうなると、きりちゃんが今回の件で茶々のターゲットにされた可能性大。信繁、自分の嘘の責任は取れよ。
7.今週の清正
加藤清正「そんなに家康が恐ろしいのか。そんなに奴の顔色が気になるか」
家康の顔色云々よりも目の前にいる清正の顔が近いほうが遥かに気になる当該シーン。そこまで接近しなくてもいいのに……刑部といい、清正といい、治部の周辺にはホモホモしい雰囲気が漂ってしまうのは前世の因縁というものでしょう。流石は悪左府。はっきりわかんだね。『全ては殿下の判断で三成に罪はない』との助け舟を出した刑部の対応も、治部の『正妻』の座を巡る清正との抗争に見えなくもありません。何れにせよ、心の奥底では大政所の身の上を案じているのに、虎や市松には恥ずかしくて本音をいえない三成は一言足りない系のイラッと人間の典型という私の認識は正しかったようです。
初登場時には治部の邸宅でウダウダとクダを巻いていた清正ですが、今回の一件で治部との決裂を覚悟した模様。所謂武断派の清正と吏僚派の三成の対立軸の始まりとしては妥当な落としどころではないでしょうか。尤も、清正は武辺者である以上に優秀な民政家であるのは周知の事実ですし、三成も賤ヶ岳ではそれなりの武功を挙げているうえ、三成の盟友である吉継の賤ヶ岳での功績は文武両面で七本槍全員を凌ぐものがありましたので、これらを武断派と吏僚派と括るのは無理があります。私個人の独断と偏見ですが、清正や正則と三成の対立は分権派VS集権派という視点から見たほうがいいのかも知れません。勿論、今日的な意味での地方分権とは異なりますが、地方知事と中央官僚の対立のほうがしっくりきますし、靖難の役での斉泰や黄子澄と燕王の抗争のように、有力諸侯の勢力を如何に削るかに腐心する中央官僚というのは各国の歴史でも繰り返し見られるパターンですので。
8.今週のMVP
徳川家康「殿下……芝居がどんどん難しくなっております」
完全に『笑の大学』なのですが、それは。
椿さんから細かい演技を要求された向坂さんの『アナタ、私を過大評価している!』の台詞を思い出しました。いやぁ、笑った笑った。今回もスズムシやきりちゃんといった多くの笑いのツボがありましたが、一番笑ったのがココ。そりゃあ、夜更けに唐突に押しかけてきた相手に台詞を覚えろとかいわれても困りますわなぁ。しかも、信繁の阿国譲りの丹田ネタ辺りから秀吉の口調が説得というよりも催眠術のようになってきていましたし。次にテメーは『殿下がお召しの陣羽織、拙者に頂けませぬか』と言う。ジョセフ・ジョースターか。
勿論、単純な笑いのツボに留まらず、今週の家康は随所で器量の大きさを見せました。旭姫や信繁相手の遣り取りのように心底では穏やかならぬモノを孕みつつも、表面上は平静を装い、誠意を尽くせる人間は信頼に値するものです。今までは癒し要員として重宝されていた家康ですが、今回は判然とのちの天下人の輪郭を垣間見た思い。まぁ、それでも、
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しかし、本作は本当に大河ドラマ的な仰々しさとはかけ離れた作品ですね。内野聖陽と小日向文世という稀代の個性派・演技派の俳優を揃えたら、普通は天下人二人のド正面からの腹芸を描きたくなるものですよ。それなのに名優二人に『芝居下手』『あがり症』をやらせるとか……勿体ないけれども面白い! ホンマ、三谷さんは歪んでいるわぁ。ちなみに、この二人は『風林火山』序盤の仇敵同士。短期的には諏訪が一矢報いた形ですが、長期的には勘助の勝ちという展開は変わらない模様。
9.今週の治部
石田三成「どうしても真田に届けたい文なら、もっとうまくやれ」
先回に続き、今回も信繁の手紙にリテイクを出す治部。優しい。ガチで優しい。ツンデレとはこういう人間をいうのでしょう。本当に信繁を嫌っていたら、手紙を口実に処罰することも、偽の手紙を差し替えて真田を滅ぼすこともできる筈なのに、密書を通じて信繁を鍛えているかのようです。やだ……三成ってカッコいい。しかし、
石田三成「もっと物事の裏を読め。素直なだけでは生きてはいけぬ」
おまえにッ! だけはッ!
いわれたくッ! ないッ!
いや、これはこれで関ケ原の布石なのか。あ、それと密書にも拘わらず、宛名も差出人も本名で書いちゃうお兄ちゃん可愛い。これは三成に呆れられても仕方ないレベル。まぁ、
真田昌幸「あれだけ勢いのあった信長はどうなった? 人生、調子のいい時ほど何かが起こるものじゃ。こりゃあ、秀吉が滅びる日も近いぞ」
こんなスズムシのフォローを一人でやっているのですから、そこまで気が回らないのも已むを得ないのかも知れません。内記は兎も角、出浦さんもスズムシの暴走を止めないからなぁ。何だかんだで大泉さんが一番マトモに見えるという点で、現在の上田パートの昌幸・信幸・内記・出浦さんのカルテットが『どうでしょう』の四人にダブッてしまう今日この頃。
コミック・マスターピース シティーハンター 1/6スケールフィギュア 冴羽 獠 (サエバ リョウ)/ホットトイズ

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痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス/メディカルトリビューン

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