少し古い話になりますが、先月末に放送された『幻解! 超常ファイル』で9・11関係のデマや陰謀論が取りあげられていました。一昔前に流行ったオカルト紹介系の番組と異なり、理論的・科学的視点で超常現象に迫るスタンスで好きで、初回から殆ど見続けていますが、今回の結論はアリキタリ過ぎというか……『デマや陰謀論に惑わされないためには疑う心を大切にしましょう』というもの。『株は安い時に買って高い時に売りましょう』と同じで、それができれば苦労はしません。むしろ、
シャア・アズナブル「人間は他人を信じないからさ。信じないから疑い、疑うから他人を悪いと思い始める。人間を間違わせるのさ」
という腋毛の処理を欠かさないグラサンノースリーブの言葉通り、時に疑う心がデマや陰謀論を育む土壌になるのが人類の歴史の救いがたいところです。私が考えるデマや陰謀論がなくならない理由は単純で、
極稀に的中しちゃうから
です。総体では外したケースのほうが圧倒的に多いのに、当たった時の記憶が強烈過ぎる所為で負けの印象が残らない点で、デマや陰謀論は賭博に似ている。賭博と違うのは、外した本人が直接損害を蒙るケースが少ないことでしょう。この点、余計に厄介ですね。デマや陰謀論を駆逐するのは、人類社会から賭博をなくすのと同じくらいに困難なことではないかと思います。そのうえ、9・11が一つの発端となった戦争では、サムおじさんが武力で一国を滅ぼした挙句、開戦の口実とされた証拠品は見つからず終いとかいうチンケな捏造が罷り通っちゃったのですから、そりゃあ、デマや陰謀論を唱える人間が減らないのは残当。
先日発生した震災に関して誰かが井戸に毒を投げ込んだとかいう、ヨーロッパの人間が聞いたら、
『そのデマは既に我々が五百年前に通過した場所だ!』
と鼻で笑いそうな話が飛び交ったとの報道を耳にして、デマや陰謀論は人類社会が存続するかぎり、なくならないのだろうなぁという思いを新たにした次第。勿論、それは特定の誰かに対する論拠のない誹謗中傷の免罪符にはなり得ません、念のため。
ちなみに上記番組で紹介されたCBS集計の『アメリカ人が考える【真相が他にあると考えられる出来事】のトップ3は『9・11』と『元英国王妃事故死』と『キリストの死』。前者二つは兎も角、キリストの死に関する異説は何なのか凄く気になる。御存知の方がおられましたら、情報プリーズ。
今回も最近鑑賞した作品に関する感想をポツポツと書いていきます。まずはこれ。
雪組宝塚大劇場公演 ミュージカル・ノスタルジー『星逢一夜』/バイレ・ロマンティコ『La Esm.../宝塚クリエイティブアーツ
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¥10,800
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昨年末の上京時にお逢いした穂積さんが猛プッシュされていた作品。まさか、TVで放送されるとは思いませんでした。穂積さん、事前に放送の情報を教えて下さいまして、ありがとうございました。
恥ずかしながら、宝塚の演目をじっくりと鑑賞したのは今回が初めてでしたが、出演者の演技力……というか美に対する表現力に度肝を抜かされました。何を如何すれば自分が美しく見えるのか、それを全員が心得ているよう。全ての役柄を女性が演じなければいけないという『縛り』を、それ以外の要素を徹底的に磨きあげることでパワーに変える『凄味』。小賢しい理屈を捻じ伏せる作品の圧倒的な魅力をJoJoファンは『凄味』(キン肉マンでは『ゆで理論』)と表現しますが、その『凄味』をリアルで体験した思いです。
勿論、単なる『凄味』で構築されているワケではなく、ストーリーのクオリティも圧倒的。本作は紀之介、泉、源太という三人の少年少女の身分違いの友情や恋愛が発端ですが、その特異点は三人の出会いが各々の運命に全く影響を与えあっていないことですね。このテの悲恋・悲劇では『あの日あの時あの場所で君と出会わなかったら、僕らの運命は変わっていた』という展開になりがちなのに、本作は違う。この三人が星観櫓で出会わなくても、紀之介は部屋住みから脱して家督を継ぎ、領国で起きた一揆の責任を取らされたでしょうし、泉は源太の子を生み、その源太は一揆の旗頭として死んだでしょう。途中経過に若干の差異は発生したかも知れません(紀之介の嫁取りとか)が、大筋の流れは変わりようがない。序盤で紀之介が幾度も両親や傅役から聞かされる『百姓と我々は住む世界が違う』という言葉は本当に正しいのです。如何に攪拌を試みようとも、彼らの運命は水と油のように混じりあうことなく、終盤の悲劇に向かって突き進んでいく。それこそ、本作で象徴的に語られる星の運行のように運命は人間の思惑とは関わりなく、斯くあるべき結末に帰結する。この抗いがたい運命の残酷さ。
人知で覆せないものこそが、本当の『運命』ではないか。
『あの時ああしていれば』という『後悔』を抱ける人生は実は『幸福』なのではないか。
本当の悲劇とは他に選択肢がないと知りつつも、その方途を選ばざるを得ないことなのではないか。
悲しい。しかし、悲しいからこそ、美しい。以前に『蒼穹のファフナー』の感想で述べたように美しいとは悲しいことなのだという思いを確信した作品でした。本作は二度目、三度目のほうが泣けると思います。ラストの星観櫓のシーンを冒頭から見せられるようなものですからね。穂積さんは『冒頭からラストまで周囲で啜り泣きが絶えなかった』と仰っておられましたが、多分、リピーターの観客がおられたのではないかと愚考仕る次第。
そんなアザトイばかりの泣かせが際立つ本作ですが、私個人は終盤で泉の子供たちが母親を探しに来る場面以外は辛うじて平静を保って鑑賞できました。理由は香綾しずるさん演じる鈴虫膳右衛門。いや、香綾さんや役柄がどうこういうのではなく、今の私は『どうでしょう』や『真田丸』の影響でスズムシが笑いのツボなのよ。作中で『スズムシ!』『スズムシ!』と繰り返される度にフフフッという笑いが込みあげてしまいました。この点はリアル観劇でなくてよかった。
次はこれ。
劇場版「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」オリジナルサウンドトラック/ビーグラム
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天海祐希さんがゲスト出演ということで、強引に宝塚繋がりで持ってきた今年の劇場版コナン。内容を要約すると、
赤井秀一「本当の敵は『黒の組織』ではないのか!」チャンチャンバラバラ
安室透「僕にとっては違うな!」チャンチャンバラバラ
江戸川コナン「やめなさい、赤井さん! やめなさい、安室さん! FBIと公安が角突きあわせているからって、二人が争うことなんてないのよ!」
でいいのかな。本当にね、原作読んでいても、何で赤井と安室が観覧車のテッペンでガチバトルしなきゃアカンのか全く判らなかったよ。劇場版は劇場版で自己完結する物語であって欲しいのですが……終盤の観覧車の崩落シーンはド迫力映像でしたので、その場面目当てで見る価値はあるかも。逆にいうと見所はそれくらいで、ぶっちゃけるとコナンいなくてもよかったよねという内容でした。誰が主人公だ、この作品。ちなみに赤井と安室がウダウダしていた所為で、無用のツケを支払わされた公安刑事を演じていたのは飛田展男さん。カミーユの役柄そのまんまじゃないですか。今年のコナンはガンダム好きには意外と楽しめる内容でした。
冒頭で触れた天海祐希さん演じるキュラソーは……ああいう最期かぁ。てっきり、この女性も何処かの組織、MI6辺りの『ノック』で生き残ると思っていましたが、これ以上、組織の中にスパイがウロついていると、作中における組織の威厳がなくなってしまいそうなので、仕方ないのかも知れません。『黒の組織』の人事はザル過ぎるんだよなぁ。世間ではジンニキ無能説が幅を利かせていますが、ジンが疑う相手は殆どガチモンのスパイじゃないですか。ジンニキ、ぐう有能。むしろ、ジンよりも『あの御方』が組織の足を引っ張っているのではないかと思えます。まぁ、流石に、
ジン「聞こえているか……毛利小五郎」
の件はイイワケできないレベルの失態でしたが。そういや、今回も仕掛けた筈の爆弾が起動しなかった時にポチポチとボタンを連打していましたな。やだ……ジンニキ可愛い。
続いてはこれ。
コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ 第1巻 (特装限定版) [Blu-ray]/石川界人,上坂すみれ,豊崎愛生
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雨戸幸一「いい加減にしろ! 神とか超人とかどうでもいい……国も政府も関係ねぇ……選手たちは必死にやってきたんだ! この国スポ目指して、必死で四年間自分を磨いてきたんだ! おまえら、そんだけの力があるのなら、内輪揉めなんてやってないで、早く元に戻せ! 早く元のジャンプ台に戻してくれ! 選手の四年間を無駄にしたくない!」
久しぶりにリアルタイムのアニメで胸にグッときたシーン。次回予告を見た時は『MASTER KEATON』の『家族』のような、国家という幻想を信じてドーピングに奔った選手の悲哀が描かれるものとばかり思っていましたが、本編は現在進行形の問題に鋭く切り込んできました。いや、ドーピングも現在進行形の問題ではあるのですが。
ここ数日、国際競技大会に関する或る案件が世間を騒がせています。勿論、重要な問題ではあるでしょうけれども、それらの報道が選手のことを念頭に置いて議論しているかと問われると心許ないものを感じました。工事費用のようなアカラサマな問題に目を瞑れという意味ではありませんし、近年の歴史を慮るに、当該国際競技大会はスポーツの枠を越えた、国際社会の駆引きのカードとして存在している側面は否定できないのですが、それでも、あくまでも主役は選手という大前提を度外視して話を進めないようにしたいと思った次第。『建前を最初から馬鹿にする人間は信用できない』というヤン艦隊の副参謀長の言葉は、永遠の真理ですね。
あ、こうしたメッセージ性のみならず、単純にアニメとしても面白かったです。特に雨戸のラストジャンプ。それまでは揃えていた両足をV字に広げるシーンは鳥肌たったよ! そうなんだよなぁ。私が子供の頃のスキージャンプは両足を揃えていたんだよなぁ。人間が超人を越える瞬間を描くのに最適の描写! 『コンレボ』は相変わらず燃えるぜ。
更にこれ。
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? 第1巻(初回限定版)(聴猫芝居書き下ろし文庫小説同梱) .../豊永利行,日高里菜,水瀬いのり
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玉置亜子「ルシアン、どいて! そいつ○せない!」
このネタ絶対やると思った!
しかも、元ネタと違い、襲う側が『アコ』というのが最高ですね。ラリアットでの返り討ちも含めて、ネトゲ経験者には堪らんネタのオンパレード。昨年の『下ネタ~』以来、始終ニヤニヤしっぱなしで鑑賞できる作品です。下手すると今年のベスト10入りあるかも。
尤も、本作は単純にネトゲ経験者ウケする内容に留まらず、ヒットを狙ううえで要素を考えるうえで重要なものを秘めているのではないかと思います。よく、世間ではヒットする作品にはあるあるネタが大事といわれますが、本当に大事なのはあったらいいなネタなのではないでしょうか。ネトゲで知りあったギルドメンバーが全員美少女というのは、現実にはほぼあり得ない展開(実際、私もネトゲではネカマキャラでした)とはいえ、そこでリアリティを優先したら、フィクションとしての作品が成立しないのも揺るぎがたい事実です。これは『SHIROBAKO』も同様で、あれは業界あるあるネタがウケたように思われがちですが、実際の業界はいい人ばかりじゃないでしょうし、期日通りに作品が完成するとはかぎらない(それこそ、水島監督の『ガルパン』が証明しています)し、原作者との意思疎通が叶うケースばかりではないでしょう。実際のアニメ制作の現状を踏まえたうえで、更に『こうであったらいいな』という理想を上乗せしたからこそ、視聴者は作品から現実の生臭さを感じることなく、作品を楽しく鑑賞できたのではないかと思います。この辺、業界モノのドラマで一発狙っている方々の参考になるのではないでしょうか。
最後は、これ。
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地元の局で第二話からの放送が始まった本作。第一話は永遠に見られないのよね……何ちゅうもんを放送してくれたんや、全く。
さて、世間ではおそ松女子なる言葉が流布したほどの人気を博した本作。私個人は腐でもなければ、女子でもないのですが、しかし、私も大いにハマッてしまいました。単純に面白いというよりも、懐かしいものを見たという印象ですね。勿論、懐かしいというのは『おそ松くん』のことではなく、久しぶりにコントを見たという気分。私が若い頃は『ドリフ』や『ひょうきん族』のようにゴールデン枠でコント番組が放送されるのは当然のことでしたが、ここ数年、コント番組は減少の一途を辿り、本格的なコント番組はNHKの深夜枠で放送されているに過ぎない状態。その隙間に『おそ松さん』がスポッと入り込んだ感じです。
これは別にコメディアンの質が落ちたとかいう話ではありません。個人、乃至は特定のコンビのセンスに全てを委ねるようなバクチじみた番組制作ができるほどの余裕が、現在のTV局にはないという現状の現れではないかと思います。近年のコント番組の代表作である『笑う犬シリーズ』も複数のコメディアンが参加する形態でした。TVに留まらず、漫画やアニメでもセンスに依存するギャグ作品ではなく、過去の実績を参考にしやすいストーリー作品が主流になっているのも、基幹にあるモノは同じなのではないでしょうか。そう考えると『おそ松さん』のヒットは作風のアレさと裏腹に、日本の社会経済が抱える問題点を反映した社会風刺に近い現象といえるかも知れません。あ、ちなみに私はトド松推しです。
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