杉下右京「斗ケ沢があの山に逃げ込んだのは、三年前ですよ」
冠城亘「」
イヤアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
深夜の録画視聴を今回ほどに悔やんだ話はありません。こんなん見せられたら、トイレにいけないじゃないですか。いや、マジで勘弁して下さい。取り敢えず、今夜は夜が明けるまでは一歩も部屋を出ないで感想記事書くことにします。オチの強烈さでは今季随一の内容でした。前後編の随所で何度も映し出されていたスーツの男は生者でも影武者でもなく、全部モノホンでしたか……しかし、すぐ傍で怪奇現象が起きていたにも拘わらず、今回も幽霊を目撃することが叶わなかった杉下。これも日頃の行いというものでしょう。カイト君の時と同様、冠城君にも目撃の先を越された杉下でした。まぁ、カイト君の時は霊魂ではなく、入定した伏木田庵主でしたが。
尤も、オチの恐怖を除くと全体的にパッとしない話で終わっちゃったのも事実。ハッキリいって、
二話に分ける必要なかった
と思います。白いスーツの男がモノホンであったという以外、特に『おぉっ!』となる展開は皆無。杉下の受難や離婚した夫婦、電話工事の作業員といった要素を排除して、一時間にまとめたほうが、無難な佳作に落ち着いたのではないでしょうか。確かに二週に渡っていたからこそ、視聴者がラストまで村井流雲の失踪と冠城による幽霊目撃、そして、斗ヶ沢の宝石強盗事件の前後関係が掴みにくくなり、オチの秀逸さを生んだとも思えますが、逆にいうと他の場面が退屈極まりなかったからこそ、オチが際立ったともいえます。ある意味で構成の勝利といえなくもないですが。
まぁ、そうはいっても、村の奇妙な皆々に全く存在意義がなかったかといえば、そうでもなかったかも。『村の他に生きる場所がない』という遠藤里実の諦観と『その村を守るためなら何だってやる』という役人・前園の開き直りは、村を【自主規制です】に置き換えると、意外と身近に存在する問題に通底するものがあるようにも思えます。
そして、
杉下右京「黙りなさいぃ!」プルプルプルプル
も久々に炸裂しましたが、犯人に対する純粋な怒りではなく、自分が危険な目に遭わされた報復の怒声に思えてしまうのは、下種の勘繰りというものでしょう。そういや、中盤で杉下が、倉庫の鍵が開いていたのを見落としていたかのような描写がありましたが、あれ、本気で杉下が色々な意味でヤバいんじゃないかと思ってしまいました。奥さんが開けていたのね。ちょっと安心。
次回は遂に今季最終回!
冠城亘最後の事件らしいですが、それよりも目を惹いたのは石橋蓮司さんの出演! 『殺人講義』以来でしょうか! あれ、亀山時代では結構好きな話でした。でも、私的には石橋さんは『ジャングル』のバラバラ事件の真犯人。それこそ、今回の犯人を演じた下條アトムさんも『ジャングル』序盤の『怪盗ムササビ』でした。何という俺得キャスティング。
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