今年の年末は上京します。
冒頭から何の脈絡もない話から入って恐縮ですが、ここで公表しておかないと、今の部署の都合に流されてズルズルと出勤させられそうな雰囲気なので、自分を鼓舞する意味を込めての上京宣言。ちなみにホテルも予約ずみ。ここ最近、都心のホテルは予約を取りにくいと聞いたのも、早目のリザーブ&今回の宣言に踏み切った理由の一つ。今のところ、特に具体的な予定はありませんが、何人かの知人友人には夏の予定を当方の都合ですっぽかす不義理を仕出かしているので、お会いして頭を下げなければ……あ、それと昨年歴史記事にした山川浩の墓参をしたいのですが、青山霊園は一般人でも&年末でも足を運ぶことができるのでしょうか。御存知の方、おられましたら情報プリーズ。
今週は『相棒』『修羅の刻』の感想に加えて、実写版『パトレイバー』の劇場版と海外ドラマ『BONES』『ストレイン』のレンタルリリースが控えており、本当に寝る間もなくなりそうな予感。『おにぎり女』なんか見ている場合じゃねぇ! いや、見ないと総評書けないから見ますけれどもね。寧ろ、前回は見てよかった。学問を勧めた相手に『忙しいから帰れ』といわれたヒロインが『アイツら馬鹿だから私のいうことの素晴らしさが理解できへんねん』とかほざく、カルト宗教の勧誘員さながらの薄ら寒い言動は、まさに私が評するところのオーガニック(笑)大河の真骨頂でした。おかげで総評記事の山場を一つ越えることができそうです。ありがとう、小松江里子(呼び捨て)。そして、たぶちん同様、二度と大河ドラマに戻ってこないで下さい。いつも以上に前置きが長くなりましたが、逆に本編の話題は3つと少な目です。悪しからず。
1.天挑五輪仟玖佰肆什
先月、久しぶりにKAKさんとNG市で飲んできました。毎回、KAKさんは素敵な店に案内して下さるんだよなぁ。ありがとうございます。お店の詳細はKAKさんのブログにUPされていますので、是非、ご覧下さい。鹿肉美味しゅうございました。待ちあわせの間はNG駅前の平安堂で本を物色。新幹線の開通で30分足らずでNG市に着けるようになったので、じっくりと本を選ぶ時間が取れました。そして、タイトルでビビッときてレジに持参したのがこれ。
幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで (講談社学術文庫)/講談社
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二〇二〇年のではなく、一九四〇年に開催される筈であった東京オリンピックの招致から返上に至る顛末を赤裸々に綴った一冊。当事者の方々には不謹慎なモノイイかも知れませんが、読んでいると引き攣った笑いがこみあげてくるのよね。特に日中戦争勃発~国際的社会圏・経済圏からの孤立~資源不足による建築資材の高騰~オリンピック返上に至る流れは、歴史の結果を知っている現代人としては『どうして事前に予測できなかったのか』と首を傾げざるを得ない。『水曜どうでしょう』もビックリのザル企画っぷりに、
大○洋「やることなすことダメだ」
という愚痴が聞こえた気がしました。尤も、今回の東京オリンピックも消費税増税~建築資材の高騰~競技場のデザイン撤回という流れを辿っているので、大きな口は叩けない気もします。寧ろ、先の読めない戦争と違い、事前に確実にあがると判っている消費税を計算に入れなかった(と弁明する)現代のほうが遥かにヤバいかも知れませんが、これ以上踏み込むのは色々と怖いのでスルーしましょう。いやー、歴史って当事者でなければ最高のループ系ドラマとして楽しめますね。
一応、お断りしておくと、私は二〇二〇年の東京オリンピックを巡るトラブルを批判するつもりで記事を書いているワケではありません(擁護する気もありませんが)。単純に『似ている点があって面白い』と楽しんでいるだけです。『SHIROBAKO』を見るまでもなく、プロジェクトにミスやトラブルはつきもの。況してや、国家規模の計画に一切の瑕瑾がないなんて話は絶対にあり得ない。そんなことを公言できるのはびっくりするほどのユートピアか、ファシストに支配された独裁国家のどちらかに決まっています。この著作から普遍的な教訓なり原則なりを引き出すとしたら、
戦争は国民が気づいた時には始まっている
ということでしょうかね。上記のように、日中戦争開戦直後~太平洋戦争開戦直前まで開催を目指して奔走する五輪委員の描写を見ていると、その懸命さに同情する一方で『この人たちには当時の世界情勢が見えないのか』と不思議に思えてならない。でも、戦争とは国民全員が『準備万端整いました! 戦いましょう!』と始めるモンではなく、いつの間にかズルズルと、或いは気がついたら唐突に始まるものであるからこそ、彼らはギリギリの段階まで開催に固執したのではないかと思えます。まぁ、単純に縦割行政から来る視野狭窄の可能性も否定できないんですけれども。他の教訓としては、
① たった5年足らずで国家の精神は腐敗する
② オリンピックは司馬さんがいう『位打ち』である
③ マスコミが美談をデッチあげるのは昔からである
などが挙げられますが、詳しく述べるとトンデモない量の抜粋文を載せなくてはいけない&もっとヤバいネタに足を踏み込むことになるのでやめておきましょう。本書を御購入頂くか、年末上京時に直接に尋ねて頂けると幸いです。
2.『SHIROBAKO』第18話&第19話感想(ネタバレ有)
矢野エリカ「私、この業界に入るまで、大人の人って『ちゃんと仕事をする』のが当たり前だと思ってました」
ブランク明けにも拘わらず、キツい物言いは健在のエリカ嬢。尤も、T樫Y博とかT中Y樹とかを見ていると、ちゃんと仕事しない大人が結構存在するのは社会に入る前から判りそうなものです。エリカ嬢は同人活動もしているらしいので、その辺は一般人よりも詳しいと思うんですけれども。
さて、上記の台詞が象徴するように、今回の主題は『大人たちの憂鬱』とでもいいましょうか。オッサン、オジサン、オジイサンと呼ばれてもおかしくない年代のキャラクターが現実から逃げる、逃げる、逃げる。今までは木下監督よりも年長のキャラクターは丸岡社長といい、杉江さんといい、菅野監督といい、立派な大人として扱われるケースが多かったのですが、今回は逆の展開。
ただし、これも別に彼らが一概にダメ人間というワケではないと思います。今回、社長が仕事でテンパっているみゃーもりを昔日の武蔵野動画に連れていって、やる気を出させる話がありましたが、あれ、実に含みのある場面ですね。確かにみゃーもりが幻視した昔日のアニメスタジオの回想は、全員がいい作品を作るという目標に向かって頑張っていたものの、実際問題として武蔵野動画は解散したワケで、じゃあ、何でそうなったのかというと壁に貼ってあった、
「勝ちとろう ベースUP」
のポスターが全てなんですよ。情熱はあっても、労働に見あう対価が支払われなかったから、彼らは会社を去った。回想シーンを引き継いだアンデスチャッキーの冬山遭難シーンは、80年代後半のアニメ冬の時代の象徴であり、同時に武蔵野動画解散の経緯をマイルドに表現したものなのでしょう。作中に登場するダメ大人の一人、大倉正弘の出世作となった『調律宇宙軍』の元ネタは87年でしたか。
そして、労働に見あう対価が支払われていないのは昔にかぎった話ではない。みゃーもりと大して変わらない年齢にも拘わらず、既に幾つもの製作会社を転々としている平岡君や、社名からしてヤバかったスタジオタイタニックの演出家も、過酷な仕事を大過なく流す術を習得した引き換えに、アニメに対する理想や情熱を失ってしまっている。そう考えるとみゃーもりと丸岡社長の場面は、主人公がヤル気を取り戻すいいシーンに見えて、実は『アニメ業界は今も昔も何も変わっていないよ……というか、一番変わっていないのは労働環境の過酷さだよ』というシビアな主張が盛り込まれているのではないでしょうか。
3.『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』雑感(他作品のネタバレ有)
以前の日記で触れた今季注目の作品は、現時点で全て視聴継続中。個人的に意外な粘りを見せているのが『鉄血のオルフェンズ』。ストーリーは兎も角、キャラデザや台詞回しは決して好きになれないにも拘わらず、毎回ちゃんと見る気にさせてくれるのは凄い。第4話では戦闘シーンが全くなかったというのもあざといし、一転、第5話はハードな宇宙戦闘がメインというのも実にあざとい。この作品を見ていると、
「ホレホレ、おまえらガヲタはこういうのが見たかったんだろ?」
と罵られながら、強引に快感のツボを撫されているような気分にさせられます。団鬼六の小説に登場するヒロインを襲う被虐の官能とはこういうものかも知れません。悔しいけど感じちゃうって奴。特に第5話のアンカーを使ったスイングバイなんか、SF好きには堪らん戦術じゃないですか。何かというと少年たちが半裸になる作品なのに、こういう描写はしっかりと入れてくるのが逆に癇に障る。我ながら何という理不尽な難癖でしょう。
尤も、作品全体のイメージはガンダムよりもグレンラガンに近い。三日月とオルガの関係はシモンとカミナを想起させますし、兄貴分のほうが実は弟分に精神的に依存している点でもカミナとオルガは酷似しています。あと、ネーミングセンスのダサさも。そう考えるとオルガは早くて今月中、遅くとも今年中には死ぬでしょう。作者自身が『早く死なせ過ぎた』と後悔した赤毛ののっぽさんや、作画担当の知識不足で『リアルでやったら死ぬ』レベルの減量を強いられて本当に作中で死んだボクサーのように、敵であれ味方であれ、主人公の対となる万能キャラクターは早めに死なせないと、主人公の見せ場がなくなってしまいますからね。逆にいうと、今年中にオルガが死ななかったら、堂々と本作に文句をつけられて嬉しいと考える自分がいるのも確かです。本当に歪んでいるなぁ、私。
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徒然日記 ~2015/11/02~
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