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徒然日記 ~2015/08/26~

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再来年NHK大河ドラマ主演は柴咲コウ、戦国テーマ『おんな城主 直虎』」


何でわざわざ、自分たちの手でハードルを上げようとするんですかねぇ……。


近年の大河ドラマの実情を思うと背伸びし過ぎという印象は否めません。もっと身の丈に合った題材を選べなかったのでしょうか。確かに井伊直虎は面白い題材ですが、絶対的に史料の乏しい直虎で一年保たせるのは『風林火山』級の難易度になるでしょう。四半世紀前はいざ知らず、現在のNHKに高虎を描く『基礎体力』があるかどうか、些か疑問符をつけざるを得ません。直虎個人のみならず、彼女の周辺の歴史に精通したうえで、更には史実にはない創作パートでも視聴者を繋ぎとめられる内容でないと、物語として成立しないと思えます。現に今年のは成立していませんので。直虎は寿司ネタでいうと煮ハマやコハダのようなもので、相応の技量と綿密な下拵えがないと、その真価を引き出すのは困難ではないでしょうか。少なくとも、昨年の『軍師官兵衛』のように『誰が握ってもそこそこ旨いものが作れるマグロの中トロのようなネタではない』(岡星精一・談)。そもそも、ネタのよさに胡坐をかいたのが昨年の惨状ですので、同じことを直虎でやったら如何なる結果になるのか、想像するだに恐ろしいものがあります。
脚本家が『JIN-仁-』や『天皇の料理番』の森下佳子さんなので、そこには非常に期待しているんですけれども、ここ一、二年の状況を鑑みるに、大河ドラマは既に脚本家一人の力量では如何ともしがたいレベルに落ちてしまっているのではないかとも考え始めています。

炎尾燃「キミはいい奴だ……だが、あの会社に入ったら、必ずねじ曲がる! 会社組織とはそういうもんなんだ!」

という台詞が脳裏を掠めました。いや、別に森下さんがNHKに入社するワケじゃないんですけれども、この題材で一年保たせてくれといわれたら、私でしたら確実にねじ曲がる自信があるので……実際、今年の惨状は題材のアレさ加減にキレた現場スタッフのサボタージュだと思っているので、森下さんは大丈夫かなぁという余計な御節介を焼いた次第です。題材そのものに含むモノがあるワケではありません、念のため。上記したように『風林火山』のようなファンタジーとリアリティを両立させた佳作になってくれることを願っています。ともあれ、自分たちの手でハードルを上げたのは『その下をくぐるためではない』と信じたいニュースでした。


『吼えペン』ネタ絡みで、もう一つ。


飛鳥響香「人の作品盗作してヒットするのって、ずるいわよね!」
Gペン(マルピー)「それは、マンガ業界では『常識』なんとちゃいます? 人の作品パクって、自分のモンにして大ヒット……それは『錬金術』って言いますねん! 私的にはね」


世間的にパクリとされるものは大別して3つあると思います。まず、恣意的な盗作。『確かにパクった! しかし、パクった俺の作品のほうが面白い!』と放言したA・デュマが典型ですね。次に全くの偶然。別箇の人格がそれぞれに同じアイデアやセンスを有していたというもので、グラハム・ベルとエリシャ・グレイ、カミーユ・クローデルとオーギュスト・ロダンが該当すると思われます。そして、研究成果としての模倣。何らかの影響は受けているけれども、そこに悪意は介在しない。横文字で表現するとオマージュとかリスペクトとかインスパイアとかいう奴でしょう。そして、この3つを完全に峻別するのは結構難しい。十中八九、パクリと思える案件でも偶然の一致といわれればそれまでです。状況証拠を積み重ねて『合理的な疑いを差し挟む』ことはできても『物的証拠』を挙げるのは困難なので、最終的には『本人の自白』か『裁判所の判決』に拠らざるを得ません。
そもそも、アイデアとは時代のニーズや人々のセンス、社会の産業レベルに応じて生み出されるものですから、誰も想像していないものが出てくる確率のほうが遥かに低い。

『誰もが旨いという味は、実は無難な味』

という言葉があるように、シンボルやデザインも同じで、より多くの人々の感性を納得させるにはありふれた意匠にならざるを得ないのが実情です。そして、ありふれた意匠を作るためには、その時代の流行を把握していなくてはいけませんから、職業的デザイナーが他人の作品に目を通すのは、ごく普通のことだと思います。更にいうと、数千年に及んだ人類社会の歴史の長さを思えば、この期に及んで誰の影響も受けていないアイデアやデザインを生み出すなんてことは殆ど不可能に近いでしょう。
一連の問題に関して、パクリかオリジナルかという議論には一切興味がありません。個人的な感想をいわせて頂ければ、

古田織部「この一角のみ万年葬式態よのう」

と苦笑されそうなデザインは何とかならんかったのかとは思いますが、パクリかパクリでないかは、デザイナー同士がコンペでも裁判でも決闘でも鷲巣麻雀でもして決めればエェことで、周囲の人間が徒に火に風を送り込むが如き言動は避けたほうが無難だと考えます。もしも、現在のデザインに代わる新しい意匠が採用されたとしても、何らかの要素が似通った作品が存在するのは上記の理由で殆ど確実なので、その度にデザインを取り下げていたら大会が始まってもデザインが決まっていないという事態を招くのは必定でしょう。そちらのほうが遥かに物笑いの種になると思いますよ。勿論、

炎尾燃「一番最初に、そのオリジナルを作り出すために苦しんだ一人は必ずいるんだ! そこに向かって挑戦し続けている人が必ず!」

という意見は大前提ですが。


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