取り敢えずは『ごめんなさい』を三回言わせて下さい。
まず、感想記事が遅れたことについて。『相棒』感想やリアル仕事の都合で、発売日から随分と遅れたUPになりました。早い方は2~3日前から足繁くアクセスして下さっておられたようでして……大変お待たせ致しました。
次に姜子牙に対して。先回の感想で散々、ケチつけてごめんなさい。今回のアナタは九十九がケンシン・マエダよりも強いと評しただけの実力を見せてくれました。
そして、最後はケンシン・マエダへ。すみません、てっきり、アナタが静流さんを孕ませた張本人だと決めつけていました。まさか、あんなどんでん返しがあろうとは。来月号で一区切りと思われる『修羅の門第弐門』はあらゆる意味で波乱含みの内容でした。こんなに興奮したのはきばっちがマスクを脱いだ時以来かも知れません。今回のポイントは4つ。
1.姜子牙
山田さん「『四門』についてきた?」
今回のMVPは間違いなく、姜子牙。いやぁ、凄かった。九十九がケンシン・マエダよりも強いかも知れないと評したのも納得。何せ、山田さんが驚いていたように『四門』の動きにガチでついていったんですよ。これ、以前から予想しておられた方は多かったですけれども、イザ、実際に描かれると驚嘆の一言。不破北斗、レオン・グラシエーロが成す術なく斃れた陸奥圓明流究極の初見殺しの技である『四門』を初見殺しではなくした。それも、ケンシン・マエダのように発動を未然に防ごうとしたのではなく、正面からガチで対抗した。まぁ、素でついていけるんでしたら、ハナからそうしておけよというツッコミもあるかも知れませんが、姜子牙の動きも九十九の『四門』と同様にギリギリの瀬戸際まで自分を追い込まないと出せないのでしょう。最終的に敗れはしましたが、これは『無空波』を受けとめたレオン以上の快挙です。惜しむらくはレオンの『無空波』封じと異なり、普遍性のある対抗策ではないことですが、それが逆に姜子牙の強さを立証しているといえるでしょう。
しかし、そのポテンシャルよりも驚いたのが暗器の使い方でしたね。冒頭で謝罪したように、先回の感想で姜子牙の暗器の使い方はウェガリーの二番煎じと酷評しましたが、今回は違った。
まさか、舞子を狙うとはね。
これは素直に驚きましたよ。リングの上で人質を取ったようなものです。まさに裏の世界の住人に相応しい戦術。山田さんも素で驚いていたじゃん。ウェガリー以上の暗器の使い方でした。更にいうと、九十九を狙っていない以上、厳密には反則ではない。まぁ、九十九の胸にガッツリと針が刺さっているんですけれども、レフェリーが気づいていない(気づけよ!)し、気づいたとしても、それを理由に九十九が試合をやめるワケがない=反則負けはない。表で受けた恥は表で濯ぐという呂家の流儀をギリギリで守ってきました。マッイイツォではなく、舞子を狙ったということは九十九との関係も綿密に調べているのでしょうね。マッイイツォであれば九十九は助けたかなぁ。でも、南米での恩があるから助けたか。まぁ、マッイイツォは避ける危険性もあるから、やはり、ここは舞子で正解でしょう。これ、誰までを助けるかの境界線を探すのが楽しそうですね。木村さんが狙われたら助けそうですが、標的が陣雷の場合は放っておきそうな気がします。勿論、陣雷が避けると信頼しているという意味です、念のため。
2.青龍
山田さん「龍の顎が閉じた……あれが四神『青龍』」ビキッ
遂に残りの一柱である『青龍』御披露目! ある程度、予想していたはいえ、数ヵ月(作中時間では3年近く)の間に二つも立て続けに拝めるとは思いませんでした。第壱門が無期限休載に入った時は、
「あぁ、これで俺は『白虎』と『青龍』を見ることはないんだ」
と絶望したものですが、長生きはするものです。技そのものは他の四神と同じく、シンプルです。ガチで入った『龍破』+『斗浪』という流れに近い。『四門』~『四神』は九十九が述べたように技云々というよりも、
陸奥九十九「限界の門を開け……その限界を超える事!」
が主眼なので、技の内容を云々するのは野暮かも。実際、今回の『青龍』はかなり、無理な態勢で放たれた技です。蹴りあげた九十九の左足が何時の間にか、姜子牙の後頭部に回っているんですからね。姜子牙にしてみれば、九十九の左足が自分の身体を通り抜けたように感じたんじゃないかと思います。まさに限界を越えた業。姜子牙のダメージ部位は両足に挟まれたことによる頭蓋骨骨折と、投げによる頸椎損傷と思われます。
その一方、先項でも触れたように今回は『四門』で引っ張り出したパワー&スピードに頼るだけではない〆でした。神域のハイスピードを誇る姜子牙を捕えるにはどうしたらいいかの解答が出ていた。わざと跳ばせて宙に浮いている間に捕獲する。空中では方向転換の仕様がないですからね。これ、意外と山田さんVS姜子牙の戦いからヒントを得たのかも知れません。迅い奴は受けずに躱すという習性を利用したんじゃないかと。何気に親子鷹の勝利かも。
しかし、海堂戦を前に遂に四門&四神が出揃ってしまったのも事実。『白虎』はケンシン・マエダ以外は見ていないですが、あれは対寝技ので、空手家の理想となって戻ってくる海堂相手に出す流れになるとも思えません。もしかして、四神の中央に鎮座まします『麒麟』という技がある……いや、ないか。
3.観客
子牙ファン「いやぁ、子牙様ぁ! ウソ……よぉ」
このうえなく溜飲が下がってしまいましたが、観客席で印象に残ったのは片山右京ですね。九十九の勝利を見ても目が燃えていないんですよ。今まで、ガチで驚いている場面とかもあって、昔の片山からすると考えられないくらいに夢中になって仕合を見ていた感じでしたが、今回の表情から窺えるのは届かないモノへの諦めというか、九十九に挑戦する資格がない自分への寂しさが滲み出ているというか……やっぱり、海堂戦は終わっていて、既に片山は敗れたと見るのが正解じゃないかと思います。まぁ、そんな私の予想が如何にアテにならないかという典型が次の項目。
4.父親
山田さん「あいつは不破と陸奥が生んだ、圓明流史上最高傑作ですから」
羽生つばさ「それ、どういう意味?」
山田さん「あいつの遺伝子上の父は僕です」
え?
え…………?
えええ――――――――――――ッ!
ちょ、ちょっと待って下さいよ、何をノタマッテおられるのですか、山田さん。不破と陸奥の血が交わっていたというのですか? いや、元々、一つの血筋なんですけれども、いやいやいやいや! 昨日読んだ記事なのに今でも混乱していますよ。これ、羽生社長としてはアリなんですか? 子持ちの寡でも恋愛対象になりますか? いかん、混乱している。何をいっているんだ、俺。確かに山田さんが九十九に構う理由も父親であれば納得できますよ。容貌も似ているしさぁ。でも、第壱門のラストで真玄がケンシン・マエダのことを思い浮かべながら、
陸奥真玄「修羅の子は修羅にしかなれぬ」
とかいってたじゃん! それとも、刃牙と勇次郎の所為で勝手に思っていただけなのか? まんまとハメられましたよ。いや、別に怒っているんじゃないですよ、念のため。思い返せば、山田さんが九十九の父親というフラグはあちこちでガンガンたっていましたし、九十九がケンシン・マエダにトドメを刺さなかったのも、あれは実は父殺しの戦いではないということを鑑みれば、至当の推移といえます。あ、そういえば、舞子にも『息子とチューしたのか』と尋ねていましたね。あれも父親であれば当然か。漫画のセオリーからしたら、確かに山田さんが一番父親っぽいのですが、完全にケンシン・マエダの亡霊に目が眩んでしました。
勿論、疑問点も幾つか出てくるワケで、まず、どういう経緯で陸奥と不破が交わったのか。確か真玄が頼み込んで静流に産ませた筈なので、山田さんの正体を知らなかったとは思えないしなぁ。実は描かれていないだけで、これまでも陸奥と不破の交わりはあったのかも。次に何で第弐門まで放っておいた息子の元に現れたのか。圓明流の一族では『肉親の情』は理由にならなそうですしねぇ。北斗が死に、真玄も幻斎も老齢なので、ここで九十九に壊れたままでいられると圓明流そのものが絶えてしまうという危機感が一番論理的な動機でしょう。まぁ、山田さん自身が新しく子供をつくればいい話なのですが、彼は『不破ではなくなった』人間なので、直系と見做されないのかも知れません。しかし、そうなると北斗を斃した九十九は同門殺しであると同時に従兄弟殺しでもあるのか……意外とこれが山田さんが名乗り出ない真の理由かも。
もう、ここまでくると誰が誰の子供でも驚かなくなりそうです。北斗の実父がケンシン・マエダとか言われても納得してしまいそう。あの二人、キャラデザ似ているじゃん。九十九のトラウマになった相手という共通点もあるしさ。実は幻斎は子供ができなくて、ケンシン・マエダと姉の間に生まれた子供を養子にしていたとかありそう。
今回の暴露で山田さんの寿命が縮んだような予感がしないでもありません。父殺は物語の永遠のテーマですから、山田さんと九十九のガチ対決があるかも。ケンシン・マエダではできなかった父殺しを山田さん相手でやってしまうのか? 雉も鳴かずば撃たれまいに……それは兎も角、次回は48回。つまり、コミックス収録でも丁度いいキリなので、物語も一段落して、次の章に移るのは確実でしょう。年末で区切りもいいですしね。それは山田さんとの対決なのか? 取り敢えず、先月の作者コメントから察するに川原センセはだいぶお疲れの御様子なので、短期休載もアリだと思います。或いは新しい『修羅の刻』を挟んでの連載再開か。番外編として山田さんの若い頃の話も読んでみたい。
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