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『PSYCHO-PASS2』第4回『ヨブの救済』感想(ネタバレ有)

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ジジイ「生きてるって素晴らしいねぇ」グチャッグチャッ

本当、素晴らしいッスね(嘔吐

第1期含めて、今までの『PSYCHO-PASS』で一番色相の濁る話でした。先回の感想でも述べたように序盤からアクセル噴かせ過ぎだろ。1クールしかないとはいえ、視聴者がついてこられるか心配……というか、私自身もついていけるか自信がありません。今回に比べたら、王陵璃華子の犯罪なんか可愛いもの。コレを放送したのに何でアレを自粛した? いや、コレを放送するためにアレを我慢したのか。今回のポイントは4つ。

1.青柳璃彩

青柳さんは仕事中も勝負下着なんですか。

『女刑事』と『黒の上下』という最高に眼福の取りあわせでしたが、セクスィーな下着姿と同時に惨殺シーンという、あらゆる意味で視聴者の色相が濁りそうな場面を提供してくれました。謹んで哀悼の意を表します。第1期で昭和のデカの匂いがする面々が退場する一方、女刑事の典型として第2期を引っ張っていってくれると期待していたのに……でも、使命感と任務に斃れるヒーローやヒロインにエロスがあるのも事実。下着姿を差っ引いてもエロかったと思います。先回の感想でも書いたように、ああいうキリッとした女刑事って、好みのド真ん中なんですよ。朱さんは有能なんですが、女刑事という印象じゃないからなぁ。それにしても、青柳さんは救われなさ加減はひどい。必ず助けると宣言した相手がカムイ君なので、もう、あそこに呼ばれた段階で詰んでいたんじゃないですか。そのうえ、同業者に味噌糞で狙撃されるとか、この作品は実に女性キャラに厳しい……というか、虚渕さんも容赦なくキャラを殺すけれども、勢いで惨殺したキャラにも相応のフォロー入ることがあるんですが、冲方さんは計算づくで殺したうえにフォローがない時も多いよね。冷徹過ぎます。これもプロの条件でしょう。

でも、ジジイの存在で本来の人間性に目覚めたのは他ならぬ青柳さんなんですね。

人間性を取り戻そうという目途で執行されたジジイの愚行の本来の目途に、一番影響を受けたのが青柳さんとはなぁ。ドミネーターに縛られず、自分の意思でジジイにガラスの破片を突きたてようとした瞬間、青柳さんはシビュラシステムに縛られない本来の人間になっていた。そこが唯一の救いなのか。その所為で犯罪係数がブッちぎっちゃって、味方に狙撃されちゃうんですけれども。人間があるべき姿で生きようとすると排除される世界。それはシビュラシステムの目指す世界。でも、程度の差こそあれ、それは現実世界も同じですよね。要は程度の問題。

2.霜月美佳

「勝手に動いて何かあったら、私の責任になるじゃない……」アタフタ
「だって、もうこれは一係の事件じゃない……私たちには関係ない……」オロオロ


なかなかのグズっぷりが明らかになったマリーさん。クズではなく、グズ。これが重要。やってはいけないことをやるのがクズで、やるべきことをやらないのがグズ。あくまでも私的な解釈ですけどね。一期の残念なイケメンな頃のギノさんでも、こういう事態では市民の生命を優先していたでしょう。市民にドミネーターを向ける事態になっても、それは社会秩序維持のためという自己欺瞞が働いた筈です。実際、人間社会では自分で自分を騙さないとやっていけない場面は多々あるワケでして……朱さんもキグちゃんを見殺しにした過去がありましたが、あれはシビュラシステムが認定しない相手は撃てないという(自分で定めたワケではないにせよ)基準があった。しかし、今回のマリーさんは責任問題しか考えていません。そこには正義や価値観が存在しない。あるのは小心極まる保身と計算。まさにグズ・オブ・グズ。サブヒロインがこれでいいのか。いや、勿論、物語の役回りは理解していますが、ここから最終回までに何とかケリをつけるのは大変そうだz……いや、ケリつける気なかったりして。今回のジェノサイドを見ると、主要人物もボコボコ死にそうだからなぁ。マリーさんもグズのままで退場という展開も充分あり得る。
まぁ、一応、マリーさんのフォローをしておくと、若さゆえの過ちという側面は少なからずあると思います。上記の下のほうの台詞の際は、表情がズームアップされると同時に、マリーさんのソバカスがクッキリと描かれているんですね。これはマリーさんの若さの象徴なんでしょう。現実のソバカスが云々という話ではありません、念のため。それと、今回はマリーさんにかぎらず、登場人物の殆どが胸糞悪い所業をしていたので、彼女だけを責めるのも可哀想っちゃあ可哀想。『私の責任じゃない』という物言いも、目の前で起こっている事態がひどいことという自覚があるからこその責任逃れでしょう。何も感じなければ、他の執行官たちのように何の躊躇いもない表情のままでしょうしね。
そもそも、青柳さんの部下たちからして、建物の非常シャッターが降りた&監視官と連絡がつかないにも拘わらず、俺らは監視官がいないと何もしちゃいけないからという理由でまるで動こうとしない。目の前の事象を見れば、異常事態なのは明らかなんですよね。オマケに犯人がどうかよりも犯罪係数が高いという理由で青柳さんを【Nice boat.】したうえ、どう見ても逃げてきた人質を次々とジェノサイド……いや、でも、あの世界では彼らの価値観のほうが正しいんだよなぁ。
結局、一番タチが悪いのはユーストレス欠乏症の存在を抹殺するために、人質全員の犯罪係数が300オーバーという数値を叩き出すまで事態を放置した挙句、まとめて始末した禾生局長なんですね。下が規律を守っても、上の命令が歪んでいるとああいう悲劇を招く。まぁ、シビュラシステムが守っているのは体制であって人間ではない。それが如実に描かれた回でした。この辺の矛盾やモヤモヤが第1期はコウちゃんや朱ちゃん、ギノさんといった個人レベルの正義=デカ魂と拮抗していたワケですが、第2期に入ると一気に体制そのものの是非というレベルにランクアップしたようです。

3.朱さん

常守朱「おまえたち……何をやっているッ!」

マキシマム相手でも『あなた』という呼称で通してきた朱さんが初めて使った『おまえ』という言葉。これはキレていますわ。だんだん、朱さんも第1期が始まる前のコウちゃんみたくなっていくんじゃないかと心配です。まぁ、朱さんは犯罪係数ブッちぎっても、特に気にしない性格なので、可哀想とかいう感情は生まれませんが、コウちゃんの場合はマキシマムという個人への憎悪でしたが、朱さんはシビュラシステムという社会秩序維持システムそのものへの反抗なので、相手を殺して全部スッキリというワケにはいかないのも確か。この辺、部分的にもシビュラシステムの胡散臭さを体感してきたギノさんがフォローしてやって欲しいのですが、多分、ムリでしょう。
そのコウちゃんそっくりの東金さんですが、どう考えてもカムイ君の色相クリーナーを務めているのはコイツなんだよなぁ。今回も取り調べに同席していたしさぁ。身内に内通者がいるのも刑事ものによくあるケースですのでね。でも、コイツがカムイ君と繋がっていると、OPムービーで描かれている禾生局長との関係と両立しないような……東金さんは謎が多過ぎて、1クールだけで回収できるか心配。

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