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『軍師官兵衛』第15回『播磨分裂』感想(ネタバレ有)

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夕べの『独眼竜政宗』の簡易とは名ばかりの簡易感想&本日の人員不足による残業&明日のタイヤ交換作業と、今日は手短にすませようと思った日を狙いすましたように本作では珍しい盛りあがる内容になっていました。普通に面白かった。このテンションで毎回やってくれればいいんですが、今までの経緯を考えると些か期待できないなぁ。まーくんとクロカン。どちらの感想に集中するかの回答はゼロベースで検討中。腹案はありません。今回のポイントは4つ。


1.問題発言


信長から播磨を切り取り次第という手形を貰った秀吉に対して、


寧々「播磨は気位ばかり高い頑固者が多いと聞いておりまする」


県知事さん、出番ですよ。


あんな沸点の低い批判した人が、この発言に噛みつかないのは片手落ちだと思いますので御注進しておきます。いや、批判しろっていってるワケじゃありませんよ、念のため。

あと、アラーキーが随分とヤバいことになってきていますが、使い途がなくなれば捨てられるというのは正しいとはいえ、それまでは使い途があったのか、つまり、アラーキーの具体的な活躍の描写がなかったので、この場面も些か説得力に欠けた。勢いはあったんですけどね。でも、悪くはなかったです。アバンタイトルの必然性が見えない織田家家臣団勢ぞろいの茶会の場面も、信長が家臣を茶器と同じ道具に見立てて並べて楽しんでいると思えば納得でした。


2.櫛橋左京進


すみません、流れをぶった斬るようですが、ここでダメ出しです。でも、仕方ないじゃん。本作の左京進て全然親近感沸かないんだもの。いきなり屋敷に現れて、姉から預かった姪を貰い受けるとか、猫の子とかじゃねーんだからさ。これが純粋に出家した姉への心遣いや姪への愛情、或いは既にベールさんの調略にかかっていて、イザという時に人質にされる可能性がある親族を回収しておきたいという計算に基く行動であれば納得ですよ。つーか、自然に考えたら、そう描くのが普通だよな。それを妹を言い包めたとか、姉が出家したのは誰の所為だとか、おまえが播磨に戦乱を呼び込んだとか、女々しいことをベチャクチャベチャクチャベチャクチャベチャクチャ……魅力値ゼロ。

左京進てさぁ、主人公の身内の最大の壁なワケじゃん? 『平清盛』でいえば忠正叔父さんのポジションなワケじゃん? それなのに、この違いは何? 純粋に見ていて不愉快なんだよなぁ、コイツ。この程度の奴に足元掬われるんじゃあ、主人公の魅力も半減ですよ。まぁ、左京進に関しては、主人公サイドにも問題あります。本作のクロカンは理由もなくいい人過ぎる万能過ぎるんですね。確かに晩年のクロカンは人使いの名人といわれるほどの男なので、いい人&万能キャラで描くのは決して間違いじゃないんですが、この段階で織田方の天下統一を無原則に信じ込んでいる&誰に対しても平等に優しいというのは大河の主人公としては面白味がなさ過ぎる。もうちっとな面がないと、主人公に敵対する連中が単に嫉妬深い馬鹿で終わってしまう。それこそ、今回は主人公は構築してきた播磨合従連衡が崩壊する回なので、戦功に驕る……とまではいかないものの、成功続きで足元がお留守になっている所を掬う流れのためにも、ここは左京進の善意の申し出をクロカンが政略上の理由で無碍にするという流れがよかったと思います。


3.暗転


そうかといって、主人公に足元がお留守という描写がなかったかといえば、そうではなかった。全般として入れ込み過ぎな感じは出ていましたよ。これはよかった。特に鶴ちゃんとの接待囲碁の場面。最終的に勝ちを譲ったものの、相手に『待った』をさせるのは接待として如何なものか。そうした心遣いができていない=些か調子に乗っているという意図で描かれたと思います。まぁ、鶴ちゃんの代わりに人質出しているし、仕方ないよね。

その鶴ちゃんの唯一のストッパーたるお紺さんに忍び寄る死の影。病床の高岡さんを中谷さんが見舞うという構図は幕末の江戸でも見た。衝立の向こうから大沢たかおさんと綾瀬はるかさんが現れても違和感ゼロ。よく考えたら去年のヒロイン&来年の副主人公のコンビだ。繋がっている?

さて、今回のメインイベントの加古川評定。内容的にはアレでしたが、ノリとイキオイで押しきった感じです。よろず、コトナカレ主義が蔓延る本作では珍しい構成。出来そのものがアレなのは確かとはいえ、無難にまとめるよりもチャレンジ精神に倒れて欲しい。MVPはベンガル。こんな胡散臭い&わざとらしい&田舎芝居丸出しの時間稼ぎの腹芸を『見られる演技』として提供できるのは彼の他に佐戸井けん太さんくらいか。三木城コンビはもっとスポット浴びてもよかったな。それにしても、


羽柴秀吉「佐吉、こ奴はグダグダと何を申しておるのか」ヒソヒソ

石田佐吉「はて、韓非子にございますが、播磨の兵法と関わりあるのでしょうか?」ヒソヒソ


この場面は地味にキた。『播磨灘物語』でも似た感じのシーンあったからなぁ。あれは小寺家の軍議だったか? 秀吉に向かって時代遅れの軍議を説く身内に官兵衛が赤面しそうになっていた場面があった気がします。間違えていたらすみません。

そして、左京進の『秀吉、播磨切り取り放題』という爆弾に御破算になる加古川軍議。冒頭の兵庫県disる発言はここに繋がるのか。伏線的なものが殆どない本作では珍しい構成でした。史実はどうか知りませんが、作中では秀吉は固辞したものの、実際に信長の口から出た命令というのが大きいです。真のアジテーションとは虚言のみでは成立しない。嘘の中に一欠けらでも真実がないとデマは広がりません。敢えて苦言を呈すると、この情報を流した恵瓊と織田家とのパイプの太さをもっと描いておいてくれればよかったかなぁ。実際、恵瓊はどちらかといえば親信長派(少なくとも義昭派ではないなので、開戦を控えての秀吉と恵瓊の会談とかがあれば、説得力hが増した筈です。惜しい。


4.ベールさん無双


そんなワケで今回の実質的な主人公は安国寺恵瓊でした。踊るひつじさん大歓喜だと思う。私も大歓喜。クロカンの『毛利は織田家に勝てない。櫛橋家を滅ぼす気か』という相変わらずの根拠レスな発言にも、


やまじっ!


と一刀両断。この画像取っておいてよかった。今回のためにあるようなモンです。更に高名な高転び予言が元ネタと思われる織田政権の不安定ぶりを指摘。ここは中盤の本願寺でのアラーキーと顕如の問答 ―信長の苛烈さ― が地味に効いていたように思えます。ただ、左京進を説得するクロカンの言葉が相変わらずのたいへーのよというのは何とかならんのか。おまえの頭がたいへーのよだよ。織田と毛利のどちらが播磨の国人衆に利益をもたらすかという話なのに、一方はたいへーのよ、一方は劣等感丸出しの私情しか口にしないから、争いそのものが空疎化、矮小化しちゃっているんだよなぁ。この場で一番存在感&説得力があったのはベールさん。先述のようにクロカン=清盛、左京進=忠正だとすると、ベールさんは悪左府に当たるので存在感あるのは当然といえば当然なのですが。でも、その状況で存在感出せない左京進は問題あり過ぎると思う。


次回は第二次上月合戦。戦国のハムの人ジャンバルジャンこと山中鹿介がメインか。主人公の影が薄いのはどうにかならないのかなぁ。


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