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『~literacy Bar~』特選・2023年上半期ベスト5(ネタバレ有)

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今年、管理人が触れた作品の中で特に印象に残ったものを列挙する年末恒例にして、ここ数年は上半期での中間発表も行っている企画。前回下半期ベスト記事のラストで『今季はアルスの巨獣に注目!』と宣言しておきながら4話目で脱落したため、上半期は不毛地帯と化すのではないかと危惧していたが、中盤以降でグッと盛り返してきた。ちなみに『どうする家康』は24話&25話のお花畑思想で序盤の貯金を切り崩してしまったため、急遽ランク落ちとなった。流石にアレはアカンやろ。思想云々は別としても、その思想を具現化する手段の描写が一切なかったのが言い訳出来んわ。後半の巻き返しを期待するや切。

 

尚、ベスト6~10位は以下の通り。

 

第10位 『天国大魔境』(TVアニメ)

第9位 『岸辺露伴ルーヴルへ行く』(邦画)

第8位 『1984年のUWF』(書籍)

第7位 『山田君とLv999の恋をする』(TVアニメ)

第6位 『映画大好きポンポさん』(劇場アニメ)

 

イチオシは『山田999』。『鬼滅』以降のアニメは『ビッグタイトルに相応の予算と枠を与えて劇場版クラスのクオリティで視聴者を確保する』という方法が目立つようになったが、本作は大人しめの題材とありふれたストーリーと簡略化されたキャラデザながらも、ここぞという場面に絞り込んで画に芝居をさせる良心的で手堅い作風が強く印象に残った。ヌルヌル動かすばかりがアニメじゃあない&アニメの動きの要諦とは芝居であることを再確認した。『着せ恋』と同じく、原作よりもアニメ推しの作品である。

 

 

 

第5位 『機動戦士ガンダム~水星の魔女~』(TVアニメ)

 

プロスペラ「全ては可愛い我が子のため。『母は強し』よ、お嬢さん」

 

昨年下半期ベストからランクを3つ落としての第5位。第2クールも全話楽しめたとはいえ、第1クールほどの今回は何が起きるんだろうというワクワク感に欠けたのは否めなかった。ラストバトルも惑星間レーザー送電システムの第2射なしで、ミオリネによるグループ資産の地球への売却で〆てエピローグに全振りしたほうが、スレッタとのダブル主人公・ダブルヒロインの意義が出たと思う。善くも悪くもガンダムの定番に寄せ過ぎたのかも知れない。

ただ、絶体絶命の危機をオカルトパワーで逆転するのはシリーズ初心者にガンダムの文法をレクチャーする意味合いもあったと解釈出来なくもないので、これはこれで許容範囲。実際、新たな視聴者層を獲得すると同時に、ガンダムは無理に大規模戦争をやらなくてもいいという先例を構築して、ジャンルの裾野を広げた点では『Gガンダム』に匹敵するシリーズのパラダイムシフトを成し遂げた作品といえる。個人的にも全ガンダムシリーズの中でベスト10に入る作品(CCA、0080、Z、閃ハサ、ORIGIN、ビルドファイターズ、UC、NT、∀、水星)として、今後も語り継いでいきたい。あと、初恋を拗らせた果てに自身の罪ばかりかクワイエットゼロを含めた一切合切の責任を負い、一人で地獄に落ちるシャディクに小野但馬の面影を見たのは内緒だ。

 

 

 

 

 

第4位 『大乱関ケ原』(漫画)

 

徳川家康「いかん……時局を見誤ったやもしれぬ……」

 

『センゴク』シリーズで有名な宮下英樹による関ケ原の戦いを題材とした歴史大作。『センゴク』シリーズは描きたい主題(戦国リアル大戦)と主人公(仙石権兵衛)のポジションの差が途中から開き過ぎてしまい、どうにもチグハグな印象が拭えなかったが、本作は初手から家康・三成を筆頭とした五大老・五奉行にストーリーを牽引させることで、物語のスケールの大きさを担保している。内容的にも本作の序文で『関ケ原の当事者には天下簒奪の陰謀や豊臣氏への忠孝などという夢想に耽る余裕などなかった』と明示してあるように、関係者全員がそれなりの公益性とそこそこの私益性を追求した結果、自分でも判らないうちに天下分け目の戦いの渦中に放り込まれていたという流れになりそうで、非常に期待値が高い。特に徳川家康は上記の傾向が顕著で、揉め事が起こる度に自説を通そうと画策して手痛い竹箆返しで窮地に陥り、慌てふためく短気で思い込みの激しい人物像は、

 

大河ドラマよりも『どうする家康』している

 

といえよう。しかし、揉め事が起こる度に自説を通そうと画策して手痛い竹箆返しで窮地に陥り、慌てふためく短気で思い込みの激しい人物って俺たちのTERUこと毛利輝元にも通じるものがあるように思える。両者の差を分けたのは単に関ケ原の勝者と敗者というだけのことであったのかも知れない。その毛利輝元は初っ端から五大老と五奉行の間で二股膏薬をやらかしており、関ケ原の戦いにおける敵味方を問わない彼のドス黒い暗躍が描かれそうな予感がするのもベネ。ぶっちゃけ、三成をほっぽらかしてTERUが西軍を主導するストーリーで描いて貰っても私は一向に構わんのだわ。

 

 

 

 

 

第3位 『風都探偵』(漫画)

 

ジョーカー「覚悟しろ。おまえには、罪を数える資格もない!」

 

連載開始時は当年のベスト10から惜しくも漏れた本作。脚本が緻密過ぎて遊びを効かせる余地がないのか、作画が細かいカットも漏らさずに描き込むタイプなのか、当時の記事でも述べたように、

 

炎尾燃「ギッチリ描き込んだこの2枚をボツにして、見開き1枚ですませるんだよ! さあ! 筆でバッと描け!」

 

と或る種のもどかしさを覚えることも一再でない作風であったが、最新14巻は長らくタメていた『ときめ』の正体判明回ということで、上記の欠点を差し引いて余りある勢いに満ちていた。脚本も作画も早くこの回をやりたくてウズウズしとったんやろうなぁ。今回、明らかにテンションが違うかったもの。ときめの正体も私が予想していた2つのうちの1つであったが、それでも、彼女が自身の過去を思い出した破局点の絶望感たるや、読んでいる側も『確実にこうなる』と判っていたのに胸が締めつけられた。それでいて、この結論しかないと納得させるに足る、まさに、

 

カタルシスとカタストロフの両立

 

を完璧に成し遂げた展開であった。ストーリー最大の謎であったときめの正体バレで、全体の折り返しを過ぎたと思われるので、ここから如何に物語をまとめるかが楽しみである。ちなみに私が予想したもう一つの『ときめの正体』は万灯雪侍のマッマであった。これはこれで翔太郎が泣きそうな話である。

 

 

 

 

 

 

第2位 『推しの子』(劇場&TVアニメ)

 

アクア「俺たちの父親って一体誰なんだろうな……あ、考えただけで心が沈む」

ルビー「馬鹿ね、そんなレベルの低いことで落ち込んでいるの? 処女受胎に決まっているでしょ。男なんて最初から存在していない!(ガンギマリの目)

 

先日、円盤化が解禁された大河ドラマ『武蔵-MUSASHI-』を本放送ぶりに視聴した。リアタイ視聴した作品の筈なのに、ストーリーがほぼほぼ記憶から抜け落ちていたのが謎であったが、今回の鑑賞で原因の一つがハッキリした。作中の序盤で主人公の行動原理や動機づけが明確に提示されなかったため、物語の何処に注目していいか判らず、当時の私はストーリーの把握と記憶に難儀を極めたのであろう。未熟な主人公が『目標はあっても具体的に何をしたらいいか判らない』というのは物語でよくあるパターンではあるが、本作は主人公が何をしたらいいか判らない状態であること自体が視聴者に伝わってこなかったのである。まぁ、そうした意味不明さも慣れるとクセになるし、中盤以降にキャラクターの行動原理が確立されてストーリーが整理されてくると、逆に物足りなさを覚えるようになるのが『武蔵-MUSASHI-』の異質さであるが、ともあれ、序盤で主人公の行動原理を明確に提示することの重要性を再認識した作品であった。

その点、この『推しの子』はキャラクターの動機づけをTVアニメとしては異例の、

 

90分劇場先行公開バージョン

 

でしっかりと描いていたため、序盤からアイドル系~転生系~芸能界系~サスペンス系と作風……というか、作品のジャンル自体がどんどん更新される目まぐるしさにもすんなりと入り込めた。アイドル系と転生系という私の苦手なジャンルの悪魔合体作品にも拘わらず、物語を楽しめたのは『マイナスのマイナスはプラス』というファーレンハイト理論によるものだけではあるまい。私のようにアイドル系や転生系を食わず嫌いをしている人は是非、騙されたと思って見て欲しい作品。尚、第5話放送前後に一部界隈による本作への炎上が企図されたが、作中で描かれたように謂れのない炎上は放置の一手という対処を貫き通したアニメスタッフに改めて敬意を表したい。言行一致やね。

 

 

 

 

 

 

第1位『341戦闘団』(漫画)

 

エルミナ「ひ と が し ん で た 。も~~~~~やだ~~~~すごい死んでるじゃない~~~~それも滅茶くちゃになってええええええ~~~」

ジョシュア「戦闘団長、死人は何もしませんよ?」

ブラデル「撃っても来ないし、刺しにも来ない。気楽なもんじゃないですか」

エルミナ「ごめん、あなた達がなに言ってんのか全然わかんない」

 

ガンダムは好きなのにモビルスーツには興味がなく、ガルパンは好きなのに戦車には興味がないというホビーメーカー泣かせの私が生まれて初めて誰かの推薦や紹介なしで自発的に手に取った戦車もの。詳細は以前記事にしたので省くが、今年上半期に鑑賞した中で最もバランスの取れた作品である。ただ、読みやすさよりも作劇に必要な情報をギュッと詰め込むことによって生ずる戦場の混乱の表現を優先しているので、初見時はイキオイに任せてバーッと読んで、改めて二度三度と細かいところをチェックしながら鑑賞するのがオススメ……みたいなことをTwitterで呟いていたら原作者にファボって頂いた。実に畏れ多い。

 

 

 


さて、現時点での下半期の有力候補は『大雪海のカイナ』。今年初旬の本放送時は見逃していたが、先日からBS日テレで始まった再放送の第一話で一気に食いついた。10月に予定されている劇場版も楽しみ。劇場版といえば、長らく待ち侘びていた『ガルパン』もヨウコのCVは誰になるかという点も含めて注目度高い。スナイパー繋がりでみゆきち推したい。また、本文で触れた『武蔵-MUSASHI-』に続いて解禁が宣言された『北条時宗』もレンタルリリースされたら必ずチェックしなければ。あれもリアタイ視聴の記憶が殆ど残っていないんだよなぁ。あと、再放送枠では現在BS11でやっている『チーム・バチスタの栄光』に今更ハマッている。医療ドラマって『流血』と『死』という物語を盛りあげる二大要素を合法的に扱えるジャンルなので、あまり好きじゃないんだけれども、サスペンス絡みならフツーに楽しめることが判った。そして、冒頭で触れたように『どうする家康』の巻き返しにも期待。追加キャストの豪華さに負けない内容になってくれ。

 

あ、ちなみに来週の更新はお休みの予定です。

 

 

 

 
 
 

 

 


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