第4話にして女の子同士の顔面グーパン喧嘩とか初期プリキュアよりもエグいことをやり始めた『水星の魔女』。チュチュの一人目の犠牲者、一撃で意識を失い、頭部の重さを支え切れずに反動をつけてブッ倒れるのが妙にリアルで怖い。確実にコンクリに頭を打ちつけるパターンです。チュチュのヘアースタイルは某ネズミーランドリスペクトと思っていましたが、むしろ、前世紀のスケバンアフロの二倍乗せなのでしょう。でも、モビルスーツに乗ったままで生身の人間に襲いかからないだけカミーユよりもマシとも言えます。人間相手にバルカン、ダメ、絶対!
他にも『翔んで埼玉』のZ組を思わせる地球寮とか、ミオリネの汚部屋ライフとか、グエルさんの『か、勘違いしないでよねッ! スレッタのことなんか好きでも何でもないんだからねッ!』というアカラサマ過ぎるツンデレ描写とか、色々と見所の多い本作。スペーシアンにとってのアーシアンはアーシアンなんて言葉を喋ったら口がアーシアンになるレベルの侮蔑の対象っぽいですね。これで戦争が始まったらどうなってしまうんやろうか。無理に戦争に持っていかずに『仮面ライダーフォーゼ』のような学園内の抗争に終始してもいいように思えます、思えない?
今季はアニメが全般的に豊作のうえ、先日からBS4Kで『真田太平記』も視聴出来るようになり、ついでに『ドクターハウス』『名探偵モンク』と海外ドラマの再放送もあって、マジで時間が足りない毎日。そんな訳で今週はガッツリとした感想ではなく、幾つかの作品の寸感でお茶を濁していこうと思います。
政子「あの手を使うしかなさそうですね……我が家に伝わる秘策、今のところ一勝一敗ですが、やってみる値打ちはありそう」
ジョースター家伝統の戦法『逃げる』に匹敵する、北条家伝統の秘策『女装』。戦績を見るに頼朝→成功、義高→失敗、和田別当→取り敢えず今回は成功と女装の似合うほうが逆に失敗率が高いと分析出来ると思えます、思えない? 何れにせよ、前回で性自認の多様性に配慮した新しい実朝像を提示した翌週に、和田別当の女装ネタをぶっ込んでくる本作のスタイル好き。視聴者の期待をいい意味で裏切るための前フリが完璧過ぎるんだよなぁ。実朝に自重を促される&小四郎と久しぶりに腹を割って話すシーンも全部女装のままなので、凄く感動的な内容なのに画ヅラが凄いことになっていて、ちょっとした『笑ってはいけない』の雰囲気がありました。
今回のMVPは実朝きゅん。事前に泉親平の反乱未遂騒動があったにも拘わらず、おばばに『戦になる』と言われて素で驚く辺り、彼が如何に小四郎に実権を奪われて政治の表舞台から遠ざけられていたかが察せられますが、その体のいい棚晒し状態から小四郎と和田別当の和解に漕ぎつけるファインプレー。和田別当が『俺たちは望みの鎌倉殿を手に入れたのかも知れん』と評したように、その誠意と器量には並々ならぬ資質を感じました。まぁ、全ては次回の破局のためのプレリュードなのですけれどもね(白目)。
筋書きとしては和田別当が双六やら小四郎との立ち話やらで御所に引き止められる間にメフィラスが一族をけしかけて、更に巴さんがメフィラスに起請文を書かせて後戻りが出来ないように仕向けるとか、非常に巧い構成でした。主人公が不在の場所で事態が最悪の方向に転がってしまうというのは大河ドラマあるある展開ですが、本作の場合は『主人公が必死に平和を目指していたのに周りの人間のいらんことしぃで台なしになる』のではなく、周りの人間の尽力で主人公が『まぁ、今回は見逃したるわ』と改心しかけたところで、主人公が企てていた計画が順調に進行してしまったという完璧な自業自得になっているのよね。主人公をいい子いい子しない作劇、大事です。
逆に引っかかったのは泉親平の正体……まさかの源仲章! 一応、それなりに資料や活躍の痕跡のある人物ですが、これ、ええんか? 設定としては面白いのですが、朝廷が裏で糸を引く動機が本作では見えないんですよね。装鉄城さんが分析しておられたように小四郎と仲章の共謀の可能性のほうがまだあり得そう。次回の和田合戦を終えると残る大規模戦闘は承久の乱のみとなりますが、肝心の後トヴァイン陣営の掘り下げが現時点では決定的に不足しているのが不安要素です。
内村莞爾「目指せ、世界平和!」
いい意味でキャラ崩壊に歯止めが掛からない綺麗な刑事部長。芹沢君の先輩の知っている内村部長はもう死にましたという台詞がジワジワ来る。生まれ変わったからね、仕方ないね。光落ちした刑事部長に愛想を尽かした衣笠さんが俺たちのテルオを取り込もうと触手を伸ばしてきましたが、騙されるなテルオ。ソイツは『味方につけた者は必ず負ける死神のような男』だぞ(鎌倉殿感)。
鎌倉殿といえば、今回の実衣……じゃない、ミウちゃんはアイシャの仇の厩谷をゲストに招いておいて騙し討ちを喰らわす気マンマンとか、完全にやっていることが『鎌倉殿の13人』でした。このキャスティング、完全に狙っているだろ。今後のサルウィンの動静も気になるので、是非、元日SPか最終回SPでの再登場を期待。実際、内心を隠して表面上の友好関係を装い、裏で始末するくらいの器量がないようでは、一国の指導者は務まらないのも確かです。その意味では面と向かって『母の墓参りをして欲しい』と(少なくとも国家規模では)何もペイしない言葉を厩谷にぶつけてしまうアイシャは、革命の象徴足り得ても治世の指導者には不向きであったのでしょう。アイシャさん綺麗な和田別当説、一理あると思う。亀山は『花は散った』と嘆いていましたが、考えようによっては革命用のシンボルと統治向きの才幹という相反する人材を同時に育成していた訳で、教育者としての資質は明らかに杉下よりも上。亀山がカイト君を育てていたら闇落ちは避けられたのかも知れませんね。
さて、前回の記事で事件の顛末を鑓鞍や片山雛子や社さんに握り潰された亀山が『この国は俺が居ない間にサルウィンよりも不正義がまかり通るようになった。今度は日本に正義の種を蒔きたいと思う』という流れになると予想しましたが、見事に外れました。まぁ、ハナから当たるとは思っていなかったからね、問題ないね。ただ、驚いたのは前回で日本の報道の自由度の低さや法律の恣意的運用に関する指摘が為されていたので、そっち方向に話が進むかと思いきや、上記のようにサルウィンの権力者が裏で私怨を晴らすとか、
張りボテだろうが腐敗していようが法律やマスコミがあるだけマシ
という展開になるとは思いませんでした。これはこれで好き。日本も何時、サルウィンのような情勢に置かれるか判ったモンじゃないと思うと、結構説得力と意外性のあるメッセージではないでしょうか。まぁ、肝心の特命係自体が超法規的捜査をやらかす部署なのは御愛嬌。今回の亀山の警視庁復帰の経緯もイタミンのDOGEZA一つで実現してしまったのですから、フィクションとはいえ、日本の法律大丈夫かと思えなくもありません。そして、次回で早速イタミンの顔に極厚の泥漿を塗りたくってしまう亀山ェ……。
万年嵐子「店の看板にツバ吐かれて黙ってられません……メイドですから!」
『働く女の子作品』に定評があるP.A.WALKSのオリジナルアニメ……というか、これを働く女の子アニメと定義してよいか議論の分かれるところでしょう。尤も、同じ働く女の子アニメ&同社制作の『白い砂のアクアトープ』と異なるのは、
本作がブッチギリで面白いこと
ですね。いや、実はタイトルを見た時点で0話切りしていたのですが、たまたまTVをつけた時に第二話で取り立て屋が店長の口にピンを立ててゴルフの打ちっぱなしをやっているシーンを見て『何じゃこれ? 全然イメージ違うぞ?』と思ってしまったのが運の尽き。メイド稼業とアングラ反社営業のコラボ展開がいちいちツボるぜ。大体、キャラクターが可愛いメイドなのにOPが明らかにブラックラグーンの雰囲気なんだよなぁ。
第三話はメイドによる地下格闘技場のガチバトル(八百長)という展開でしたが、店長の台詞といい、唐突に入るハーモニー演出といい、嵐子がゾーヤを倒した時のアングルを変えての三回パンといい、アカラサマな『あしたのジョー』パロディ満載で草。内臓を全て持っていかれると悟った店長の輝くゲロも『あしたのジョー』由来ですね。そのうえ、賭け金を都合するための内臓担保の店名が、
『君の膵臓を借りたい』
とかホンマ草生える。そこそこ感動出来たあの作品の綺麗な思い出を返せ(誉め言葉)。そんな訳で途中参戦となったものの、このテンションを最終回まで維持出来たら『鎌倉殿』『人形劇平家物語』『ノイエ銀英伝』と共に下半期ベストの有力候補である本作。『銃で戦う女の子アニメ』という点では『リコリコ』難民にも是非、オススメしたい作品だと思います、思えない?
尚、来週の更新は未定です(またか)。