ここ数年は年末恒例企画という当初の意図が戦艦アリゾナ宜しく月の裏側までブッ飛んだかのように、毎年上半期のベストを発表している当該企画。まぁ、それだけ面白い作品があるということだからね、ありがたいね。今年も昨年同様にアレの影響が懸念される現状にも拘わらず、例年以上に豊作の上半期となった。更にラジー賞にも超ド級の有力候補があったが、読んでいない作品を『読まなくても判る!』とドヤッたくせに全く見当違いな批判を書き殴るレビューなんぞは『江』や『花燃ゆ』以下。酷評にも値しないと思い直したので、ここでは敢えて紹介しない。銀英伝……犬笛……あとは判るな? あ、私は当該記事の有料箇所にもキチンと金銭を支払って全部読んだので、悪しからず。
ちなみに次点は『スーパーカブ』。桜前線捕獲作戦&原付日本列島縦断&椎ちゃん美味しかったよ&鳥取砂丘&関門海峡カブ突破&幻の目的地佐多岬がゴールと、最終回での怒涛の『水曜どうでしょう』リスペクトが半端なかった。『どうでしょう』と『ゆるキャン△』と『スーパーカブ』の三つ巴コラボ企画ある?
第10位 ゴジラS(シンギュラポイント)P(TVアニメ)
ペロ2&ユング「「これは僕が(私が)今より少し賢くなって、色んなことが判らなくなるまでのお話」」
古参の特撮ファンの間では賛否が分かれているとの噂を耳にしたが、本編に登場した怪獣はゴジラとラドンしか知らない超絶ビギナーの私はシンプルなSFアニメと割り切って楽しめた作品。モンスターパニックものでありがちな、製作者がストーリーを盛りあげるために投入しがちの『目先の欲望や感情を優先して事態を悪化させるお馬鹿キャラ』が殆ど登場せず、ほぼ全員が各々の立場で出来る最善手を模索しているにも拘わらず、人知を越える圧倒的な力の前に成す術なく窮地に追いやられる展開がツボ。キャラクターもオオタキファクトリーの社長を除いて、いい意味でも悪い意味でも尖ったところがなく、難解なストーリー&設定をサラリと判った気にさせてくれる解説台詞のテンポのよさも魅力。加えて、作中一番の脳筋でさえ、ミニモスラ(?)の大群の出現に際して、
大滝吾郎「黄蝶群飛、是レ兵革ノ兆シナリ」
と『吾妻鏡』を引用しちゃうインテリぶりが堪らない。メインキャラクターからモブに至るまで、直接的な死亡シーンを極力描かない手法も議論の種になっているらしいが、私的には安易に泣かせ展開に奔るよりは好感度が高かった。ヒキで仄めかされた続編への期待も込めて、この順位。
第9位 青天を衝け(大河ドラマ)
平岡円四郎「へぇお待ち!」タンッ!
事前の期待値は近年屈指の『麒麟がくる』と『鎌倉殿の13人』に挟まれたニッチ度ゆえの低さと、題材的にPHP研究所 or 三笠書房臭が漂っていた所為で、危うく『花燃ゆ』と似たり寄ったりの駄作と決め打ちしかけていた今年の大河ドラマ。実際、第一話&第二話の主人公パートの退屈さが半端なかったので、三話目で視聴を切るつもりであったが、その回から主人公パートが面白くなったのを覚えている。アニメも大河も一話切りはダメ、絶対!
政治劇パートや時代背景描写の貧弱さ、水戸藩の内ゲバ粛清シーンの食い足りなさは否めないものの、物語の推進力を主人公の渋沢栄一が担っているのが大きな魅力。近年の大河ドラマは作品のクオリティの高低は別として、主人公の多くが受動的なポジションで、代わりにヤンチャなトメクレたち(スズムシとか極論おじさんとか銭ゲバ蝮とか)が周囲を引っ掻き回す傾向が強かったが、本作は主人公が序盤からストーリーをグイグイと引っ張っている。主人公パートが面白い大河ドラマは『風林火山』以来ではあるまいか。しかも、そこで紹介されるスカッとジャパン的エピソードの多くが史実(少なくとも本人の回顧録準拠)というのも、歴史上の人物の知られざる魅力を紹介するという大河ドラマの趣旨に合致しており、非常にポイントが高い。戦国よりも資料が潤沢な分、キチンと選んで活用すれば、普通に面白くなるんだよな、幕末って。
惜しむらくは題材的&キャスティング的にやむを得ないとはいえ、徳川慶喜の『いい人エピソード』を推すあまり、敵対勢力への評価に公正さを欠く点で『八重の桜』に及ばないことと、尊王思想(攘夷思想はしっかりと描けている)の掘り下げが不足していること。この二点はキチンと押さえておかないと鳥羽伏見の戦いでの慶喜の大阪城脱出の動機を描くのが難しくなると思うのだが……まぁ、栄一のパリ万博とのカネアイもあるからなぁ。
第8位 2011年の棚橋弘至と中邑真輔(書籍)
棚橋弘至「プロレスとはシチュエーション。いい者と悪者がはっきりしている。いい者同士が戦えば、技をエスカレートさせるしかない。プロレスは勧善懲悪が可能な唯一のジャンルなんです」
凡そ、人の世に『好きでもない人物の伝記』を読む以上に気の進まない行為はない。鎖国時代の四天王プロレスの黙々と己と相手の寿命を削り合う戦い、或いは渕正信や小川良成やジョニー・スミス、ケンドー・カシンの地道な一点集中攻撃&一瞬のクイックで試合を決める選手が好きな所為か、マッチョなガタイの割に技の説得力に乏しく、中盤で唐突に首攻めや足攻めを仕掛けておきながら、フィニッシュはボディプレスや丸め込みでピンフォールを取る棚橋弘至のセンスの欠片もない試合(今は向上している、念のため)を好きになる要素は皆無であった。棚橋は単なるボディプレスを必殺技に昇華することで、90年代後半~00年代前半に危険域に到達していた技のインフレを抑制した功績自体は極めて大と考えているが、それと好き嫌いは別問題である。逆もまた真なり。
そんな訳で、本来は永遠に読むことはないと思われていた棚橋&中邑を題材とした本著に手を伸ばしてしまった理由は今でも判らないままである(文庫本の発売が今年一月の豪雪直後であったので、巣籠りで読む本に飢えていたのかも知れない)が、目を通してみると予想外に面白い一冊であった。入門を直訴しに上京した棚橋が泊まる場所がないことに気づき、プロレス会場で隣の席に座っていた女の子をナンパして相手の家に潜り込んだら、壁一面にチェ・ゲバラのポスターが貼られた過激派のアジトみたいな部屋に通されて一睡も出来なかった話とか、同じく棚橋が背中にナイフを突き刺されたままで原チャを転がして病院に駆け込んだ例の事件などのアレな逸話もキチンと紹介する一方、アントニオ猪木の横車にNOといえないコンニャク社長ドラゴン&腰砕けフロント陣に振り回されて、会社の信用を取り戻すには地道なプロモーションと真面目な試合を重ねるしかないという真っ当な意見が通るまで随分遠回りをさせられた様子が克明に記されており、当時の新日本の迷走ぶりを知らない現代のファンにも判りやすく解説した内容となっている。著者の文章力もあるが、その面白さの一端は棚橋・中邑をベビーフェイスに、猪木や第三世代を徹底的なヒールとして配置した構成に拠るところも大きく、図らずも冒頭で紹介した棚橋のプロレス論を本著で証明したといえるかも知れない。まぁ、
「棚橋や中邑が支持されなかったのは、くすぶっている第三世代への同情。永田がIWGPを防衛している間も『この人がスターでいいのか?』という違和感があった」
「永田はフォール負けしたのに勝者よりも先にスタスタと歩いて帰った。どちらが勝者か判らない。観客が選手に感情移入出来ないビジネスが長続きする筈がない」
などの事実を記すだけで自動的にヒールになってしまう第三世代(主に永田)が悪いのだが。私と同じように棚橋や中邑に興味のないオールドプヲタに読んで欲しい一冊。ちなみに今の新日本で好きなレスラーは矢野通とザック・セイバーjr。矢野の省エネプロレスすここのこ。
第7位 劇場版ガールズ&パンツァー最終章第3話(劇場アニメ)
第6位 ウィル・オスプレイVS鷹木信悟(プロレス)
𠮷野真治アナ「メイド・イン・ジャパンの机に対して『メイド・イン・ジャパン』だ!」
誰が上手いことを言えと!
御存知ない方に申しあげると、鷹木信悟が使うハーフネルソンドライバーをメイド・イン・ジャパンと呼ぶ。鷹木信悟とかいう棚橋とは真逆に技のネーミングセンス以外は完璧なプロレスセンスを有したレスラーすこ。『ラスト・オブ・ザ・ドラゴン』はまだしも、流石に『熨斗紙』はどうかと思うんですよねぇ。
今回のノミネートは5・4のIWGP世界ヘビー級選手権の試合であるが、それに先立つ3・21のニュージャパンカップ決勝戦の時点で、このカードがランクインするのは確定していた。試合的には5・4推しとはいえ、3・21はレフェリーを巻き込んだ笑いあり、場外の机に寝かせた相手へのコーナートップからの場外ファイヤーバードスプラッシュというハードコア展開あり、無骨な打撃戦ありとプロレス初見の方にオススメしたくなる内容。特に鷹木のプロレスは攻守共に丁寧で判りやすく、どちらがどの部位にどれだけのダメージを受けているのか、どこが盛りあげポイントかが素人目にも伝わるように試合を組み立ててくれているのが有難い。コーナーの相手へのグーパン~逆水平チョップの連打とか、鷹木は誰が相手でも&どんな会場でも全力バトルで客を楽しませる天龍の後継者と認識している。
オスプレイはオスプレイで技の華麗さと正確さがヘビー級に増量して以降も全く鈍っていないのが怖い。コイツのローリングエルボーの正確さは時に三沢を凌ぐのではあるまいか。ロープに振った鷹木をドンピシャのタイミングのローリングエルボーで迎撃したのは空中戦よりも興奮したわ。まぁ、中二カ月足らずでこんな試合を繰り返していたら身体壊すぞと心配していたら、本当に首の故障でベルト返上をしてしまったのだが。そりゃあそうやんなぁ。
第5位 天国と地獄(TVドラマ)
河原三雄「やっていることは人殺しだ! 汚ねぇしゃがれた、聞くに堪えねぇ声だ! でも! それでも! 声は声だ! お前にその声を奪う正義はあるのか?」
キャーセクハラさんカッコイイ!
中盤でイセ子にハメられた(性的な意味ではない)セクハラさんが一番の推しキャラになるとは思わなかった。『おんな城主直虎』のハバネロストーリーの強烈さで忘れていたが、森下女史は登場人物を単なるヒールで終わらせない脚本家であったなぁ。『直虎』の眉毛もそうだったし。こちらも最終回時に感想を書いたので詳細は省くが、純粋なサスペンスとしての面白さに留まらず、昨年NHKで放送された同じ森下女史のリモートドラマでの問題提起、即ち『コロナ禍で社会はどうあるべきか』の解答編としても見応えのあった作品。あくまでも私個人の解釈に留まるが、
「世界はどんなに非常識なことも起こり得る」
「人間の見た目や普段の言動に騙されるな」
「高橋イセ子は可愛い」
「証拠もないのに他人を罪人扱いするな」
「例え正義のためでも、証拠を捏造してはいけない」
「高橋イセ子は超可愛い」
「善意によるものであれ、情報の隠匿は危機回避の邪魔しかならない」
「高橋イセ子は最高に可愛い」
という脚本家の解答&趣味をキチンと物語に盛り込んだ森下女史の手腕を改めて認識した次第である。
第4位 俺の家の話(TVドラマ)
観山寿一「これが、俺の家の話だ」
『クドカン』の『ホームドラマ』という数年前は絶対に見なかった作品。一昨年の『いだてん』の功績は大きいとつくづく思った。第5位の『天国と地獄』がコロナ禍の人類は如何あるべきかという社会論を描いたのに対して、こちらは、
コロナ禍のドラマは如何あるべきか
という技術論を追求した作品。ここだけの話、昨年末に『十年後、二十年後に2020年を舞台にしたドラマが制作された時、登場人物がマスクをしていない作品は時代考証がなっていないと批判されるのではないか』という考えに思い至り、年末の記事で書くつもりであったが、念のためにググッてみると私よりも遥かに早く、某有名脚本家が同じことを御自身のエッセイで記しておられたのを見て、結構凹んだ記憶がある。まぁ、私如きが考えつくことをプロの作劇家が気づかない訳がないのだが、しかし、昨年~今年放送された作品はコロナの存在を前提にしたドラマが少なかったように思う。これは一概に悪いことではなく、コロナによるストレスを一時でも忘れたいとの思いでドラマを見た視聴者に追い討ちをかけるのは避けたいという配慮があったのかも知れないが、普段は『社会派ドラマでござい』というスタイルを標榜していた作品までが、恰もコロナなど【なかったこと】のようにスルーして、未だに『忖度』とかいう単語をドヤ顔で使っていたのは色々と納得がいかなかった、何のドラマとは言わんが。細かいことが気になってしまう僕の悪いクセ。
その点、本作はコロナという現実に加えて、親の介護、子供の学習障害、家族内のジェンダー意識の差異などの現代の他の社会問題までもマシマシで盛り込みながら、それらに一切の悲壮感や政治臭を漂わせることなく、純粋なドラマのパーツに昇華したテクに平伏するしかなかった。会話の途中で興奮して思わずマスクを外してしまう、逆に相手への警戒心からマスクを装着するシーンをはじめ、リモートワークやソーシャルディスタンスも無理なくドラマに必要な要素として組み込んだクドカン半端ない。コロナ禍のドラマの一つの極北を見た思いである。作品の面白さでは『天国と地獄』と甲乙つけがたいが、あちらは第2話からの視聴(後日、友人に御送り頂いたDVDで改めて第1話を鑑賞)したのに対して、こちらは第3話からの途中参戦でも同じくらいに楽しめたので、一話分上のランキング。
第3位 Vivy ~Fluorite Eyes Song~(TVアニメ)
ヴィヴィ「……御清聴ありがとうございました」
恐らくは上半期一番の問題作。60分の初回拡大SPとして一挙放送された第1話&2話を見た時は『これをキチンと終わらせられたらとんでもない名作になる』との予感を覚え、第6話のキカイダーリスペクトで前半を折り返した際には予感が確信に変わったと思ったが、予感とは確定していない未来予測の謂であることを改めて思い知らされてしまった。いや、それでも充分に面白かったけどね。前半怒涛の200点~後半失速の90点といったところか。
SFものの多くはAIが人間に叛旗を翻してからがメインとなるが、本作では叛乱自体を未然に防ぐために過去100年に遡り、その発端と考えられる出来事を一つ一つ潰してゆくシンギュラリティ計画を通して、人間社会におけるAIの社会的定義とは何かを描く作品……になると思っていた。そして、AIの人権論、AIの自己犠牲、人間とAIの結婚、AIの自殺といったターニングポイントを人類史におけるマイノリティの人権運動と重ねることでAIを通して人類社会を描く作品になる……と思っていた。最終回近辺はシンプルなタイムリープ&ループアニメになっていたからなぁ。
ただ、前半のワクワク感は半端なかったうえ、全編を通じてアクションや作画の書き込みは凄まじくハイクオリティな作品なのも間違いないので、そちらを目当てに見るのもアリ。あと、OPテーマが久々にドツボであった。アニメの歌詞は若干クサいくらいが丁度いい。
第2位 プロフェッショナル ~庵野秀明SP~(ドキュメンタリー)
庵野秀明「役者がどんなにアジャパーでもアングルと編集がよければ、それなりに面白くなるよ」
流石は『風立ちぬ』の主演声優さんは仰ることが違いますなぁ(棒)
晩年の家康が風に飛ばされたチリ紙を慌てて拾う姿を小姓に見られて『プークスクス』された時に俺はこの倹約精神で天下を取ったのだと開き直った逸話を思い出した場面。他の人が口にしても『何を言っているんだコイツ』と笑われる台詞であるが、実際に『風立ちぬ』で大ヒットを飛ばしたうえ、自分もアングル重視の作品で生きた伝説になっている以上、庵野にかぎっては正論と受け取るしかない。宮さんや鈴Pや庵野みたいな天才の真似をして成功出来ると考える他の模倣者がアホなのだ。
この作品についても以前に『シン・エヴァ』本編&完全版の『さようなら全てのエヴァンゲリオン』に関する記事を書いているので、詳細は省く……というか、その三部作丸ごとでこの順位。監督のエキセントリックな為人を強調した『庵野SP』の番宣の完成度の高さ、四半世紀に及ぶ本人と作品と視聴者の因縁に完璧過ぎる決着をつけた『シン・エヴァ』本編の素晴らしさ、そして、その舞台裏を冷徹な視点で振り返る『さようなら全ての~』は、個人的に『序・破・Q・シン』に匹敵するセット作品と認識している。
ちなみに本編感想で触れた友人のY氏が私の記事を読んで『そうか、若い連中にはシン・エヴァは判らなかったか……よし、昔の俺たちのように答えを探して四半世紀は彷徨えばいい』と宣っていた。鬼か貴様は。私も概ね同意見だ。
第1位 Mリーグ2020(麻雀中継)
近藤誠一「……ツモッ」ガクッ
日吉辰哉「リーチ、一発、ツモ、タンヤオ、ピンフ、イーペーコー、赤、裏!」
自分もいい年齢こいたオッサンになったなとしみじみ思うようになった契機の番組。子供の頃、大人が夢中になって見ているゴルフ中継を『これの何が面白いのだろう』と思っていた、その時の大人の気持ちが判ったような思いである。いや、別に悪口でなく、本当に面白いのよ! 今年のDeNAは序盤に試合以外のもたつきで数年前の定位置に戻っている(ばんてふはようやっとる)し、オリンピックはコロナの影響で色々とアレだし、試合やゲームの中継に飢えていたのも事実とはいえ、プロ雀士の真剣勝負中継が斯くもツボるとは思わなかった。
面白さの主要因はゲームを見る側特有の神の視点の優越感であろうか。通常のスポーツやゲーム中継では監督もプレイヤーも観客も次の展開を完全には予想し得ない点では同じである(勿論、経験や才能に基づく読みはあるにせよ)が、こと麻雀に関しては各々の配牌やツモが観客には丸裸であるため、時にプレイヤーよりも先読みが可能であり、何巡先でアタリ牌が切られるか&危険牌の放銃を躱せるかという見えているが故の逆説的なハラハラドキドキ感が堪らない。ホラー作品で不気味なBGMが流れて、登場人物が物音に気を取られて背後の注意を怠った頃に『来るぞ来るぞ』とワクワクする感覚に近いというか。
勿論、純粋なゲーム観戦の面白さもあるうえ、視聴者的な神の視点を覆すプレイヤーの読みや強運も楽しめることも多い。上記の近藤誠一プロの試合は最下位オーラスで高目引きの一発ツモ&裏ドラを乗せての倍満で大逆転トップという麻雀漫画でもよう描かんドラマティックな展開で、視聴時はガチで鳥肌が立ったのを鮮明に覚えている。裏ドラを捲る近藤プロの手が震えていたの最高にすこ。
仰木武司「麻雀にセーフティーリードなんてねぇっ……!」
という『アカギ』の台詞を思い出した瞬間であった。
敢えて苦言を呈すると日吉辰哉の実況はやめて欲しい。デカい声で無理に実況を盛りあげようとクサくて大袈裟な単語を連発される所為で見ていて萎えるんだよなぁ。日吉氏が実況の回はミュート視聴している。プロレス中継でも稀によくあるやり方。
さて、下半期の展望は……純粋にない。引き続き『青天を衝け』は楽しみではあるが、それ以外は『これ』といった注目作品はないのが現状である。まぁ、それはそれで未知なる作品に出会う楽しみがあるともいえるが。『閃光のハサウェイ』は友人の評価も高く、かなり楽しみにしているのだが、如何せんJE市で上映されるか否かという根本的な問題がね……『NT』も何カ月か遅れでやってくれたので、今回もそれに期待するかな。