タイトルが律儀に不破圓明流外伝になっていた『修羅の刻・西国無双編』ですが、
今回はほぼほぼ誾千代回
と評して問題ないでしょう。誾千代との床入りのお預けを食らった点も含めて、宗茂さん二重の意味で涙目。後編での巻き返しを期待致します。前回の感想記事で誾千代の登場は予想していたものの、これほどまでにストーリーにガッツリ食らい込むとは想定外でした。いっそのこと女性の陸奥VS立花誾千代というカードを見たかった気もしますが、誾千代とロリ彦&虎彦、或いは次代の八雲の年齢を考えると新しい陸奥は出せないでしょうからねぇ。そんな今回のポイントは5つ。
1.なんがおかしい
戸次誾千代「『戯言じゃ』言うなら、それば示せ。終わらん内は戯言じゃなかとぞ!」
方言女子誾千代さん。標準語モードと大分弁モードのギャップが可愛い。普段は城督の立場上、畏まった物言いを心掛けているようですが、気が昂ぶると大分弁が顔を覗かせる模様。『海皇記』のアグナも同じような性格でした。何故、未来のアフリカに広島弁が伝わっていた&残っていたのかは、テラトーの森守&パンニャーの卵を凌ぐ作中最大の謎。一方、統虎さんの印象はイマイチ掴めません。齢十五という年齢もあるでしょうけれども、強さもキャラクターも固まっていない感じ。前髪&生え際&眉毛が『龍帥の翼』の項羽に近いので、画的な伸び代は期待できそうですが。
2.クンカクンカスーハースーハー
戸次誾千代(クン……なんかが違う、なんね、この感じ?)
戸次統虎(え、なんだ……匂いを嗅がれたのか?)
ドンびき統虎さん。新婚初夜に『殺す気で戦わないとヤらせない』とデッド・オア・ラヴな決闘を申し込まれるだけでも統虎さんは頭ポルナレフ状態なのに、殺陣の真っ最中に相手の匂いを嗅いでくるとか……おかしいですよ誾千代さん! 先項で統虎さんの強さやキャラクターの固まっていない感を指摘しましたが、よくよく考えると年頃の男の子が初夜の相手に『あんなこと=決闘』や『こんなこと=匂いを嗅がれる』をされてペースを乱されないほうがおかしいので、責めるのも可哀想でしょう。繰り返すように次回の巻き返しを期待します。それにしても、誾千代さんの、
匂いで相手の強さを測る(比喩ではない)
というインパクトの強さ。汗の味で相手が嘘をついているか判るブチャさんといい勝負です。これは誾千代さんの持って生まれた特殊能力なのか、それとも、道雪に『匂いで相手の強さが判るようになれ』とでも教育されたのでしょうか。大友家の闇は深い。
3.マジで剣豪将軍家康を見たい
不破虎彦「肥後に丸目蔵人とか云う兵法者がいるだろう。その者に会いに来た……が、迷った」
迷子の迷子の虎彦さん。ロリ彦に敗れて新しい生き方を模索している最中なので、方角的にも人生的にも道に迷っている最中ということでしょう。九十九もそうでしたが、圓明流の家系は基本的に方向音痴という事情もありそうです。尤も、虎彦は信長在りし日には信玄や謙信といった諸国の有力大名を暗殺して回っていた訳で、あまり方向音痴なのも困りものです。暗殺する前に上杉や武田に攻め込まれたらイカンでしょ。
さて、虎彦が挙げた丸目蔵人。『信長の野望』的には丸目長恵のほうがシックリきます。世に名高いタイ捨流兵法の創設者ですね。個人的には圓明流の相手は有名武将よりも、こうした剣豪のほうが盛りあがるような気がします。多分、板垣センセでしたら、現在連載中の相撲編のように丸目蔵人に新たなファンタジーをドカ盛りして繰り出すに違いありません。この辺、川原センセは武術と同じレベルで歴史好きというのが作風に反映されているのでしょう。板垣センセが東国編を描くとしたら、相手は徳川家康にすると思う。アイツ、普通に剣豪だからな。
4.おまえうまそうだな
不破虎彦「お前は良い匂いがするぞ」
匂いを嗅がれてドンびきした統虎さんと反対に嗅がれたら嗅ぎ返すというメンタルカウンターアタックで対抗した虎彦さん。これはロリ彦さんとは異なり、性的嗜好や変態性というよりも年齢の功という奴でしょう。或いは虎彦の甥にあたる八雲も同じやり方で詩織をナンパしていたので、これは圓明流に代々伝わるガールハントの奥義かも知れません。尤も、口説き文句と同時に右の腹パンを繰り出す辺り、相手の不意を衝いて寝首を掻く『暗殺者としての不破』の特性が早くも芽吹いているようにも思えます。初手から『虎砲』を繰り出さなかっただけでも、虎彦的には手加減したほうでしょう。
5.誾千代「死刑」
侍女「あ、誾千代様。これは見事に仕留められました」
今回一番ツボッたのが、この駆けつけた侍女の一言。本編をお読みになった方は御承知のように、この猪は虎彦が素手で殴り倒したものです。つまり、誾千代さんは侍女に素手で猪を殴り倒すような女と認識されているということです。『独眼竜政宗』のお東の方でさえ、猪狩りには弓矢を用いたというのに……幸い、誾千代さんは敗戦&自分よりも強い相手として意に沿わない婿の名を挙げてしまった屈辱で胸と頭が一杯でしたが、あとで思い返したように『お前、あの時、随分と失礼な口を利いたよな?』と処罰が下されるのではないかとの懸念があります。口は禍の元。すまじきものは宮仕え。
そんな訳で西国無双・戸次誾千代編の前半は終了。後半は流石に立花宗茂編になると思いますが、単純に虎彦VS宗茂の勝敗の他にも決戦の舞台は何処か(恐らくは大津城か? 本気の宗茂が見られるシチュエーションはそこくらい?)、誾千代との床入り、不破としての方向性の確立……あとは『神威』の原型も見られたら嬉しいけれども、@1回では厳しいかなぁ。
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