最近、頓に疲労が蓄積するようになりまして、腰痛や目の霞みといった身体的なものもありますが、一番愕然となったのは『ザ・ウォーキング・デッド』の最新シリーズを一気見出来なくなっていたことでした。昔は平気で一気見していたのに、今は一日一本見ただけでメンタルの疲労度がヤバいことになるのよ。今回リリースされたのは8期前半の8話分ですが、@2話残したまま、最終巻に手をつけられないでいます。明後日には返却しないといけないのに……でも、リックが立てた聖域封じの作戦は以前から私も考えていました。ワイ、リックの軍師になれるかも?
上記の理由により、半ば自業自得でメンタルをやられているため、今回も短めの記事がメインの徒然日記です。
まずは今週の『西郷どん』感想。
第二次長州征伐が具体的な戦闘描写なしで終わったことについて、
岸静江「今年も俺は出番なし!」
という声が聞こえた気がしましたが、村田蔵六や山縣狂介や井上聞多といった既に配役が発表されている人物でさえも登場していないので、これを期待するのは高望みというものでしょう。それにしても、聞多が忍成さんで狂介が村上さん……相変わらず、キャスティング『は』素晴らしいのですよ。キャスティング『は』ね。この山縣は眉一つ動かさずに、
山縣有朋「(山城屋事件がバレないうちに野村を)斬り捨てますか」
と即断しそう。キャスティングといえば、
『松田翔太「幕末は“全員正しい”からこそ面白い」『西郷どん』慶喜役で』
でヒー様の中の人がナチュラルに脚本をdisっていたのがツボ。松田さんにはリアルでゴッシーやヒー様の素質ありますわ。この一事のみを見ても本作のキャスティングは神レベルと評して差し支えありません。逆にいうと本作の問題点がキャスティング以外にあることの傍証ともいえます。
実際、先回&今回のストーリーは幕府が仏国の援助を受けるのであれば、薩摩は英国の支持を取りつけるといった具合に、
を地で行く展開にも拘わらず、西郷は絶対的な正義の体現者として描かれる一方、慶喜が売国奴的な扱いを受けるという容保公でさえ慶喜に同情するレベルの偏向描写に草も生えない。幕府と仏国の連携を批判することは薩摩と英国の紐帯へのブーメランになることに制作陣は気づかないのでしょうか。幕府と仏国、薩摩と英国の繋がりとは、諸外国のバックアップを受けつつも、如何に内政干渉をさせないうちに相手を叩き潰すかというチキンレースな訳で、その辺の事情をガン無視して、一方的に慶喜をヒールに仕立てあげるとか、制作陣の幕末に対する理解と愛情の欠落を指摘されても仕方ありません。
ブーメランといえば、慶喜の大政奉還に対して、
西郷吉之助「慶喜公はうまく逃げただけじゃ。大政奉還の真の狙いはオイたちが振りあげた拳を躱すこっちゃ。タダの詭弁じゃ。あん頭のよか御人は判っちょる。政権を返したところで今の朝廷にはないもできんち。すぐにまた政権が手元に戻ってくるち」
と主人公がボロクソに貶すシーンがありましたが、
徳川慶喜「ほならね? 薩長が新国家の青写真を用意しておけって話でしょ? そう私はいいたいですけどね?」
との思いを禁じ得ません。いや、別に西郷が『慶喜にハメられた』と悔しがるのはOKなんですよ。でも、それを慶喜への人格攻撃や新国家の道義的優劣論に持っていく姿勢が本当に我慢出来ないのよね。取り敢えず、制作陣は松田翔太さんのインタビューを百遍読んでから出直すべし。
次はこれ。
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公開時には各局で放送された宣伝番組を結構見た記憶がありますが、今でも本編は視聴していません。理由は単純明快で、
原作の情報量を三時間弱の映画に圧縮するのは物理的に不可能
と判りきっているからです。情報を直接ダウンロードする電脳化の技術でもないかぎり、原作を名作足らしめている要素を劇場映画の制限時間内に第三者に伝達するのは無理。原作と別物の面白さを作ることは不可能とはいいませんが、原作の面白さを再現するのはインポッシブル。これは監督の力量とか脚本家の腕とかではなく、単純に現代の科学技術の問題ですので、別に作品への批判ではありません、念のため。まぁ、企画した人間は何を考えていたのかとの疑問は残りますが。
それでも、この『関ケ原』は序盤から太閤秀吉の死や左近の暗闘、三成と初芽のエチィシーンといった見せ場があるので、終盤の合戦シーンまで観客のハートを引っ張れなくはないと思わないでもありませんが、先日発表された、
『司馬遼太郎の名著「峠」映画化! 役所広司、松たか子、仲代達矢ら豪華キャスト結集』
このニュースを聞いた時は、正直なところ、
と思いましたよ。いやね、この作品は全三巻のうち、後編の中盤に発生する北越戦争まで特に目立ったイベントはないのよ。河井継之助という合理主義のカタマリのような人物が何故、北越戦争という無謀な戦に出たか。その理由や動機づけに全体の八割が費やされる異端の作品なのよ。特に上巻は継之助の吉原通いがクローズアップされたり、自身の政治思想を確立するために全国の名士を訪問したり、小田切の勘定だけ断ったりと致命的に映像化に向かないのよ。しかも、タチの悪いことに、そうした継之助のグータラ書生生活のほうが、肝心の北越戦争よりも遥かに面白いのよ。歴史劇というよりも継之助の日記に基づいたエッセイに近い内容なのよ。それが最大の魅力の作品に『最後のサムライ』というサブタイつけちゃうセンスの持主が映像化に携わるというのは不安要素しかねぇ。
ついでにいうとキャスティングも……主演の役所広司さんは大好きですけれども、正直、大御所過ぎるといいますか。『八重の桜』の感想記事でも述べましたが、今、河井継之助を演じて欲しいのは兄つぁまこと西島秀俊さんなんですよね。今回の出演陣の中から選ぶとしたら佐々木蔵之介さんでしょうか。幾ら何でも佐々木さんの良運さんは違うやろぉ。
最後はこれ。
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昨年上半期のベスト1作品『帰ってきたヒトラー』以来の洋画鑑賞。あれから一年以上経過していますが、これほどの短期間で洋画を立て続けに見たのは私の人生で初めての経験。多分、@二十年は洋画を見なくてもいいと思います。例外は『ダウントン・アビー』の劇場版。上映されたら必ず行く。でも、ローズが出ないってどういうことなの……?
それはさて置き、この『レディ・プレイヤー1』。冒頭で触れた『ザ・ウォーキング・デッド』4本と新作5本セットの数合わせで手を伸ばしたのですが、八十年代サブカルネタとVRMMOが融合した世界観がツボにハマったのか、メチャクチャ面白かった! サブカルとMMOのどちらか一方でも好きな方は見て損はないでしょう。版権の煩いアメリカで、よくもまぁ、これほど多くの作品のネタを映像化出来たものです。その労力だけでも充分凄いのに、純粋なアクションアドベンチャーとしても面白かった。多重債務者にゲーム内での労働を課す企業『IOI』も、ネットゲームでの悪質なRMT業者の延長線上にあると思うと妙にリアリティあったなぁ。まぁ、一番ツボったサブカルネタは作中ではなく、メインカップルの吹き替えがギーヴとファランギースということでしたが。
そんな訳で久しぶりに頭をカラッポにして楽しめた作品で、純粋な面白さでは今年ダントツのクオリティと評して差し支えありませんが、単純に『面白い』と『好き』がイコールで結ばれるとはかぎらないのが私のハラワタのねじくれさの証明といいますか。『好き』か『嫌いか』と聞かれると『好き』とは言い難い作品でもあります。理由はVRMMOを題材としているにも拘わらず、作中の価値観がかなりの比重で現実に置かれていること。開発者がゲーム内に残した莫大な遺産を探すという作品の性質上、ゲーム内での成功が現実社会の成功に直結するのはやむを得ないとしても、主人公もゲームの開発者も最終的には、
「やっぱり現実世界が唯一のリアルだよね」
という価値観に落ち着いちゃっているんですよ。そういう結論に落ち着くのでしたらVRMMOを舞台にする必然性ないやろと思ってしまうのよ。第一、そんな結論下す人間がVRMMOにハマったり、開発したりする訳がない、と嘗て某MMOで猫耳ネカマスペルキャスターで語尾に『にゃー』をつけていた私などは考えてしまうのよ。この辺、同じVRMMOを舞台にした作品でも、
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こちらは現実世界と仮想空間を『=』とまではいかなくても『≒』で結んでいます。キリトさん曰く、現実世界と仮想空間の違いは情報量の多寡に過ぎないし、何時か仮想空間は現実世界と同等の情報量を再現出来るようになる。『SAO』はヴァーチャルからリアルに回帰するのではなく、ヴァーチャルからリアルを変えることがメインテーマなのですね。アニメ二期のシノンのトラウマ克服、ユウキのメディキュボイドが典型でしょうか。巷では典型的な俺TUEEEEE系ウハウハハーレムものと囁かれており、私自身も全く同じ評価を下している『SAO』ですが、上記の『ヴァーチャルからリアルを変える』という作品の主題においては、胸を張って『好き』といえる作品です。その『SAO』3期も近日放送開始。今回は4クールとか……流石に2クール分割になると思いますが、正気の沙汰じゃないな、これ(誉めています)。
まぁ、繰り返すように好き嫌いは個人の問題であって、純粋に『レディ・プレイヤー1』がエンタメ作品として飛び抜けて面白い事実は揺るぎません。興味を抱いた方は絶対に見て! 損はしないから!
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