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『西郷どん』第二十六話『西郷、京へ』感想(ネタバレ有)

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与力「……ご、ごめんなさい。俺、俺、反省します……先週の『西郷どんSP2』を作ったスタッフの皆さん……今週の放送を視聴して何の見所もない本作をベースに何とか番宣をデッチあげた皆さんの苦労が身に染みて判りました。あの番宣を制作したということは! それだけで『ありがとう!』ということなんですね! 今回はそれが判っただけでも収穫だ……!」

 

……という訳で、先週ボロクソに貶した筈の『西郷どんSP2』のほうがまだしもマシな内容で終わった今週の『西郷どん』。『SP2』は新規キャストのインタビューは面白かったですし、磯田さんの本音ダダ漏れコメントも底意地の悪い視点で楽しめたからなぁ。それに引き換え、本編は全く見所ナッシング。番宣よりも本編のクオリティのほうが低いという、ある意味革命的な内容でした。まさに革命編の開幕に相応しいですね、勿論、悪い意味で。

尚、本来は『ぐらんぶる』とか『アンナチュラル』とか『海帝』とかの感想も書くつもりでしたが、職場の三週連続イベント企画の影響で疲労困憊甚だしいので、今回は『西郷どん』のみとさせて頂きます。上記三作品については何とか時間を捻り出して書きたいんだよなぁ。特に日本の第一線級の漫画雑誌で鄭和が主人公の物語が連載されるなんて、これこそ、革命的な出来事ではないかと思いますので。感想のポイントは3つ。

 

 

1.御屋形様は転生なされた!(イケボ

 

勝海舟「西郷? 何をやった男だ?」

 

アバンタイトルで全視聴者の心情を代弁したエンケン勝安房。見た目はピュア勝そのまんまですが、中身は直江状の朗読途中に鼻で笑ったセコム兼続並みの毒舌です。ピュア勝からダーク勝への華麗なるジョブチェンジ……じゃない、転生といえるでしょう。このダーク勝でしたら、第二次長州征伐の講和交渉の途中で慶喜に梯子を外された時も、

 

勝海舟「忘れたですむ話ではない……ような気がする」

一橋慶喜「安房、声が小さい! 耳に入ってこぬわ! ぁあ?」

勝海舟「……何でもござらん!」(半泣き半ギレ)

 

とはならないと思う。いや、それはそれで見てみたいけど。

しかし、このアバンタイトルでの岩公、勝、龍馬の登場のさせ方の稚拙さときたら……ハッキリいって、このシーンは物語の進行と全く関係なかったじゃあないですか。ただ出しただけ。『こちらがこれからの重要人物ですよ~♪ 覚えておいて下さいね~♪』という視聴者を舐め腐った&手抜きにも程がある紹介。岩公や勝や龍馬が幕末のキーマンなのは、いわれなくても判っていますよ。大事なことは彼らを如何なる解釈で描くかでしょう? 重要人物の登場はキチンとストーリーと絡ませる、或いはそれぞれのキャラクターをたてながらやるものではないでしょうか。第一次&第二次大阪編突入時にストーリー展開とキャラクター設定を同時に進行させた『真田丸』の手際のよさを見習え。

 

 

2.一分で判(った気にな)る文久~元治講座

 

西郷吉之助「オイたちはほんのこて嫌われているようじゃの」

 

京洛で何時の間にか長州から目の仇にされている薩摩。吉之助サァが二度目の遠島を食らう直前、有馬新七たち等と共に宴席の場に長州の久坂玄瑞が居合わせたことを御記憶の方もおられると思います。あの時は曲がりなりにも共闘関係にあった長州と薩摩が何故、いがみ合う間柄になってしまったのか。ここの過程がズッポリと抜け落ちているので何時の間にか長州が何となく悪者にされている感が半端ないのですよ。まぁ、この時期の長州に関しては『自業自得』『自縄自縛』の要素が強いので、全く同情出来ないんですけれども、流石に今回は可哀想。一応、今回に至る流れを超簡単に説明しておくと、

 

薩摩「久光公が上洛なさる! 武力で幕府を倒して攘夷親征の魁となる!」

長州「マジかよ三郎最高だな! 幕府を倒せるなら俺らも力貸すわ!」

三郎「は? 俺の目標は公武合体と幕政改革なんですけど? つーか、帝から京の治安を任された手前、過激派はウチの藩士でも(物理的に)斬り捨てるわ」

長州「マジかよ三郎最低だな! もう薩摩なんか信用出来んわ。俺らだけで攘夷と倒幕やったるわ(テノヒラクルー)

帝「攘夷の詔を下しておいたぞ」

長州「やったぜ、下関を通過する異国船砲撃するわ」

米仏「民間船を砲撃するとは許せませんね。報復します」

長州「グエーやられたンゴ」

三郎「俺の行列横切った英国人斬り捨てたぞ」

英国(本音:大名行列に割り込むとかアホちゃうか)これは大英帝国に対する挑戦ですね。報復します(キリッ)

薩摩「おっやんのか?」

英国「なんやコイツ、意外と手ごわいやんけ。戦うよりも商売の相手にしたほうが儲かりそうやな」

長州「おい薩摩。何、異国と商売してんだよ? 攘夷親征が帝の御意志だっつってんだろ?」

薩摩「……はぁ、コイツうっざ。会津の兵力利用して長州追い落としたろ!」

会津「いいよ」

長州「ああああああああああああああああああああ!【略

慶喜「三郎の奴、意外とヤベー。コイツ追い落とさないと何時か幕府乗っ取られるわ」

三郎「やったぜ。これで安心して幕政改革に専念できるわ」

慶喜「中川宮、薩摩の金で食べる飯は美味いか?(泥酔のフリ)

参与会議メンバー「ああああああああああああああ!【略

慶喜「やったぜ、これで安心して幕政改革に専念できるわ」

長州「長州追い落としは薩摩と会津の陰謀! 帝は彼らに操られている!(ギャーギャーギャー)

三郎「……はぁ、もうヤダ。薩摩に帰るわ」

一蔵「まぁまぁ、多方面に顔が利く西郷なら手詰まりの局面を打開できますぜ(企み顔)

 

多少、時系列が前後していますが、概ね上記の流れではないかと思います。まぁ、時系列でいったら、今回の一蔵サァの畳回しももっと前の逸話だからね、多少はね。正直、これでも物足りないという自覚はありますが、肝心の『西郷どん』はこれすら描けていないので仕方ないね。それにしても、改めて書き起こすと薩摩に対する長州の悪感情は逆怨みでしかないことがよく判るな。さっき、長州が少し可哀想と書きましたが、やっぱり訂正しますわ。

 

 

3.今更感210%

 

西郷吉之助「攘夷か開国か、それを考えるためにも、まずは民の暮らしを守ることを考えてたもんせ」

 

その民を守るための政策として攘夷か開国のどちらを選ぶかって話をしているんだろ? 頭湧いてんのか?

 

事、此処に至って、物語の根本を覆すような吉之助サァの一言。何で今更、そんなことが議論のタネになるのか、サッパリ判らない。てめぇの頭はハッピーセットかよ? 案の定、慶喜にちょっとなにいっているかわからないと呆れられる始末。よりにもよって、慶喜にこんなことをいわれるようじゃあ、人間としてオシマイな気がするのですが。しかも、ここまで偉そうなことをいっておきながら、肝心の三郎の説得に失敗するや、

 

西郷吉之助「オイの力不足にございます。こんとおりにございもす。お許し下さいませ(ドゲザー)

 

これが今回の序盤に『オイにできるこつがあったら何でも言うてくいやい』とドヤ顔で宣った男の台詞である。土下座以外に交渉のスキルがないのか、この男は。これではぼんくら官兵衛と変わらん作中ではゴシラ院時代を彷彿とさせる見事な企み顔でマグマの如く滾る怒りを表現した松田慶喜ですが、本作の吉之助サァのいうことを信じるほうがどうかしているので、迂闊の誹りを免れ得ませんね。まぁ、慶喜も慶喜で、

 

徳川慶喜「今の俺には誰が味方で誰が敵かさえ判らんのだ」

 

という見事なまでのブーメランを放っているのですが。これ、会津藩の耳に届いたら、

 

松平容保「私にはアナタが敵か味方か判らないのですが……」

西郷頼母「敵だぞ」

山川大蔵「味方を置き捨てて逃げる敵だぞ」

神保修理「味方から身代わりの生贄を差し出させる敵だぞ」

 

という怨嗟の言葉が返ってきそうです。

 

 

 

 

 

 

 


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