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『西郷どん』第七話『背中の母』感想&徒然感想日記 ~2018/02/19~

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1.『西郷どん』第七話『背中の母』感想(ネタバレ無意味)

 

 

 

 

以上、今週の『西郷どん』でした。

 

感想? ない。書く内容がなかったから、仕方ないよね。いや、半年足らずの間に祖父・父・母を相次いで亡くした吉之助サァの悲痛は察するに余りありますが、それがドラマの展開に全く寄与していないので、赤山センセの切腹の時と同じように死んだね&可哀想だねという以外の感想を抱けない。両親の死に関して、今までの前振りがしっかりしているか、或いは今後の展開に繋がる布石として描かれていれば、まだしもフォローの仕様もあったのですが、ドラマというよりも新聞のお悔み欄を読んでいる錯覚に囚われました。正直、

 

 

との思いを禁じ得ません。母親の亡骸を背負う息子というシチュエーションに限定しても刃牙と赤沢江珠のほうが遥かに上。このドラマは本当にキャラクターの死なせ方がヘタ。このままだと幕末史上、最も凄愴な散りざまを遂げた有馬新七のオイごと刺せも殆ど盛りあがらない気がします。そんな訳で今週の感想はこれにて終了。来週の、

 

阿部正弘「はわわ、斉彬殿! 黒船が来ちゃいました!」

 

をお楽しみに(白目)

まぁ、これだけで終わりにするのも何なので、追加キャストに関する話題に触れておきましょう。いや、マジでキャスティングに関しちゃあ、このドラマのセンスというか俳優を引っ張るヒキの強さは神がかっていると思うのですよ。松田翔太さんのラストタイクーンとか、純粋にキャスティング的にも唸らされるうえに『篤姫』で家茂を演じたことを踏まえての話題作りという点でも見事です。エンケンさんの勝安房も『ほほう?』と我知らず、口をついちゃいました。松平春嶽は津田寛治さん……今年の春嶽も黒春嶽だな。更に鶴瓶師匠の岩公&ピン子のホンジュラスという変化球もキッチリと押さえたうえでの決め球が、

 

於虎=近藤春菜さん

 

完璧だッ!

キャスティングのみならず、ネタのオチとしても完璧だッ!

西郷吉之助とかいう幕末のぽちゃまにを描くのに、これ以上の配役は存在しないッ!

追加キャストで唯一、納得できなかったのは玉鉄の桂小五郎。これは完全に私の身勝手な思い入れに過ぎないのですが、山川を演じた玉鉄には@5年……いや、せめて、@3年は討幕派になって欲しくなかった。それくらい、私の中では完璧な山川でしたので……逆に山川を演じていなければ、絶対に見たいキャスティングでもあるんだよなぁ。

尤も、配役がハマるもハマらないも、本編がしっかりしていることが大前提な訳で、その意味で本作はどんなにキャスティングが素晴らしくても……否、素晴らしいからこそ、別の大河ドラマで見たかったとの思いを抱く可能性が極めて高くなりそう。大河ドラマにかぎらず、同じ俳優が同じ役柄を演じることは決して多くないうえ、作品的にミソがついた役柄がもう一度回ってくるケースは更に少ないことを思うと、本作は、

 

キャスティングが完璧であればあるほどに絶望感を覚える

 

稀有な存在といえるでしょう。『花燃ゆ』で三郎とケーキさんに某芸人がキャスティングされた件に関して、当時は『大河ドラマ舐めんなよ』と憤ったものですが、今思うと被害を最小限度に留めるための英断であったと熱い掌返しに勤しむ今日この頃……うーん、追加キャストの件に触れても、記事としては短過ぎるので、最近鑑賞した作品の感想も追加しておきますね。

 

 

2.『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿②』感想(ネタバレ有)

 

 

小城拓也「そうか……俺……これから辱められるんだ。これ、アレだろ……? 楽しい感じで推理始めといて、最後メッチャ怖い顔で犯人の名前告げるヤツだろ? どうかしてるよ! 金田一……これがお前のやり方か……!

 

昨年下半期のベスト10でも紹介した『犯人視点で描く』金田一少年の事件簿。週刊誌ではなく、マンガアプリでの連載のため、単行本の発刊ペースが読めなかったのですが、まさかの三カ月という短期間で第二巻発売……書店で見かけた時に『嘘? もう出ている?』と声をあげてしまいました。

第二巻の原作……というか、元ネタは『雪夜叉』『タロット山荘』『ジェイソン』の三作。『タロット山荘』はトリックを忘れていた所為か、ついていけない場面があったものの、今回も爆笑させて頂きました。何が面白いって、本作の犯人たちは殺人を犯すことに全く抵抗感を覚えていないことですね。今回は『雪夜叉』の犯人が標的を殺す順番が前後したことを悔やむシーンがあるのですが、そもそも、殺人自体を悔やまないのが何とも病的な身勝手さといいますか。いや、元ネタでは彼らにも相応の動機があり、特に『雪夜叉』の犯人は情状酌量の余地があるのですが、外伝はそれらをスッパリ斬り落としている所為で、犯人像の深みに欠ける分、彼らのサイコパスっぷりがギャグに昇華されているのですよ。『雪夜叉』とは真逆に同情の余地が全くない『ジェイソン』の犯人もそう。瀕死の被害者が必死でダイイングメッセージを書くのを見ながら、

 

東野英治「ど……どうすれば。俺、人がダイイングメッセージ書いてるのを見るの初めてだから……と、とりあえず、擦っとくか。読めなきゃいいんだもんな? これで合ってるのか? ダイイングメッセージの対処法……」

 

と戸惑うシーンも人として悩むところはそこじゃねぇよと突っ込んでしまいましたよ。まぁ、作中一番のサイコパスは冒頭の小城の台詞からも判るように、犯人をジワジワと精神的に嬲り殺しにする金田一なんですけれどもね。

この辺、原作ファンからも批判の声が出るようで、確かに『金田一少年の事件簿』の魅力は犯人側の動機や人物像に支えられていることを考えると、犯人の言動を茶化す本作を快く思わないのも判る気がします。しかし、私はフィクションの殺人をギャグに昇華するのは間違っていないと思うのですね。どんなに立派な動機があろうとも、基本的に殺人はやってはいけないのですが、しかし、フィクションとしての殺人事件をリアルに描こうとすると、どうしても、犯人の動機に相応の正当性を持たせなければいけない。この犯罪小説が構造的に抱え続けるジレンマを解決するには、犯人の動機をギャグに昇華するのが最もよさそうに思うのですよ。『沈黙の艦隊』のハロルド・ベイカーの言葉を剽窃&改編すると、

 

「バカバカしいもの、笑えるものという喜劇のイメージで犯罪を否定することこそ、本作の狙いでは? なぜなら! 従来のように悲劇のイメージによる犯罪否定は逆に犯罪の美化につながるからです!」

 

といったところでしょうか。勿論、これらはフィクションの世界の論理であり、現実の殺人に関しては異なるアプローチもあると思います、念のため。

 

 

3.宝塚版『ルパン三世 ~王妃の首飾りを追え!~』感想(ネタバレ有)

 

銭形幸一「私ハ、モウ警部デハナイ。『シトワイヤン』ト、呼ブノダ(棒

 

一昨年来、友人の勧めで始めた宝塚関連作品の鑑賞。現時点での当たり作品は『星逢一夜』『リンカーン』。そして、今回の『ルパン三世』。打率3割を維持できるか否かはBSで先日放送された『ミケランジェロ』の出来次第。基本的に私もタモさんと同じで、

 

「何故、今にも死にそうな人間がハモれるのか?」

 

という歌劇の基底を覆す疑問を拭えない性格なので、宝塚作品との相性は必ずしもよくはないです……が、今回の『ルパン』は傑作でした。これは是非とも宝塚が苦手なルパンファンにこそ見て頂きたい。何せ、本作を見た私の第一声が、

 

「何だ、ただのルパンTVSPか(歓喜

 

でしたからねぇ。それっくらい、アニメ版ルパン作品としての再現度が高かった。ミもフタもないことをいうと本作の脚本そのままで金ロー枠のTVSPを作って欲しいと思えたほどです。脚本家の方をwikiって見たら、殆ど私と同世代なのが納得。我々の世代って夕方枠でルパン(特に第二期)の再放送を浴びるように見た&年に一度のTVSPを楽しみにしていた世代じゃあないですか。勿論、脚本家の方がルパンを御覧になっていたかどうかは判りませんが、我々の世代が思い描くルパンを過不足なく実体化して下さった印象です。

マリーアントワネットの首飾りを盗もうとしたルパン一味が、とっつぁんと共にフランス革命間近のパリにタイムスリップするというストーリー構成もうまかった。アニメ版ルパンって、ファラオの呪いからラピュタのロボット兵まで何でもアリのメチャクチャな世界観で、これらを舞台でやるのは不可能に近いのですが、彼らを『ベルばら』という宝塚の圧倒的ホームに引きずり込むことで、放っておくと何をやらかすか判らないルパンたちを物語的な制御下に置くことに成功していました。イメージ的には劇場版ルパンVSコナンに近いかなぁ。あれはコナンの世界にルパンが来たらどうなるのかというストーリーでしたが、本作は『ベルばら』の世界にルパンが来たらどうなるかという感じ。冒頭のとっつぁんの台詞も、ごっつ『ベルばら』用語だし。尤も、あくまでも『ベルばら』の時代であって、作品としての『ベルばら』ではないので、オスカルもアンドレも登場しません。それでも、フランス革命に関わる歴史上の人物はゴロゴロ登場します。本作の見どころの一つは、

 

銭形のとっつぁんがロベスピエールとラインダンスを踊る

 

ことでしょう。大事なことだから、もう一度書くぞ? いいか?

 

『銭形のとっつぁん』が『ロベスピエール』と『ラインダンスを踊る』

 

のですよ。うーん、この『誰が』『どこで』『何をした』ゲーム的なカオスな内容。しかも、この場面、全然違和感を覚えないから始末に負えねぇ。

あと、宝塚という一種独特の表現形態もあってか、劇中の描写を余裕でアニメに脳内変換できるのよね。これ、意外と重要な要素で、少なくとも、実写映画版のルパンは全くアニメのイメージが湧かなかったからなぁ。生半可なリアリティよりも、ブッ飛んだファンタジーのほうがアニメに寄せるのに適しているのかも知れません。勿論、ハナからリアリティを放棄している訳ではなく、ルパンがよく見せる踵と足の裏を合わせる独特のステップは忠実に再現されていました。中の人、凄ぇ。唯一の、そして、最大の瑕瑾は物語の最後の最後のコーラスで、

 

主題歌のサビでキーを下げたこと

 

でしょうか。何故、そこで画竜点睛を欠く! あの部分の音階は確かにキツイ! キツイけれども、あれは『男には自分の世界がある!』というクサイ歌詞をカッコよく見せるための必須ポイントじゃあないか! そこだけが残念無念!

 

 

 

 

 


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