GX「ラスボスのネタバレされちゃった『閉アン』は、ホントにどうやって続けていくんでんしょうね。センセー、ちゃんと考えてあげてくださいよ」
広江礼威「無理-!! 僕だったら、『ブラックラグーン』の最終回ネタバレされたらそこで筆を折るわー」(『ヘタレの地平線』より抜粋)
一応、最終回のプロットは用意していることが判明した本作。最終回の原稿は既に完成しており、作者の金庫にしまってあると噂される『ゴルゴ13』を思い出しましたが、ゴルゴは基本的に単発完結もののうえ、殆ど休載をせずに半世紀以上も続いている作品なのに対して、本作は作中の時間軸と現実世界に十年以上のズレが生じるほどの定期的な長期休載を繰り返しているので、実際に最終回のプロットが用意されているとしても、本当に『そこ』に辿り着けるのか不安ではあります。今回の、
フォン「そのマシンは、オフラインよ」
ロック「」
という遣り取りも、無線LANがベーシックになっている現実世界との時間差を感じずにはいられませんでした。一種の自虐ギャグ? そのうえ、
『次号は一回休載、1月号より連載再開です』
おお、もう……。こうなったら、ガチで菊地原さんに現界して貰って、広江センセの担当編集になって頂くしかなさそう。菊地原さんに〇ねと申しあげておりますといわれれば、流石の広江センセも観念するでしょう。そんな今回のポイントは3つ。
1.個人的には④
リコ「四人いる、ってとこまでは掴んだんですが、その……随分調べましたが、どうにもあやふやなんだ。名前も人種もわからない。得物はどうやら刃物だってェことくらいで……」
『暴力教会』の情報網でも突きとめられなかった三バカ兄弟の隠し玉である四人目。彼らの正式名称は『四重奏(ウム・カルティエート)』というそうですが、こんなにカッコいい名前で呼ぶ奴は皆無でしょう。コイツらを飼っているブレン・ザ・ブラックデスは逆襲のロベルタ編で登場した際には不気味な雰囲気を漂わせていましたが、四バカ兄弟といい、ビルの屋上や階段や駅のプラットフォームを『凶器』に使うフィラーノといい、どうもクセがあり過ぎる人材を揃える趣味があるようです。端的にいうと悪趣味。二人の兄貴は百歩譲ってヨシとしても、リコにマッチョのアホの一言で片づけられた三男坊は、素人の私が見てもアカンと思うのですが。
さて、リコの情報によるとヤッパを得物に使う幻の四人目。ロアナプラの刃物使いで真っ先に思い浮かぶのはですだよ姉ちゃんですが、流石に彼女が四人目ということはないでしょう……というか、彼女が男としたら、あのフトモモを見て(*´Д`)ハァハァしていた私の立場がありません。考えられるオチは、
① 手堅く新キャラクターとして登場。
② まさかのシャドーファルコンが四男坊。
③ ノベライズ版の『本物の魔術師』のように登場することなく退場。ロアナプラの闇は深い。
④ 正体はダッチ。現在はクルージングに出かけているので、登場しないのも頷ける。やはり、ロアナプラの闇は深い。
⑤ 暴力教会に調べられないことはない。つまり、エダは何等かの理由で真実を隠している。いずれにせよ、ロアナプラの闇は深い。
といったところでしょうか。
2.陰謀論
ロック「旧シグリミ隊員のマフィアたちが混乱に乗じて持ち逃げした中共軍の黄金、それがアリ・ドラグアだ。莫大な金は、誰にも掘り出せないままに、電子の海に沈んでいる」
連載再開以降の内容を総括するロックの結論。電子の海に沈んだデータを如何にサルベージするかがポイントになるところは、ジェーンが初登場した贋札事件に被りますね。金塊はロンダリングの過程で既に電子データと化しているのか、或いは金塊を収蔵した金庫の暗証番号が問題なのか。そして、アリ・ドラグアの在り処を突きとめたロックは、それを如何に利用するつもりなのか。この辺は今後の展開待ちですが、一つ気になったのはエダやヤードの捜査官といった西側エージェントがガッツリと問題に絡んでいることでしょうか。今回の騒動はロニー・ザ・ジョーズ麾下のザミド・ディヤーブが、洗濯機から土左衛門にジョブチェンジを強いられたのが発端でした。エダは『重要なのは奴のくたばり方じゃない』と評していましたが、しかし、彼の死で全ての事象が動き出したのも事実。アンクルサムの太鼓持ちや女王陛下の優雅なる廷臣たちが、ザミドを消すことで中共勢力と東側の残党、及びマフィアの炙り出しと根絶やしを図った可能性も考えられます。被害者の死で一番得をする奴が犯人というではありませんか。ロックもエダの情報を鵜呑みにするほどのネンネではないでしょうけれども、今一度、事態を大局から眺め直しておかないと、逆襲のロベルタ編のように国家規模の陰謀に嵌ることにことなるかも知れません。
3.多分、枝はつけ放題
フォン「ここは確かに地の果てだけど、そんなに小さな街じゃない。この街の規模なら、中央のデータベースを利用するため、インフラを構築してるはず。市警になら、ネットに繋がってる可能性はある」
ここで市警に逮捕されたレヴィに繋がる展開。市警へのカチコミを匂わすアオリで次回に続いていましたが、如何に腐食した銅臭を芬々と漂わせるロアナプラの官憲とはいえ、流石に正面突破を許すほどに甘くはないでしょう。ロックも何らかの搦手で潜入を図るものと思われます。
むしろ、驚いたのはロアナプラの市警がネットを活用していること。確かに普通の官庁であれば、ネット回線を引いていても違和感はありませんが、街の治安やインフラの維持よりも自分の小遣い稼ぎを優先するロアナプラの市警が、ネットという当時の最先端技術に予算を割いているか否か。バラ姐の言葉に従うと賄賂を取らない警官は必ず優秀ですから、その逆を地でゆくワトサップが、ロックやフォンの期待に叶うレベルのネット環境を整備してくれているか、甚だ心許ないものがあります。そのテの予算の大半はワトサップの懐を経由して、彼の太鼓腹に貯め込まれていると考えるのが定石でしょう。尤も、中央の捜査情報をマフィアに横流しするという目的で、他の地方よりもITインフラに力を注いでいる可能性もあるかも。何れにせよ、ヘタに市警を刺激するよりも、大人しくベニーの機材と力を借りるのが、遠回りに見えて、実は一番近道に思えるのですけれども……まぁ、自社の取引情報を暴力教会に漏らしたことがダッチにバレたら確実にヤバいからね、仕方ないね。
![]() | Re:CREATORS 1(完全生産限定版) [Blu-ray] 7,344円 Amazon |
![]() | ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫) Amazon |