本編でヒロインを滅亡のズンドコに叩き落とす展開と、次回予告の佞臣での仮面を脱ぎ捨てた但馬の雄姿にドキドキワクワクがとまらなかった今週の『おんな城主直虎』。首桶との対面(桶狭間回)、隠し里の存在(検地回)、偽首の出所(解死人&人買い宣言回)、偽首と面通しの重要性(影武者徳川家康回)といった具合に、今までは然程の意味を感じなかった伏線が一気に集約される展開は御見事の一言。昨年の九度山を出るか出ないかでウジウジしていた信繁の回想~決意に至るシーンを思い出しました。でも、虎松の偽首に化粧を施す言い訳に『疱瘡』をデッチあげる件は流石に苦しかったと思います。実際の戦場では暑中の頬たれ首などは面貌がエライことになるらしいので、普通に搬送の途中で損傷したという理屈でもよかったのではないでしょうか。まぁ、当時の疱瘡は難治の伝染病であり、その首級を直虎がヒシと抱きしめることが、今川の目を欺く最善の方途であったとはいえ、些か『とってつけた感』は否めなかった。或いは今後、本当に虎松が疱瘡に罹り、
包帯取ったら菅田将暉さんになる
という新たなる伏線になるのかも知れません……というか、そろそろ、寺田君が退場しないとガチで菅田さんの出番がなくなりそうなのですが。色々と突っ込みどころはあれども、後半の山場に向けた転換点という重要な内容になった今回。でも、諸事情で簡易感想となります、ごめんなさい。ポイントは2つです。
1.道化師のバラード
井伊直虎「一度しか言わぬ。そして、一度聞いたら忘れて欲しい」
大事なことは二回言わない主義の井伊直虎さんが語る井伊家起死回生の秘策。今川に降伏したと見せかけて、徳川の侵攻に内応して、関口の首級を獲るという畜生極まる策略(誉め言葉)を聞かされた虎松君はドンびきしていました。今川に生命を狙われる件といい、後述の失禁ネタといい、虎松君受難の回であったと思います。逆に我が世の春を謳歌していたのは関口氏経。直虎に徳政令を承諾させた場面は嘗ての但馬と同じく、ほぼイキかけていました。その氏経から虎松の首級を差し出せと命じられた但馬の青汁の原液を一気飲みしたかの如き満面の笑みも凄かったですね。今回、ちょっとした顔芸大会。
尤も、但馬本人は知らぬこととはいえ、虎松の首級を差し出せと要求されたことよりも、井伊家の殆ど全てが、但馬が実は佞臣のフリで井伊家を護っていることに気づかれていたことのほうが本人的にはショックな事案ではないかと思います。
井伊直虎「但馬は……実は全て知っておる」
奥山六左衛門「知ってた」
高瀬「知ってた」
祐椿尼「知ってた」
中野直之「知ってた」
井伊直虎「」
祐椿尼は兎も角、他の面々は絶対に知らなかったと思いますが、万一、本当に感づかれていたとしたら、直虎と二人で傷を舐めあう道化芝居を演じていた但馬の立場がありません。自分以下と見下していた相手に全てを見透かされていたと知ったら、ガチで死にたくなることでしょう。今回で但馬がいい人であったことが井伊家の共通認識となり、次回予告の『これより小野は井伊家を再興する!』という光落ちのシーンを見るに、本作では但馬が処刑される理由がなくなってしまったように思われますが、上記の真相を知った但馬が自ら死を願う展開になるのかも知れません。
2.ファンタジスタの憂鬱
今川氏真「井伊を断絶せよ、断絶せよ」
直虎さんとは逆に大事なことを二回いうファンタジスタさん。結果論として、氏真の判断は完全に正しかったとはいえ、この場は穏健な処分を願う関口さんの論理に分があります。この辺は一度書かれたことは焼こうか破こうが取り消せないデスノートの基本ルールに忠実な描写といえる……のかな? 死の帳面に命運を握られているのは直虎のみならず、氏真も同様なのかも知れません。
そんな今川の次なる一手を読んだヒロインに身を隠すように勧められた虎松ですが、
虎松「嫌だ! 俺は逃げることはできねえ! 祖父上と父上は今川の所為で死んだ! 卑怯な手も使おう! 地獄に落ちることもしよう! だが、逃げるってことだけは……しねーぜッ!」
と徹底抗戦を宣言。そんな虎松を諭したのは、
井伊直虎「虎松は逃げながら今川と戦う。俺は城を取り返しながら今川と戦う。つまり……挟み撃ちのかたちになるな」
というヒロインの計画と、ガチモンの矢を放って、戦場の恐ろしさをVR体験させた傑山さんでした。ここ暫く、龍雲丸の出番で割を食っていた感のある傑山さんですが、やはり、この人が出てくると無駄に画面が締まるので嬉しい。しかし、文の昊天&武の傑山という上位互換が存在する分、今度は六左衛門と中野ジュニアが割を食っている感もあります。ぶっちゃけ、今回描かれたように六左衛門などは、
中野直之「イザとなれば、そのデカい図体で楯となればいいのじゃ」
という肉の盾としてしか存在意義がないからなぁ。まぁ、今回の逃避行を経て、作中で揶揄されていたようにガチモンの武蔵坊弁慶のようにビルドアップして戻ってくるかも知れませんが、それはそれで傑山さんとキャラが被るな。しかし、中野ジュニアの顔から失禁て……これは何気に大河史上に残る名台詞の予感。
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