早いもので二〇一六年も本日が折り返し地点。そろそろ、今年のベスト10と大河ドラマの総評という年末記事に向けた準備を整え始める時期ですが、共に苦しい戦いを強いられる予感です。前者は候補者不足。今のところ、今年鑑賞した中で『これは!』と思えたのは『真田丸』と『星逢一夜』を除くと、先日ブルーレイが届いた昨年の劇場版『ガルパン』なのよね……連載系ではない単品作品が二年続けてのランクインという史上初の椿事になるかも。後者は逆に候補者過多。『真田丸』はストーリーのためにキャラクターがあるのではなく、キャラクターのためにストーリーがあるような作品なので、上位10名を絞り込むのに苦労しそうです。それでも、余程のことがないかぎり、第一位は現在の候補者で内々定しております。ちなみにスズムシではありません、念のため。
尚、今週の『真田丸』感想記事へのコメント返信は仕事の都合で若干遅れる予定です。予め御了承下さいませ。今回の話題は2つ。
1.徒然『真田丸』日記
先日の記事で触れましたように上田にいって参りました。旅の道連れはふるゆきさんと穂積さん。上田行きのお話を頂いた時は本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
折角の『真田丸』関連の旅なので、往路の新幹線の御供に真田関係の書籍を持っていこうと思ったのですが……改めて自分の本棚を眺めると真田家を単品で扱った作品が一冊もないことに気づき、些かボーゼン。取り敢えず、現在の『大坂編』を踏まえて、
豊臣家の人々 (角川文庫)/角川書店
¥821
Amazon.co.jp
を忍ばせたまではよかったのですが……久しぶりなので忘れていた。これは序盤から『殺生関白』『金吾中納言』と鬱展開の短編の連続でした。続く『宇喜多秀家』を読み終えた頃に長野駅を通過したものの、この時点で結構テンション下降気味。しかし、ふるゆきさんがツイッターにUPされた、上田に向けて進軍する私とふるゆきさんのイラストを見て、驚くと同時に一気にテンション爆超。ふるゆきさん、ありがとうございました。あれで元気が出ましたよ。
上田駅で穂積さん、次いでふるゆきさんと合流。穂積さんは小田原攻めの治部の陣羽織のカラーを意識した装いとのことでした。すまん、ワシ、普段着で来ちゃったよ……。ちなみにふるゆきさんと穂積さんは初対面でしたが、いざ、会話が始まると『真田丸』関連の話題で一気に意気投合しておられました。『真田丸』の台詞で英国のEU離脱騒動を斬るネットネタとか、ときめきサナダマルとか……何故、私一人が知らなかったのか。
目的地の上田城に到着。まずは城内を一周……というか、真田神社にいくつもりが、私が道に迷った所為で強制的に一周することになったというか……まぁ、徳川軍も迷子になった縄張りだからね、仕方ないね。全部スズムシの所為。そんなワケで真田神社にお参りする前に城内の博物館へ。真田関連の展示品が数多くありましたが、最も目を引いたのは武田勝頼が真田幸隆に宛てて送った見舞いの手紙。勝頼の『病気になったと聞いて、とても心配していましたが、峠を越したとの知らせを受けてホッとしました。一日も早く、元気になって下さい(大意)』との親身な文面に、今年の大河ドラマで御屋形様を演じた平岳大さんの清冽な姿を想像してしまいました。尚、手紙の下には、
※手紙の数日前に幸隆は病死していた模様
との注釈アリ。流石はスズムシの親父やでぇ……。
次に当初の予定通り(?)に真田神社にお参り。参拝しつつ、ここは何の御利益があるのかと三人で話題になりました。徳川の大軍を相手に二度も城を陥落させなかったことから、落ちない≒受験の守り神というのがオーソドックスな回答ですが、今年の大河ドラマを見ていると『ギャンブルの神に思えなくもない』『いやいや、あれは見習っちゃあいけないタイプの賭博師でしょう』みたいなことを話しつつ、上田城櫓へ。ここでは櫓からの眺望よりも展示されていた火縄銃に私とふるゆきさんが大興奮。
与力「このグリップの意匠、超イカスー!」
ふるゆきさん「火鋏も同じデザインです! これは龍をあしらっているのでしょうか?」
穂積さん「……………お、おう」
やっぱり、鉄砲は男の子の武器。ハッキリわかんだね。他にも、ふるゆきさんには当世具足が鋳造されたのは江戸初期までで、それ以降は由緒正しい家柄であると捏造アピールするために古式ゆかしき大鎧が持て囃されたといったトリビアも教わりました。
そして、その日のメインイベントである『真田丸』大河ドラマ館へ。ここでは穂積さんが展示された衣装に注目。『堺さんの衣装はスラリとしている割に肩幅ありますね』とか『薫さんの衣装は他と比べて、各段に上。映像での見栄えが違うと思っていましたが、現物を見て確信しました』とか、舞台観劇に慣れている方ならではの視点に驚きました。しかし、名場面ダイジェストが流れているエリアのショーケースに展示中の次回脚本を見て、
穂積さん「これ、何とか持って帰りたいです」メガマジ
と仰った時の目が怖かった。あれ、若干本気入っていましたよね?
なんだかんだで三時間以上、上田城内を満喫したあとは、駅近くの喫茶店で『真田丸』トーク。話題のメインはきりちゃんでしたか。絶対に女に不足しない立場の秀次が何故、きりちゃんに御執心なのかという話から、
穂積さん「秀次は今でこそ、近江中納言ですけれども、出自はアレじゃあないですか。その頃の嗜好が今、出ているんじゃないかと」
与力「つまり、きりちゃんは手の届かないテレビの中のアイドルではなく、学校は違うけれども、地元の男子高校生が見学ツアーを組むくらいには美人と評判の他校のマドンナのような存在というワケですか」
ふるゆきさん「ナルホド、あの頃の自分の手が届かなかった女性に惹かれていると」
などという本編の筋書きとは微塵も関係ないネタで思いっきり盛りあがったりしました。
ふるゆきさんは電車の都合で一足先に御帰宅。そのあとは穂積さんと駅前の居酒屋で更なる真田丸トークを展開しました。あまりにもアレな話過ぎて、とても詳細は掲載できませんが、取り敢えずの結論は刑部のドス黒さは只事じゃあないということ。先回と今回の間に治部とナニがあったのか、妄想の余地があり過ぎるのよね……。
居酒屋を出てからは上田駅で新幹線を待ちながらの駄弁りトーク。『年末にでも丸会やりましょうか』とか『○○さんとお引き合わせしないうちは死ねない』とか話しましたが、一番印象に残っているのは私が五分前に買った筈の乗車券をなくしたこと。ひっさびさの飲酒とトークで完全に舞いあがっていたのでしょうけれども、慌てて切符を買い直す私を見る穂積さんの『マジですか?』という引き気味の視線が若干快感でした。ちなみに帰宅してから鞄を全部ひっくり返して探したのに今でも見つかりません。どういうことなの……?
ともあれ、ふるゆきさんと穂積さんのおかげで楽しい旅行になりました。本当にありがとうございました。
2.271:262 ≒ 51:49
さて、ガラリと話題を変えましょう。
上記の最初の数字を見て、ピンと来た方は学生時代に世界史を専攻されていたのではないでしょうか。そうです、英国の清国に対する出兵の予算案の可否を問うた際の票決、いわゆる阿片戦争の発端となった数字です。阿片戦争については日本史でも若干触れますけれども、要するに清国から茶を買う金銭がなくなった英国が、貿易赤字を解消するために阿片を輸出しようというド畜生極まる動機で始められた戦争で、反対派の領袖であるウィリアム・グラッドストーンが『英国の永遠の恥晒し』と述べたように、これ以上の無名の師は人類が滅亡するまで現れないんじゃあないかと思います(第四次十字軍によるコンスタンティノープル攻撃も大概です)が、この票決はなかなかに拮抗しているのですよね。過半数ギリギリといいますか。個々人の気質や善悪は別として、集団としての英国が持つ本質的なバランス感覚が上記の票数に現れているようで、この辺は中流意識や中庸さが尊ばれるくせに、イザという時は右から左、左から右へと大波をうつように偏る本邦との違いでしょう。
今回のEU離脱の可否を問う国民投票のパーセンテージは51:49という数字になりましたが、その比率は271:262と殆ど変わりません(271+262=533。271÷533=0.508。262÷533=0.49)。これはなかなかに興味深い数字だと思います。切所に差し掛かった際の英国の奇妙なバランス感覚は阿片戦争の頃から変わらずに存在しているのかも知れません。私自身は今回の判断の是非を口にするつもりはありませんが、こういう視点で眺めてみると阿片戦争並みに英国の本質がムキ出しになるレベルの重大事であったのではないかとは改めて思えますね。この辺り、deluxeさんのブログの、
『英国のEU離脱とピューリタン革命』
で記されている事象と何らかの形でリンクしているのかも、と我田引水してみます。
ついでに述べさせて頂くと、今回の国民投票で一つの争点となった移民問題ですが、これも元を辿ると帝国主義華やかなりし頃の英国の不始末が原因の一つ。こちらは些か複雑なので『英国 三枚舌外交』でググッて頂くに如くはありませんが国家レベルの因果というものは、三十年五十年は無視し得ても、百年二百年スパンで考えると確実に巡ってくるのが判ります。参政権のない国や地域の決断に徒に理非を鳴らすよりも、今、自分たちの国が何をやっているかを考えたほうがいいかも知れません。でも、当座の凌ぎに円を買うのはやめてクレメンス……。
ちなみに私が最近の英国関連で最も興味を抱いたニュースはこっちのほう。何だこれは……たまげたなぁ……。でも、不当に扱われるマイノリティーへの支援もノーブレス・オブリージュの一つだと思うと至極納得です。まぁ、カーソンさんが聞いたら、厳格極まる彼でもロバートの寝室の壁に大穴ブチ開けそうな話だとは思いますが。
【Amazon.co.jp限定】真田丸 完全版 第壱集(「真田丸」扇子付) [Blu-ray]/ポニーキャニオン
¥13,932
Amazon.co.jp
阿片戦争(上) 滄海編 (講談社文庫)/講談社
¥926
Amazon.co.jp
ダウントン・アビー [DVD]/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
¥5,184
Amazon.co.jp
↧
徒然日記 ~2016/06/30~
↧