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『真田丸』第21回『戦端』感想(ネタバレ有)

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先週か先々週か、地上波で放送された『海街diary』を鑑賞しました。まぁ、CMを挟みながら見るのに丁度いいストーリーで取り立てて感想はないのですが、映像的には色々と印象に残る作品でした。特に、

きりちゃんがぐうエ□

なのよ。物語冒頭のアレとか、ペティキュアを塗るシーンとか、長くてスラッとした手足が陽気なエロスを醸し出していて、とてもきりちゃんと同一人物とは思えない。よくもまぁ、こんなに色気のある女優さんに、きりちゃんのような鬱陶しいキャラクターを演じさせようと思ったものですよ。極上のとちおとめを大福に包むが如き暴挙……あれ、意外と適っている? そもそも、他に代表作は幾らでもあるのに長澤さん=きりちゃんという発想が既におかしいワケで、それくらいに私はきりちゃんにハマっているのかも知れません。いい加減、信繁もきりちゃんの魅力に気づけよといいたいところですが、公式では既に信繁の三人目の妻のキャスティングが発表された模様。きりちゃんの明日はどっちだ?
尤も、明日が見えないのは登場人物全員も同様。小田原攻めへの戦端の先端となる筈の今回の〆が真田、徳川、北条の代表に拠るディベートというのは視聴者的にも想定外であったと思います。結果は判っているのに先が読めないドラマ。それが『真田丸』。そんな今回のポイントは5つ。


1.黒りきう

千利休「北条を潰しなはれ」

黒を至上の美とするにも拘わらず、愛弟子のお気に入りであるオリーブ色を身に纏っている宗匠ですが、その分、腹の中は真っ黒でした。同じく愛弟子の山上宗二が北条に身を寄せていることは承知の筈なのに、そんな事情は歯牙にもかけない模様。目の前に宗二に生首が転がっても、本作の宗匠は眉一つ動かさない可能性さえあります。全く、安土桃山時代は世紀末だぜ。
それにしても、戦を止める側として描かれる契機の多い宗匠ですが、本作ではガッツリと北条攻めを煽ってきたのは意外です。宗匠は堺という軍産複合体の代表者なので、無理のある描写ではありませんが、治部や刑部が戦を避けたがるのも意外な展開。まぁ、現場を取り仕切る実務家が、無責任で景気のいい話を吹き込まれた上司のムチャぶりに右往左往するのも侭あること。しかし、宗匠が戦を煽る動機、治部&刑部が北条攻めを躊躇う動機は些か曖昧かな。或いは今回の宗匠は泰平の世を築くために戦をけしかける人物という点で、あの『軍師官兵衛』への強烈なアンチテーゼとして描かれたのかも知れません。泰平の世のための戦といっても、戦である以上、人は死ぬのですが、あの作品はその矛盾が完全にスルーされていましたからねぇ。


2.似合いの夫婦?

本多正信「近江中納言様」
徳川家康「………………誰?」


一瞬、私も『誰だ?』と思いかけてしまいました。家康、貴方は何も悪くない。秀次は血縁上、豊臣政権のナンバー3なのですが、基本的に競争相手が乏しい状態なので、ランキングの価値そのものが疑問視されている模様。現時点では秀長も健在だからね、仕方ないね。
それにしても、本作の秀次ときりちゃんの息のあった夫婦っぷり。信繁の『秀次の側室になれ』という言葉が単なる厄介払いではなく思えます……と視聴中は考えていたのですが、よくよく見直してみると、きりちゃんは秀次の話を聞いている時は至極退屈そうなのですよね。それでも、表面上はキチンと話をあわせられるのですから、きりちゃんは基本的に賢いと思います。しかし、そんなきりちゃんでも恋は盲目。

きり「いい加減、私を振り回すのはやめて下さい! たまに私に気があるような素振りをしたかと思えば、いきなり突き放したり……まるで子供ね! 何故、もっと素直になれない?」

おぉう、これはウザい。

ちなみに気がある素振りを信繁が見せたのは一度しかありませんが、恋する人間にはその一回が全てなんだよなぁ。その場凌ぎの嘘をまるで覚えていない点で信繁は間違いなく、スズムシの息子。はっきりわかんだね。


3.父はスズムシ、舅はカブトムシ

真田信幸「稲のことだ。まるで俺に心を開こうとせん」
高梨内記「そういう時は鼻っ面を抓んで、ギューッと捻ってやればよいのです!」
真田信幸「そんなことしてみろ! すぐに本多忠勝が俺を殺しにやってくる!」


世に災難の種類は数あれども嫁の鼻っ面がデストラップというシチュエーションは滅多にないと思います。コピーロボットも吃驚のキルギミック。しかも、平八郎が三日と空けずに上田に足を運んでいるので、信幸には逃げ出す暇もありません。スズムシと共に京へアバンチュールしたくなるのも当然ですね。高梨内記は腕ずくで躾ければいいとか偉そうなことをほざいていましたが、彼の娘がああいう性格に育っている以上、説得力ゼロ。或いは力ずくの躾は逆効果との作劇意図のかも知れません。
さて、お兄ちゃん曰く、日ノ本一厄介な舅の本多平八郎。お兄ちゃんの『御無礼仕る』という社交辞令にもいちいちツッコミを入れるとか、実に面倒臭い。よろず、チャランポランな実父をスズムシとすると、強く、カタブツで、しかも、中の人が撮影時に一人だけ本物の甲冑を着込んでいるという逸話も含めて、こちらはカブトムシと呼ぶべきでしょうか。そんなカブトムシの娘に塩味が濃いと文句をいわれるお兄ちゃんの件は『どうでしょう』のユーコン河のトラブルそのもの。

「しかしだ、源三郎。私はまだ、喉がヒリヒリするぞ。幾分腫れぼったいよ。おめぇの塩辛い料理のせいで」
真田信幸「柑子のような甘いものしか食えないアリみたいな君が食べられないだけ。君にあわせればいいのかっていうと、そうはいかない。こっちはアリさんと生活しているワケじゃないんだから。文句があるなら樹液でも吸ってこいよ! カブトムシみたいな舌しやがって!」
「そうかそうかそうか……じゃじゃじゃじゃあ、何で私はこんなに喉がヒリヒリしなきゃならないんだ?」
真田信幸「おまえがカブトムシの娘だからだ! 樹液しか吸ってねえからだろ!」
「何だと、このスズムシの息子! スズムシぐらいの脳ミソしかねぇから、あんな料理しか作れねぇんだよ!」
真田信幸「知らねぇよ、そんなの! もう一回木にもぐって寝ろ! 春にもう一回出て来い!」


うん、概ね一致ですね。唯一、異なるのはお兄ちゃんは文句を言い返せないところでしょうか。それと何気におこうさんの快癒説が公式に触れられていたのが嬉しい。このブログでは結構前半から指摘していたことなので。


4.『臨場』感

徳川家康「『長いものには巻かれよ』とは決して卑怯者の方便ではござらん。生き延びるための知恵と心得えられませ(キリッ

きりちゃんの『何故もっと素直になれない?』と並ぶ、今回の家康の名台詞。のちの天下人が発していると思うと説得力も倍増ですね。まぁ、家康の心の中では※ただし真田を除くという注釈がついていそうですが、それは小さなことです。ついでに家臣を使わせたと見せかけて、本人が談判に現れるという交渉術は秀吉のパクリですが、氏政は遂に秀吉と会うことはなかったので、結果オーライです。
さて、この場面、家康は氏政に上洛を促す動機は様々考えられます。作中で触れられていたように徳川と北条は姻戚関係なので、北条が上洛しないと家康も巻き添えを喰らいかねませんし、北条が滅ぶのは有難い話とはいえ、家康の関東戦略をイチから練り直さなければいけなくなるのも事実。更にいうと、将来的に秀吉と敵対する時の後ろ盾として、北条に居て貰ったほうが有利という考え方もできます。この辺、国力の大小の差こそあれ、合従連衡を常とする真田と変わらないですね。しかし、家康の根底にあったのは、

徳川家康「何の得にもならんが、たまには得にならんこともしてみたくなるもの……いかんか?」

という惻隠の情でした。ああ、これが本作の家康の魅力なのか。少なくとも、スズムシはこんなことは考えないからなぁ。この辺はスズムシとタヌキの器の違いというか、国力の差というか。贅沢をいえば、徳川と北条それぞれの戦略を掘り下げて欲しかったけれども、そこは内野さんと高嶋さんの『臨場コンビ』の緊迫感で完全にカバーできていたと思います。よって今回のMVPは徳川家康と北条氏政で決まり。


5.火種は真田

真田昌幸「京の屋敷じゃ。隠し扉を方々に造らせた」
真田信繁「ちなみに図面にあった隠し扉はなくてもよいのでやめました」


隠し扉の浪漫が判らんとはそれでも男か!

全く、信繁は妙に都会に染まっちまいましたね。スズムシの激おこも当然ですが、意外なのは出浦さんがノーリアクションであったこと。室賀さんの件では隠し扉というか、どんでん返しから暗殺劇の幕を切って落とした出浦さんなのに、これでは活躍のギミックを封じられたようなもの。或いはギミックに頼らない忍法を佐助と共に編み出しているのかもですが。
さて、沼田の領有権を巡って、真田と北条と徳川が一触即発の事態。こんな時に『それぞれの代表から話を聞いて、殿下に裁定して貰えばいいじゃん!』と言い出した刑部はマトモというか真っ直ぐというか、そのまんまというか……先回の落書の件といい、この人、意外と使えない? 沼田の領有権を解決したら上洛するというのが氏政の言い分ですから、その前後を取り違えているようです。まぁ、一度上洛させてしまえば、あとはどうにでもなると考えているのかもですが、そうなると見た目と裏腹に随分と黒い人ですね。
そんなワケで当事者ではなく、信繁、正信、江雪斎の三人による代理会議が開催されることになりました……が、

真田昌幸「自分が出るのが嫌でいっているのではないぞ!」

視聴者全員が『嘘つけ』と突っ込んだに違いない、会議の開かれる傍の部屋に潜んだスズムシの発言。次回予告で治部がスズムシの潜んでいる部屋を訪れるようなシーンがありましたが、ここまでくるとスズムシを部屋に閉じ込めて外から火を放てば関東の領土問題は解決するような気がします。主人公サイドが泰平の世を築くのではなく、逆に戦の火種になるというストーリーで充分に楽しめる……というか、笑えるのが本作の魅力なのでしょうね。


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