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『相棒14』第6回『はつ恋』感想(ネタバレ有)

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杉下右京「中には数千万するものもあるそうですよ」
冠城亘「数千万? こんなガラクタが?」
角田六郎「やっぱり判らん! どうしてコレが数千万もするんだ?」


芸術を金銭でしか測れないって哀しいね。

いや、私も芸術の何たるかを語れるような御立派な人間ではありませんが、絵具に藍玉が使われていることがフェルメールの絵画が高い理由じゃないですからね。ジャンクアートにかぎらず、芸術とは原価があってないようなもの。値段を聞いた途端、手近の作品をポッポナイナイしようとした冠城君には一生理解できない概念でしょう。芸術への造形が深いカイトパパの意見も聞いてみたいですが、あの人も『俺の出したお茶が飲めないのか』とかいう俗っぽい面があるので、新興芸術への理解はなさそうです。

今回はギリギリ及第点かなぁ。オチへの叩き込みが捻くれ過ぎとはいえ、やらなさ過ぎよりもやり過ぎのほうが『相棒』らしいのは以前の感想で書いた通り。ムダに捻ってナンボの作品ですので。敢えて苦言を呈すると『初恋』『ジャンクアート』『殺人事件』という3つの主題の結びつきが弱いというか……ジャンクアートを掘り下げたうえで殺人事件を描くのではなく、まず、殺人事件があって、それに当て嵌まる題材として、ジャンクアートが選ばれたという感じでした。そう考えると冒頭で触れた冠城君と角田課長のように、値段でしかジャンクアートを語らないキャラしか出てこないのも納得。『相棒』名物の職業ものにならなかったのは残念です。初恋も同様。そんなに作中で重要な主題とも思えませんでした。寧ろ、

冠城亘「興味があるといえば……う、右京さんにです///」
杉下右京「」


という衝撃のカミングアウトのほうが印象に残りました。同志が増えたよ! やったね、春樹ちゃん!
ちなみに事件そのものは開始6分で犯人判っちゃいましたので、特に語ることなし。

白石由紀「心当たりありませんね。流石に将人が何を壊したかまでは……」

の台詞でピンときました。何で壊したのが被害者だと知っているのかという話に進んでいく……と思っていたのに、意外にも杉下、これを華麗にスルー。何でや! 白石女史が現場にいた決定的な秘密の暴露やろ! 脚立よりもよっぽど状況証拠に相応しいやんけ!
あとは被害者の作品として『蜘蛛の糸』をモチーフにしたものがあったのは、何かの暗喩なのでしょうか? 幸せになりたくてもなれない星野玲奈=カンダタ、彼女の幸せを邪魔している自分=数多の亡者、御釈迦様=坂上武雄という構図なのかと思いましたが、それだと寓話としての『蜘蛛の糸』との整合性が取れないんだよなぁ。いい解釈をお持ちの方がおられましたら、解説をお願いします。

次回は久々&待望の月本幸子回! 陣川君回と同じように、毎季に一度はやって欲しいネタなので、楽しみです。正直な話、今季は何というか……次も見たいと思わせる予告が初めてでしたので……ねぇ。

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