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劇場版『ガールズ&パンツァー』感想(ネタバレ有)

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西絹代「と・つ・げ・き?」

ぷっつん。

西住みほ「この【自主規制です】が! 私を舐めてんのか! 何回教えりゃあ理解できんだコラァ! 何度も『撤退』だっつってんのに、何で『突撃』に変換されるんだ、この……【自主規制です】がァーー!」

などというシーンは勿論、本編には存在しませんでしたが、今回の西住殿は何時キレてもおかしくありませんでした。知波単学園の生徒には、何を命令しても『突撃』としか伝わらないんですもの。多分、西住殿の心境は、

短編はホラー系多し

こうであったと思います。アカラサマに旧帝国陸軍をモデルにした学園なのに、日本語が通じないとはこれ如何に。プラウダ高校のクラーラのほうがマトモな日本語会話が成立していたほどでした。多分にカリカチュアライズされているとはいえ、大事なことをすぐに忘れるアンツィオと、一つのことしか覚えられない知波単が組んだ所為で、あの戦いはああいう結末を迎えたのだという錯覚に陥ってしまいましたよ。すまんな、黒森峰。
それは兎も角、今回の劇場版は上記の知波単学園の言動を筆頭にギャグがキレッキレでした。イッツ・ア・ボコワールドといい、継続高校のスナフキンネタといい、カチューシャの二百三高地発言といい、異様な速度で(主に筋肉面で)成長していくアリクイさんチームといい、ここはギャグだなと理解できたシーンは一切スベることなく、漏れなく笑ってしまいました。他にも気づいていない所もあると思うので、DVDが出たら必ず買って、何度も見返そうと思います。ちなみにボコを演じたのは藤村歩さん。ミネバ様、何してはるんですか。
一方、バトルは『機甲戦』ではなく、文字通りのジェットコースターバトルを地でいく内容で、良くも悪くもやり過ぎ感に溢れていたので、TV版の延長として見ると違和感あるかな。如何に軽戦車とはいえ、横転したCV33を女の子二人で戻すというOVAのノリに近い。特に継続高校の活躍でブッ潰した戦車(?)の砲撃。戦車は特殊カーボンで守られているので大丈夫といっても、アレをマトモに喰らったら、ミンチより酷いことになっちゃうだろ。まぁ、今回はTV版ではなく、劇場の大画面で楽しむのを第一義に製作された作品でしょうから、何よりもド迫力の映像を優先したのはアリだと思います。ストーリー面でも井之頭五郎の言葉ではありませんが、

「やっぱり、劇場で見るお祭り映画に文句言っちゃいけないぜ」

という気持ちで楽しむのが一番でしょう。実際、クライマックスの西住姉妹による『沈黙の艦隊』のベイツ・サーカスを彷彿とさせるコンビネーションアタックは、やり過ぎと判っていても圧巻の一言でした。お祭り映画という点で思いつきましたが、本作の雰囲気は『プリキュアオールスターズ』に似ていますね。ストーリーではなく、お祭りと女のコとバトルを楽しむ作品でした。そういや、登場人物の中に何人プリキュアがいたことか。今回初登場の継続高校にはキュアエコーがいたな。
そんなワケで本作はストーリーに関する感想は皆無なので、私が作品を見て一番ひっかかった点を中心に、内容についてボチボチ触れていこうかと。テーマはこれ。

西住みほ、まさかの大苦戦。

TV本編では幾度もの大逆転劇を演出したのみならず、OVAアンツィオ戦で描かれたように、物量と性能で大きな差がない相手は封殺できる軍神西住殿ですが、今回の劇場版では個々の性能は兎も角、兵力では互角であったにも拘わらず、意外にも采配に精彩を欠いていた印象が残りました。相手が大学選抜&指揮官が飛び級の天才児というのもあるでしょうが、西住殿特有の機智・奇略・鬼謀は影を潜めていましたね。以下は私なりのこじつけ解釈。

1.指揮官としての特性

基本的に西住みほという指揮官は大軍の正規戦よりも、分隊や別動隊を率いてのトリッキーな作戦に長けている印象です。今回の決戦では作中で最大規模になる三十両の戦車の総指揮官を務めた西住殿ですが寡を以て集を制することを得意とする彼女の戦術プランには、大軍の指揮は合致しなかったのでしょう。加えて、今回のルールは打撃力重視の殲滅戦でした。これは大将を叩けばいいフラッグ戦と異なり、柔軟で奇抜なアイデアの出る余地は少なかったのかも知れません。その点、姉のまほは西住流の王道ともいうべき、堂々たる正面決戦に向いた指揮官でしたので、他校の応援部隊は全て姉に一任して、西住殿は大洗軍のみを率いて、遊撃軍、乃至は中入りとして動いたほうが彼女の特性が活かせたのではないでしょうか。まぁ、それはそれで兵力の分散&命令系統の分断というリスクが伴うのですが。

2.命令系統の不統一

聖グロリアーナ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰、知波単、継続といった大洗の強敵(とも)が援軍に駆けつけてきた場面は、いい年齢こいたおっさんが泣けちゃうくらいに感動しました。完全に男塾の世界。しかし、戦車道は天挑五輪大武會のような『団体の個人戦』ではなく、集団による機甲戦(天挑五輪も開幕当初はバトルロイヤルと銘打っていましたが、そんなことは全くなかったのはいうまでもありません)。当然、指揮系統の乱れは生命取りですが、以前から綿密な打ち合わせをしていたでもなく、今日来て今日仲間になった連中同士が明確な指揮系統を有することは非常に困難です。全く、異国の地で異国の兵を率いて異国の敵と戦って勝った王玄策の偉大さと、その王玄策が中堅の外交官僚で終わった唐という国の人材の厚さには舌を巻くばかりですが、それはさて置き、彼女たちの連携が必ずしも万全ではなかったのは、戦闘直前に行われた作戦会議の描写で明らかでしょう。この辺も、リアル人間関係では押しが弱い西住殿ではなく、姉のまほが主導権を握れば、もう少しマトモな命令系統が構築された可能性はあります。
まぁ、大きく分けて、上記の2点が理由と考えられますが、もう少し、趣味と独断と偏見に基く意見を述べさせて頂くと、

3.桃ちゃんが前半の親善試合で初撃破を成し遂げた所為で大洗が運を使い果たした

という説がイチオシ。だって、再廃校の話が蒸し返されたのって、あの直後じゃん。
あ! ちなみに来場記念のミニ色紙は『西住姉妹』でした! 御覧になった皆さまも、どの色紙が出たか教えて頂けると嬉しいです。そして、アフィリエイトはこれ。本編を御覧になった方にはお判り頂けるネタだと思います。

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