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荒川弘版『アルスラーン戦記』第18章『水辺の再会』感想(ネタバレ有)

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ナルサス「あやつ、俺のことを『へぼ画家』とぬかしおった! 芸術も文化も理解せぬ奴がでかい面で横行する! 末世と言うべきだな!」
ダリューン「」


このナルサス、激おこぷんぷん丸である。

ダリューンにハメられた時よりも、ボダンによる焚書を目撃した時よりも、遥かに憤怒の感情を露わにした画聖マニの再来(自称)。ナルサスにとってはパルスの危機よりも、自分の芸術に理解がない人間の存在のほうが許しがたいようです。それでいいのか。原作ではブチブチと愚痴を零すようなテンションでの台詞でしたが、漫画版ではキャラクターの表情を判りやすく描ける分、感情も振り幅多目にとったほうが面白いのも確かなので、これはこれで正解かも。実際、笑えましたしね。特に感謝の言葉をかけたのに『そんなことはどうでもいい!』とガン無視されたダリューンの表情が最高。パルス存亡の危機でなければ、その場でぶった斬ってもおかしくない状態でした。勿論、画聖マニというのは本作の創作ですが、世にマニ教の開祖として名高い預言者マニも画才に恵まれており、布教の際には常に自ら描いた絵画を携えていたといいますから、モデルの一人と考えてよいでしょう。何れにせよ、ナルサスと比較されるのはマニには心外かと思われます。ナルサスのへぼ画家っぷりは土方歳三の俳句とか、司馬懿の漢詩のようなものですかね。両名とも煮ても焼いても食えない人物で、何か欠点がないと誰も救われないという辺り、非常によく似ています。今回のポイントは3つ。

1.武力100

先回、ヴァフリーズ翁の死を知った憤怒で相手を圧倒したダリューンですが、今回は素顔を覗かれた怒りに燃える銀仮面卿の攻撃がダリューンを追い込みました。顔の片方を庇いながらの戦いであった分、銀仮面卿のほうが若干、ダリューンよりも上手か。しかし、原作の中盤、戦場でのガチンコの一騎討ちでは薄皮一枚ほどの僅差でダリューンが有利に描かれていましたので、両者の力量はその日の体調次第で変わるくらいに肉薄しているのでしょう。個人的にはアンドラゴラス王が武力100、ダリューンが99、銀仮面卿とキシュワードが98、ナルサスが89だと思っています。アルスラーンは基本値の71にルクナバードのボーナスが30ポイントくらい上乗せされている感じ。

2.ツンデレ

厳しい口調ながらも、クドクドコマゴマとアルスラーンの世話を焼くエラム。以前は冷淡かつ慇懃無礼な態度でしたので、少しは両者の距離は縮まったと見てよいでしょう。尤も、自分はナルサスとダリューンの名代であり、両名が不在の間に何かあったら、二人にあわせる顔がないという論法から察するに、まだまだ、アルスラーンとエラムの間には直接の繋がりは芽生えてない模様。あくまでも、自分の主人(ナルサス)の主人(アルスラーン)に仕えるという段階。デレるにはもう少し、イベントをこなさなければいけない模様。うーん、でも、アニメではエラムがデレるまで描けるのかなぁ。

3.再会

まさかの場面で再会したアルスラーンとエトワール。これは読めない。全く読めない。荒川センセ、如何なる思いで両者を巡りあわせたのか。如何に原作者の遅筆が有名とはいえ、現時点では原作に追いつく危惧はなく、単なる時間稼ぎなワケがない。或いは年末から年始を跨ぐヒキなのかも。次号はアニメ化の詳細情報解禁ということですが、それよりも楽しみ。取り敢えず、エトワールがエトワールなのか、それとも、エステルなのかが判ると嬉しいですね。ここで何らかの形でエトワールが退場して、エステルが出てくるというのに一票ですが、荒川センセのファンの方からは『このキャラは明らかに女性』という御指摘もあるので、本当に読めない。

昨年末の予想では、もう少し先に進んでいるんじゃないかと予想していた本作ですが、現時点では第1巻の後半で足踏み状態。でも、これは荒川センセの家庭の事情もありましたので、仕方ないと思います。来年の今頃はどうなっているでしょうか。せめて、ラジェンドラが出てくれていると嬉しいのですが。

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