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『独眼竜政宗』第30回『伊達者』感想(ネタバレ有)

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本日は所要で家を出ています。明日の『軍使官兵衛』の放送までには帰れると思いますが、本作の視聴は大幅に遅れそうなので、事前にレンタルショップで借りてきたDVDを見て、記事を書いておきました。本放送終了直後にUPするように計らっておきます。万一、BS局のトラブルで放送されない事態が発生してもUPされますが、決して内容を見ないで感想を書いたワケではありません。念のため。今回のポイントは5つ。

1.アバンタイトル

アバンタイトル終了と同時に本編OPテーマではなく、中島みゆきの『地上の星』が流れても違和感なかった。どこの『プロジェクトX』でしょうか。もうさ、アバンタイトルの段階で今年の大河を凌駕しているよね。何というドラマティックな逸話。これだけでドキュメント番組を一本製作できそうです。本編でも某掲示板関連でも、何かと空気を読まないヤンチャでDQNな厨二病患者と目されている政宗ですが、やはり、地元の人々からは愛され、慕われているのが伝わってきました。地元民としていわせて頂ければ、上杉謙信も松平忠輝も大概な奴らですからねぇ。そう考えると、本編で色々とワリを食ったモガミンの地元の方々がNHKに苦情を訴えたのも判る気がします。同意はできませんが。

2.国替え

叔父とはいえ、敵から寝返った奴を一族の首座に据えていいのかという苦情を申し立てる成実。国替えよる人事の刷新が生み出す家臣の間の軋轢。国替えというのは単に領地が変わるということではない。上下諸々に変化が生じるということ。それはそれで必然にして不回避の出来事であるにせよ、誰かがワリを食っている人々の代弁者にならねばいけない。

伊達成実「俺がいわねば誰がいうのだ!」

という台詞は当人の自負と同等の責任感から生じるものでしょう。勿論、これは成実出奔フラグでもあります。今までのように力で奪い、支配するという戦国の世から、新しい秩序が確立される時代の転換期、成実のような男の存在価値が問われる場面です。でも、成実の鬱憤も小原縫殿助の境遇に比べれば遥かにマシ。彼も伊達家の国替えに巻き込まれた一人ですが、小次郎の亡骸を背負って歩き、埋葬先が決まると共に追い腹とか……それも、七代先まで勘当が命じられている者のために死ぬる。何とも凄まじい。現代人には想像もつかない過酷さであり、そうであるからこそ、描く価値があります。

3.喜多

今回で退場となった政宗の乳母・喜多。最後まで主家に尽くしたキャラでした。喜多が政宗の勘気を蒙った理由は諸説あるようですが、まぁ、一番ポピュラーな巷説通りの内容。これ、別に伊達家の誰が悪いっていう話じゃないんですね。悪いのは秀吉で、次に悪いのは秀吉に逆らう力のない政宗。でも、悪い者を悪いというだけで何もしなければ、御家が危うくなるばかり。喜多の採った策はベストではないにせよ、ベターであった筈です。そのことは政宗も判っている。しかし、武家の体面を考えれば処罰しなければいけない。

世の中にはどうしようもないことがある。

誰を責めても解決できない問題に直面した時、如何に立ち振る舞うか。畢竟、人間の価値はそこに出るんじゃないかと思います。
ここでは喜多を斬ろうとする政宗を制止する愛姫が印象に残りました。思い返せば、田村から嫁いできたばかりの愛姫の侍女を成敗したのが喜多でしたね。この二人は端緒から強い信頼関係で結ばれていたワケではなかった。多分、ゴクミの頃の愛姫であれば、制止しなかったかも知れません。それが夫から喜多を守ろうとするまでの間柄になっていた。私の知人が『戦国の世の女性たちは所謂、女同士の戦いなんぞに現を抜かしている暇はなかったのではないか』と仰っていましたが、喜多と愛姫を見ると、その言葉も成程と思えてきます。そのくせ、本作ではその辺の絆をゴリ押ししないんですよ。結構、アッサリと去っていくんですね。実に小憎らしい。

4.伊達者

朝鮮出兵に際して、麾下の将兵をとびきりハデに飾り立てる政宗。冒頭で鈴木重信が嘆いていたように、国替えしたばかりの伊達家には大兵力を動員する余裕はない。しかし、他家と変わらない武威では武門の恥辱であり、同時に天下を狙うためにも(いい加減、諦めろよという突っ込みはヌキでお願いします)己の名声に傷をつけるワケにもいかない。

伊達政宗「『兵力を消耗しない』。『伊達の家名を高める』。両方やらなくっちゃあならないのが大名の辛いところだな」

そこで考え出したのが今回の策。武威は高まるうえに秀吉の好みにも合致する。氏郷をハメようとしたアレと違い、誰かが傷つくワケではない。ちゃんと成長しているんですよね。まぁ、大人気ないのは死ぬまで続くんですが。ちなみに己の兵を華麗に装飾することで主君の覚えを目出度くするというのは古典的な策ではあります。呂蒙とか。そうなると孫権がラスボスか。勝新の孫権……あれ、似あう?

5.ママンの影

序盤のお東の方からの贈り物が、まさか、ラストの大政所の死に繋がるとは思わなかった。これ、本当に巧い構成ですよね。マー君も生命狙われたので仕方ないっちゃあ仕方ないんですが、母親と意地を張りあっていられるのは母親が死ぬまでです。某撃墜王曰く、墓石と和解しても仕方ない。孝行したい時に親はなし。育ての親である喜多が去ったのも、そのイベントに向けてのフラグなのでしょう。ちなみに史実のお東の方は作中とは真逆に、この時期に政宗の元を去っています。何があったんだ……。
ここでも、いい仕事をしたのは愛姫。政宗にナイショでお東の方に小袖を贈り、和解の糸口を探していたとは。全く、過ぎた嫁です。本作を貫く永遠のテーマに思いやりから発する優しい嘘の尊さというものがありますが、今回の愛姫の一件もまさにそれ。喜多が去った分、今度は愛姫が優しい嘘で主人公の周囲を支える番なのでしょうね。今回のMVPは愛姫……といいたいところですが、一番いい仕事をしたのは、

勝新秀吉の白髪染めをやっていた人

です。あの勝新の顔に墨を塗っちゃうとか……私には演技と判っていてもできません。笑える場面にも拘わらず、血が凍りつきました。

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