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徒然日記 ~2018/05/01~

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結論から申しあげると今週も『西郷どん』の感想はありません。理由? うーん、説明すると長くなりそうなので、年末の総評記事に取っておきますが、一言でいうと本作は篤姫の下位互換に過ぎないと判ったのが大きいかなぁ。『篤姫』も大概な作品でしたが、あれと本作のどちらが幕末の歴史を理解できるかといわれると、まだしも『篤姫』のほうがマシに思えるのよね。斉彬退場も『篤姫』のほうが時間を費やしていました。それに引き換え、本作では先週ラストの斉彬の突然の死について、何らかのフォローが入るかと思っていたのに、吉之助サァの前にナベケンの幽霊がヌボーッと現れてオシマイというブン投げぶり。大西郷を語るに際して、島津斉彬という人物から何を受け継ぎ、何を受け継がなかったかは非常に重要なポイントになると思うのですが、それをガン無視してはイカンでしょ。せめて『翔ぶが如く』の下位互換レベルのクオリティであれば、見る気も起きるのですけれども、あの『篤姫』以下ではねぇ。

そんな訳で今週も徒然日記。世間では壮年の政治家二人がオテテ繋いで一線を越えるというニュースが話題になっていますが、あまりにもシュール過ぎて、この先どう転がるか想像もつかないので触れません。鑑賞した作品の感想です。話題は3つ。

 

 

1.劇場版名探偵コナン『ゼロの執行人』感想(ネタバレ注意!)

 

降谷零「僕の恋人は……この国だよ!」

 

片山雛子が聞いたら意味深な笑みと共に『アナタとは気が合いそうね』と握手を求めてきそうなバーボンさんの台詞。実際、今回の脚本は櫻井さんということで『相棒』のスピンオフ作品といわれても違和感なかった。作中の公安の協力者を巡る謀略劇や、キーパーソンの生死に関わるバーボンさんの力技なども『相棒』の世界観のほうが馴染んだと思います。

内容は『相棒』のスピンオフ作品としては及第点。『劇場版コナン』としては落第点かなぁ。完全にお子様置いてけぼりの内容でした。『相棒』を見慣れている私でさえ、中盤の公安に関する解説は成程判らんの連続で、事件の概要に至っては何が何やら……作中で公安の悪辣ぶりをこれでもかと描いておきながら、その公安所属のバーボンさんを悪役にする訳にもいかないから、無理矢理理屈をつけて『いい人』にした感じが半端なかったのもマイナス材料。どんなに結果オーライに見えても、父親にテロ実行犯の濡れ衣を着せられた蘭ねーちゃんの心の傷は簡単には癒えないと思うよ。加えて、最終段階で何も知らない少年探偵団をドローンの操縦に利用したのも納得いかない。あれ、迎撃に失敗して、そのことを本人たちが知ったら、自殺レベルのトラウマになると思うんですけれども……これも何も知らない人間を協力者に仕立てあげる公安の手口の縮図なのでしょうか。

一方でアクション映画としてはまずまず。冒頭で国際会議場が紹介された時は『ああ、ここがラストで爆破されるのか……』と思っていたら、開幕5分くらいで爆破されてビックリ&警視庁が標的にされたので、これ以上の大規模破壊はなさそうと思っていたら、もう一波乱用意されて驚き。毎年恒例の大規模施設破壊は、いい意味でタイミングをズラされた感じで面白かったです。キャスティング的にもカティ・マネキンがリボンズ・アルマークと共にコロニー落とし&ブレイクピラーを阻止するというガヲタには堪らない内容でした。今週末に控える『ガンダム総選挙』への援護射撃なのかも。

 

 

2.『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』感想(ネタバレ有)

 

田口章太郎「貴方はリーダーに向いていない。他の先生方のためにも教務主任辞めてもらえますか? 貴方が休まずに働けば、他の先生たちもそれに従うしかない。貴方のような自己犠牲を払ってでも生徒たちと向き合う教師が現場の舵を取るべきではない」

三浦雄二「今の学校が泥船だってことは自覚していますよ。でも、だからといって、今すぐ誰かが新しい船を作ってくれるんですか? 私たち現場の教師にできることは、一丸となって泥船の穴を塞ぐことだ。泥船であっても生徒が乗っているかぎり、沈ませる訳にはいかない」

 

『相棒』を除く現代ドラマを滅多に見ない私が珍しく、予告映像でビビッと来たのが本作。念のために録画しておいて大正解でした。これは面白い! 久しぶりにハマった現代ドラマです。イジメやモンペ、超過勤務といった学校でのトラブルの調停に派遣される弁護士=スクールロイヤーを通じて、現在の教育が抱える問題を描く意欲作……と書くと、お堅い内容に思えますが、そんなことは全くなく、非常に厳しい事案を題材にしながらも、ドラマそのものはコミカルでリズミカル。それでいて、緊張感がヒシヒシと伝わってくる構成になっています。

この緊張感の源は……何でしょう。多分、主人公のスクールロイヤー田口章太郎の意見も、それと対立する教務主任の三浦センセの意見も、共に一般視聴者の価値観とは微妙にズレているからでしょうか。普通、創作劇で異なる意見の対立を描こうとした場合、どちらか片方を視聴者の共感を得やすくしがちなのですが、それだとストーリーが判りやすくなる半面、物語の世界観が陳腐になりがち。その点、吹奏楽部による騒音被害を具体的な数値で切り捨てようとする田口クンの言い分も、自他共にドス黒いまでの過重労働を強いることでしか現場を支えられない三浦センセの言い分も、一般視聴者の価値観からするとドンびきの意見であり、どちらを肯定していいか、俄かに判断がつきかねる。一般視聴者にとっては法律による教育への介入も非常識であり、現在の教育現場が抱える問題も非常識。しかし、その非常識と非常識を擦り合わせた果てに新しい常識を求めなければならない。そうした本作のアンバランスさと真摯な姿勢が物語の魅力になっているのではないかと。

特に先週の第二話の主題となった教師の超過勤務は何年か前、聖職に携わっている友人から聞いた話そのまんまで本当に驚いた。いや、別に疑っていた訳ではないけれども、生徒が好きでないと務まらない職業ですね。是非、本作の感想を御伺いしたいのですが、こういうのは本職の方は逆に御覧にならないかもですからねぇ……。尚、脚本は『相棒』で『ハンケチ』『ジョーカー』を手掛けた浜田秀哉さん。何となく判る。

 

 

3.今季アニメ&『ゴールデンカムイ』雑感(序盤ネタバレ有)

 

アシリパ「一緒にいた男は汁物にウコを入れて食べる」

 

『よりもい』『ゆるキャン』と豊作続きの流れを継承したのか、今季も話題作が目白押しの二〇一八年春アニメ。大河の関連書籍を買わないように、基本、面白いアニメを見ても原作を手に取ろうと思わない私ですが、今季は『宇宙戦艦ティラミス』の原作大人買い&『ゴールデンカムイ』の原作をレンコミで一気読みしてしまいました。ちなみに『ティラミス』はアニメのほうが面白い。陰毛のCVが中田譲治さんってどういうことなの……? 『信長の忍び』といい、短編アニメはクオリティ高い作品が多いですね。『ポプテピ』? アレは世界一早い再放送扱いだから(震え声

現時点で一番面白いのは『SAOオルタナティブ~ガンゲイル・オンライン~』。第四話Cパートのエムさんの変貌ぶりはエシディシののたんもドンびきするレベル。原作未読なのでマジで理由が判らない。キャスティング的に凄いのは『フルメタルパニック』。前作から十年以上経過しているにも拘わらず、概ねメインキャストの変更なし。今では第一線&大御所と呼ばれる方がゴロゴロ出演しておられるので、現場の予算が削られやしないかという余計な心配をしてしまいます。そういえば、両作品共に『フルメタル・ジャケット』へのオマージュがありました。リー・アーメイ『軍曹』の逝去に慎んで哀悼の意を表します。軍隊の階級が個人名詞として通用するのはハートマン『軍曹』と草薙素子『少佐』くらいかも知れません。『ミスター』といえば長嶋か鈴井といった感じでしょうか。

さて、上記の『ゴールデンカムイ』。アニメは作画・動画を中心に辛目の意見が多いらしいですが、原作への誘導という点では充分に及第点ではないかと思います。現に私がホイホイと原作に手を出しましたからね。作品の第一印象は、

 

日本でも『ダンス・ウィズ・ウルブズ』いけるやん!

 

でした。先住民族との確執と協力、血沸き肉躍る冒険譚、財宝を巡る謀略劇、戦争の傷跡……といった俗に称するところの西部開拓劇みたいな作品はアメリカの独壇場と思っていたけれども、そうじゃあなかった。日本にもこのジャンルに関する広大無辺なフロンティアが残っていた……というか、存在に気づかされたという思いです。アリシパさんの青い目の設定は『ダンス・ウィズ・ウルブス』の影響かも。

問題点は主人公の杉元に魅力がないことかなぁ。杉元の背後関係の描写が現時点では極めて希薄で、何がスイッチになって動いているのかがイマイチ掴みにくい。亡き戦友の妻の病を治すために金銭が必要……というのも、奇人変人のオンパレードの本作の中では埋没しがちな設定に思えてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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