今日、腱鞘炎の治療で病院にいってきましたが、その待ち時間で原作の『聖女の救済』を読み直しておきました。勿論、今回のドラマ版を見るうえでの参考にするためです。結果からいうと、少なくとも前編は、
いい塩梅に映像化できている
と思いました。原作はトリックを気づかせないために色々と文章に工夫を凝らしているんですが、そこが結構、冗長になっている面があるんですね。原作に出てくる友人夫妻も、ぶっちゃけ、犯人が何時、殺人を計画したかを読者に気づかせないためのミスディレクション要員でしたが、これ、映像化すると一発で真相が露見ちゃうので、そこはバッサリと斬り捨てている。文章を映像化するうえでの取捨選択はキチンとできているなと思いました。ラストシーンでの薔薇が枯れている場面はギリギリネタバレの映像なんですが、その塩梅も丁度よかった。これは原作にはない(と思う)場面ですが、原作未読の方には真相に至る程度なヒントになっていたと思います。削るだけでなく、足すほうも巧かったです。
その一方で不満とまではいいませんが、残念に思う点があったのも事実。まず、この『聖女の救済』は『ガリレオ』シリーズの中でも好きな作品なので、二回に割けずに最終回二時間SPとかにして欲しかった。今週末には内海薫を主役にしたスピンオフ二時間ドラマが放送されますが、その枠を本編で使ってくれよ。
あと、これはいっても詮ないと判ってはいますが、原作で重要な役割を担っていた草薙、内海が登場しなかったのも残念。内海は小説版には殆ど登場しないんですが、ドラマ版を見てきた人間にとって、本作は内海の成長を窺える貴重な作品なので、やはり、登場して欲しかった。でも、ドラマ版ではムリに岸谷に内海の代役をさせない潔さを感じたので、まぁ、許容範囲か。完全に犯人に手玉に取られていましたしね。
逆にどうしても納得できないのが草薙の不在。ドラマでは犯人に惹かれるのがハライチになっていましたが、どう考えても役者不足です。原作通りだと期せずして物証を保管する役割を果たしたのは草薙でしたが、これがハライチではスケールダウンも甚だしい。まぁ、原作とドラマでは草薙のキャラも大幅に違っているんで、北村さんに突然登場されても、人物像の修正が難しいとは思いますが、それでもなぁ。