職場の配置転換に伴い、帰宅時間が大幅にズレ込んだことは何度も述べた通りですが、途端に面白い番組が増えたのは、私の日頃の行いの報いというものでしょうか。特に今季の日曜日は好きな作品のオンパレードで、帰宅すると眠たい目を擦りながら、録画しておいた番組を明け方まで見ている状況です。大河ドラマの録画実況をやめれば、もっと時間を確保できるのですが、総評書くには目を通しておかないとね(白目)。そんなワケで今回も最近視聴した作品の感想をつらつらと。
まずはこれ。
Foyle’s War: From Dunkirk to Ve-Day Sets 1-5 [D.../Acorn Media
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最初のエピソードが結構淡々とした雰囲気で、序盤はイマイチ乗り切れなかった本作ですが、第3話のゲストキャラクター(本作は1話を分割して放送しているので、本来は第2話)で名優チャールズ・ダンスが出演しているのを見て、ドハマリ一直線。タイウィン・ラニスターといい、このテの『知性と傲岸さを併せ持つキャラクター』を演じさせたら、この方の右に出る俳優さんはいないでしょう。上記したように、ミステリの構図は現時点では地味目のエピソードが多いのですが、昔、NHKで放送された英国のミステリーツアーが本作のテンションに近かったので、今では『これこそが英国ミステリの本流なのかも』と思ったりしています。勿論、フォイルの吹き替えを担当する山路和弘さんの演技も魅力の一つ。フォイルとベールさんが同じ声というのは、よく考えると凄い話だな。
原題の『Foyle's War』という言葉が示す通り、本作は第二次大戦前後の事件がテーマで、必然、戦争や兵役や移民といった事案が取り沙汰されています。『殺人』という非日常に『戦争』という更なる非日常を重ねても物語を破綻させない手腕は、流石はシェークスピアの国ですね。また、近年の欧州における移民問題を見ると、異邦人の排斥に奔る過激な民衆が描かれる本作は至極タイムリーな内容に思えますが、第1シリーズの本放送は二〇〇二年……英国人の透徹した時勢観には感嘆せずにいられません。ちなみに同時期にアメリカで制作されたドラマは『24』。見事なまでに国民性の違いが表れていますね。近年、日本では『今までは左に寄り過ぎていたので、これからは右に寄るくらいで丁度いい』という意見を耳にしますが、現在の世論が右か左かという生臭い判断は措くとして、片方に振れた分、もう片方に寄っても問題ないとかいう国民感情とヤジロベーを混同する類の発想は、本作を見れば如何に説得力に欠けるか一目瞭然。政治家肌の英国人が処理できなかった問題を日本人が対処できるとは到底思えない、という結論に到達できたことが、本作の最大の収穫でした。
次はこれ。
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事前情報を見たかぎりでは、アカラサマに好みと違う臭いがプンプンしたので、殆ど期待しないで第1話を視聴したのですが、その正直な感想は、
与力「悔しいッ……! でも、見入っちゃうッ……!」(裏声
くそぅ、面白いじゃねぇかよ。兵器は泥臭いし、血はダラダラ流れるし、キャラクターはゴロゴロ死ぬし、戦術指揮の描写は盛り込んであるし、それでいて世界観は判りやすいし、エンディングテーマは素晴らしいし……同じガンダムでも、昨年放送された『Gレコ』とはあらゆる意味で真逆をいく作品でした。これはウケるわ。
ただし、面白いからといって、好きになれるかどうかは別問題で、本作と『Gレコ』のどちらが好きかと聞かれたら、圧倒的に『Gレコ』なのも事実です。例えば、第1話でポニーテール乙のお嬢さんが主人公に身分の差を越えて握手を求める場面。これ、主人公が評したように、本当にお互いを対等と思っていたら、わざわざ握手しましょうとかいい出さないと思うのですが、それについて、
三日月「それってつまり、俺らは対等じゃないってことですよね」
とか台詞にしちゃう感性が適わない。いや、確かにカッコいい台詞だよ。でもさ、人間、そんなに簡単にカッコいい場面でカッコいい台詞は出てこないよ。第2話でもお嬢さんに『私の所為で犠牲者が出た』といわれた主人公が『たかがアンタ一人のために俺の仲間が死んだとか、馬鹿にするな』とかいうのも同じでカッコいい台詞をカッコいい場面に置いてきましたという脚本家のドヤ顔が目に浮かんでしまう。それと『お○ぱいは柔らけぇんだぞ』の台詞は狙い過ぎで逆にヒいた。
それこそ、Gレコの『人を見ちゃったら撃てないでしょ!』といった、全然カッコよくないけれども、キャラクターの必死さが伝わる台詞や、Zガンダムの『おまえの所為でレコアさんが死んだ』とカミーユに詰られた変態ノースリーブの『サボテンが花をつけている』とかいう寝言は寝ていえとブン殴りたくなるレベルの、遠回しで見ている側の解釈に委ねる類の台詞が好きな私にとっては、今回の『鉄血』は面白いけれども、正面から好きというのは躊躇われる作品。でも、面白いのは間違いないので、最終回まで見るのは確定です。『クロスアンジュ』も序盤は似たような評価をしつつも、最終回では福田監督の歪んだ製作意図に感動しちゃいましたし、本作も私のような頭の固いオールドタイプを屈服させるレベルのエンディングを期待しています。
最後はこれ。
エンジェル・ハート 1stシーズン 1巻/ノース・スターズ・ピクチャーズ
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これも放送前は地雷臭をプンプンと漂わせていたものの、実際に見てみると結構楽しめる内容でした。同枠前作の『デスノート』といい、日テレの日曜夜10時台はジャンプ系の実写化が固定枠になるのでしょうか。ちなみに世間では評判の芳しくなかった『デスノート』ですが、私は高得点をつけています。あの作品は名前と顔しか知らない相手に手前勝手な理屈で天誅を下して悦に入る一部ネット民へのツラアテを目途に作られたドラマだと考えると、物議を醸した諸々の原作改変(改悪?)にも納得できる点が多い。月のデスノートを燃やそうとした総一郎は、ネット依存症の息子からパソコンを取りあげようとする父親の暗喩なのでしょう。
さて、本題に戻って『エンジェル・ハート』の話。何を差し置いても、冴羽を演じる上川隆也さんのハマリっぷりが大きい。これを越えるキャスティングは滅多に出てこないんじゃないかなぁ。香の代名詞ともいうべきハンマーも(ちょっとちみっちゃかったけれども)キチンと使う場面がありましたし、伊集院隼人氏の『目』に関しても、まず、音に反応してから身体の動作が続くというように結構細かく演じてくれているんだ。ネットではEDが『Get Wild』じゃないことに不満の声もあるようですが、あれは『シティーハンター』の初期のイメージであって、続編&パラレルワールドとされる本作には似あわないと思うんですよね。敢えてアニメのEDから選ぶと『Still Love Her ~失われた風景~』でしょうか。原作の再現で敢えて文句をつけるとすると、冴羽の愛車のナンバープレート。何で『あっ 1919』じゃないんだよ。まぁ、この程度の文句しか浮かばないほどに原作への愛を感じる作品です。
その意味で先述した『デスノート』とは真逆の作品ですね。『デスノート』は原作や原作のファンに関心のない人が、しかし、しっかりと原作を読み込んだうえで、自分が描こうとするもののために設定を弄繰り回した作品であったのに対して、本作は物語のクオリティは俳優に一任して、スタッフは原作の再現度を高めることに集中している印象を受けます。私がストーリー以外の要素に興味をソソラレルのは滅多にないので、個人的な嗜好の点でも興味深い作品。
その他、今季視聴しているドラマ、アニメは『ザ・ラストシップ』『コンクリート・レボルティオ』『櫻子さんの足元には死体が埋まっている』『すべてがFになる』。イチオシは『コンクリート・レボルティオ』かなぁ。木下誠一……じゃない、水島監督の作品でノスタルジック感漂うSFヒーロー活劇。作中の過去と現代を並行して描く構成は『仮面ライダーキバ』を彷彿とさせます。昭和40年前後をモチーフにした本作で黒い霧が国会議事堂を覆う場面はバカウケしてしました。こんなネタ、今日日の子供には判らんだろ。
尚、アニメ化が決定した時から一日千秋の思いで放送を待ち望んでいた『北斗の拳イチゴ味』は地元では放送せず……地方ゆえにアニメファンは苦しまねばならぬ! 地方ゆえにアニメファンは悲しまねばならぬ!
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徒然感想日記 ~2015/10/18~
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