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荒川弘版『アルスラーン戦記』第28章『ゾット族の娘』感想(ネタバレ有)

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先月で放送が終了した本作のアニメ版。そして、それと入れ替わるように、今週から同じ田中芳樹原作の長編作品『銀河英雄伝説』のコミカライズの連載がスタート。私も一応、目を通しましたものの……うん、微妙。第一話で見切りをつけるのは早過ぎるかもですが、しかし、第一話が一番大事なのも事実。それこそ、本作の第一話は感想記事で述べたように、

『奴隷解放』 『狂信の害』 『王の条件』

という『アルスラーン戦記』の大基となる要素を全てブチ込んだうえで、荒川センセ完全オリジナルストーリーを見せてくれたので、その後の展開が大いに期待できた&現在でも期待に背かないクオリティを維持できているワケですが、今回のコミカライズ『銀英伝』はなぁ……結構楽しみにしていたのですけれども、OVA外伝で描かれたエピソードそのまんま過ぎて、描き手が漫画という表現媒体を通じて何を伝えたいのかが判然としなかった。それこそ、道原かつみさんのコミカライズ第一話では、不逞の平民による『貴族狩り』に遭ったラインハルトが全員を返り討ちにした挙句、キルヒアイスから借りた(ここ重要)銅貨一枚を放り投げて、

ラインハルト「恵んでやる。這いつくばって礼をいえ。それが嫌なら、自力でのしあがるんだな」

と吐き捨てて去る場面が最高なワケですよ。ラインハルトが如何なる価値観の持ち主かが簡単に理解できる。実によくできた道原さんオリジナルエピソードでしたが、そういうのがなかった。この際なのでラインハルトの宇宙一のシスコンという一面(というか殆ど全部)を思いっきり強調するくらいの冒険心や遊び心が欲しかったです。勿論、評価を定めるのは時期尚早とはいえ、来週からは見なくてもいいなぁと思ってしまったのも確かですし、荒川版アルスラーン戦記の堅実さを改めて認識した次第です。そんな本作の今回のポイントは5つ。


1.五虎将レベル

ルシタニア兵「げぇっ! ダリューンだ!」

固有名詞を関羽や趙雲と入れ替えても違和感がない……というか、アカラサマに『横山光輝三国志』が元ネタと思われる一言。台詞の主がルシタニア兵ではなく、曹操や司馬懿でも充分通じそうですね。『アルスラーン戦記無双』が発売されたことを考えると『無双』繋がりで三国志ネタでもブッ込んできたのかしら。何れにせよ、ファランギースが評したように、ダリューンを避けるのは賢明な判断。しかし、現実は往々にして非情……ッ!


2.雑兵こそもののあはれよ

ザンデ「なんたるザマか! 逃げる奴は俺が斬る! 引き返して戦え!」

上司の無茶振りの3D総天然色見本ともいうべき、ザンデ様の怒りのアイアンクロースラムが炸裂。逃げ出した兵士の首が曲がってはいけない方向に曲がってしまったように見えたのは気の所為だと信じたい。以前、感想記事で『ダリューンのガイドラインネタ』を書きましたが、今回の内容を見て一つ追加ですね。

「戦場でダリューンとまみえて死ぬ確率は150%。ダリューンに斬られる確率が100%で、逃げ出してザンデに殺される確率が50%」

といったところでしょうか。アトロパテネでの大敗北に目を奪われがちですが、総体的にパルス兵よりもルシタニア兵のほうがロクでもない目に遭っている印象強いな。


3.ヒルメスのSAKIMORI

ザンデ「邪魔するな、女ぁ!」

『神弓』の誉高いファランギースの矢を幅広の刃で防ぎつつ接近、一刀の元に彼女の馬の頸部を両断してみせたザンデの怪力。アニメ版でも描かれていたように、ザンデは膂力を最大限に活用するため、のちに大剣から槌鉾へと武器を換えるのですが、攻撃偏重で防御が疎かという相楽左之助タイプのザンデにとっては、遠距離武器に対する防戦手段として、幅広の大剣は意外に使い勝手のいい装備であったかも知れません。盾? 否! TSURIGIだッ!
この場面、ザンデの正面から矢を射ていたファランギースの乗馬の首が、鬣のほうから斬られるという構図は奇妙に見えますが、ファランギースは途中から馬に後ろ向きに跨りながら弓を番えていたのかも知れません。世にいうパルティアン・ショットという奴です。しかし、宙に舞ったファランギースを見あげるザンデの容貌。驚きというよりも戸惑いに近い表情に見えたのは気の所為でしょうか。もしかして、ファランギースははいてない?


4.たった一つの冴えたやり方

ダリューン「今まで敵を馬上から落とした回数は数えきれんが、落馬した敵を立ち直る間も与えず、殺したことはなかったのでな」

騎士道精神の精華のような言葉を口にするダリューン。流石は戦士の中の戦士、マルダーンフ・マルダーンですね。アルスラーンの兜を穂先に掲げていた敵の顔の上半分を背後から無言でぶった斬ったことはありましたが、あれは相手も馬に乗っていたのでギリセーフです。ダリューンの騎士道の基準は相手が馬に乗っているか否かで決まるようですね。流石は騎馬の民。上記したダリューンのガイドラインからの生還方法としては、戦場でダリューンとまみえた時には自分で馬から落ちれば助かる確率は飛躍的に向上する可能性大。勿論、ザンデに督戦の生贄にされる危険もありますが、ダリューンと斬り結ぶよりかは助かる確率は高いでしょう。一度、お試しあれ。


5.ぬまっち登場

ヒルメス「猿が王侯の手にかかって死ねるのだ、名誉と思え」

のちにアルスラーン麾下の遊撃軍として編入されるゾット族登場。しかし、武勇においてはダリューンに亜ぐ存在であるヒルメスに敵う筈もなく、肩から上の部分を切断されてしまった族長のヘイルターシュでした。アニメ版では脳天から股間まで綺麗に真っ二つにされていましたが、彼自身が死に方を選べる場合はどちらの最期を選ぶのか、興味がなくもありません。しかし、首級が飛ぶのはダメで人間をアジの開きのようにぶった斬るのはOKという、現在の表現規制の基準はよく判らないですね。それこそ、ダリューンのトドメを刺さない基準レベルに難解です。
そして、遂にアルフルードが登場。アニメ版で彼女を演じた沼倉愛美さんの声の印象が強く残っているので、昔よりも好きなキャラになっております。願わくば、アニメ版でカットされた、ナルサス&アルフリードVS地行術の使い手との戦いをやって欲しいなぁ。でも、それをやっていると、ラジェンドラの出番が確実に年を越しそうで怖い……。


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