ルシタニア少年兵「貴様っ、ただの町娘ではないな……!」
女装エラム「……そちらも、ぼんくらなルシタニア兵ではないようだ」
ルシタニア少年兵「ルシタニア国軍将軍バルカシオン伯爵に仕える騎士見習い、エトワールだ!」
まさかのド直球に噴いた。
第一話に登場したオリキャラの少年兵がエトワールだと! 否、エトワールだとすれば、オリキャラではなくなるじゃん。そうなると上記のエトワールVSエラムは男装した少女と女装した少年の戦いということになるのか。ああ、ややこしい。原作だとチャッチャッと終わらせていたエラムの女装イベントにもオリジナル要素を盛り込んでくる。先回の感想でも述べたように荒川センセは人体錬成のブランクから本格復帰の様子。二百十頁目の『原作最新刊五月十七日発売』という宣伝よりも衝撃ありました。ン年ぶりの新刊よりも衝撃度高いネタをブッ込んでくるとか……劇場版コナンのシャアの人の件といい、最近は本編よりもメディアミックスした先のほうが頑張っている例が多いんじゃないのか。
ただし、エトワール=エステルのなるかというと些か疑問を差し挟む余地があるんじゃないでしょうか。手元に第一話がないのでアレですが、あの当時、エトワールは十歳そこそこ。男子は兎も角、女子で従軍するのは流石にキツイんじゃないかと。まぁ、年が長けたほうが男装しにくいのも確かですが、体力的な問題は如何ともしがたい。そうなるとエトワールはエステルの兄弟で途中で戦死。エステルが兄弟の遺志を継いでエトワールと名乗る……という流れになるかも。しかし、エトワールが従軍している以上、エステルまでもが戦場に出て来る必要性はないんですよね。兄弟の死を知って、ルシタニアから駆けつけてくるというのも時間的・空間的に難しそうですし。どちらに転んでも微妙な匙加減が要求される設定にしたものです。それでも、荒川センセなので、きっと何とかしてくれるって私、信じてる!
エトワールの一件の他ではエラムが怖かった。何の躊躇もなく、カーラーンの兵卒の喉首を掻っ捌くんだものなぁ。原作では『あぁ、気持ち悪い』という台詞で陰惨さを消していましたが、漫画版では刺された兵卒がビクンビクンと痙攣している場面が描かれているんだもの。ついでに現場を見られたエラムの目の冥いこと冥いこと。『マギ』のジャーファルみたいですね。可愛いツラして、主のためには何でも殺る冥い一面を持つ点とか似ています。或いは余りにも堂に入った女装を鑑みるに、主以外の者に触れられることに女性的な嫌悪感を覚えていたのかも。ナルサスへの過度の忠誠心もアレの影響と考えると納得いきますし。この辺は田中センセが敢えて描かないだけで、一定の読者層の共通認識かも知れないことを荒川センセが言外に表現したのかもです。
次回こそはファランギース登場の予感。原作でも今回の〆の場面の次でギーヴとの邂逅がありましたので、今度こそ確定事項かと。
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荒川弘版『アルスラーン戦記』第11章『カーラーンの出陣』感想(ネタバレ有)
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