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『軍師官兵衛』第13回『小寺はまだか』感想(ネタバレ有)

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今度の土曜日からBSプレミアムで『独眼竜政宗』の再放送が始まるそうですね。この間まで『龍馬伝』をやっていた時間帯なので、もしや、次は『GO』なのかと危惧してた分、喜びも一入です。勿論、政宗の再放送が嬉しくない筈がありません。全話録画して永久保存する予定。でも、流石に『軍師官兵衛』のスタッフが気の毒に思います。毎週の放送前日に大河史上三指に入る(全作品見てきた私のオフクロ曰く、最高傑作)作品をぶつけられるとか、嫌がらせに近いんじゃないでしょうか。当ブログの感想記事では辛目の評価をつけているものの、本放送の大河に頑張って欲しいという気持ちは常にあります。現役世代が頑張ってこそ、それぞれのジャンルの未来が見えてくる筈。そのやる気を削ぐマネはイマイチ割りきれない。現在の新日本プロレスのドーム大会で、試合前に武藤VS高田戦をオーロラビジョンで流すようなものですよ。私は棚橋もオカダカズチカも好きになれませんが、そういう事態は流石に可哀想だと思います。過去の名作を放送するのは一年間、大河の新作を休んで予算や人材の確保に努める間の繋ぎにするのがスマートじゃないかと愚考する次第。
色々と書いてきましたが、政宗の再放送に文句があるワケではありません、念のため。次の土曜日が待ち遠しくて仕方がないのは確かです。感想記事も書いてみたいと思わないでもありませんが、無理をしないと決めたばかりですし、政宗と今年の大河だと、どうしても双方の比較が感想のメインになっちゃいそうなんですよね。一昨々年のような例外を除いて、それはあまりにアンフェアで非建設的かなぁと(当ブログが何時、フェアで建設的なことを書いたかという突っ込みはヌキでお願いします)。『独眼竜政宗』の記事を書くに際しては『軍師官兵衛』の感想はお休みするのが自分なりの筋じゃないかと考えています。取り敢えずは何回か様子見してから決めようかと。先述したように現役の人間や作品に頑張って欲しい。それが私の意見です。まぁ、そういう気持ちで今回の視聴に臨みましたが、


相変わらずのやる気とメリハリのない展開


でフォローしきれないんですけれども、どうすればいいのでしょうか。教えて、偉い人。今回のポイントは3つ。


1.アバンタイトル


秀吉到着に備えて、姫路城明け渡し作業に勤しむ家臣一同。身重の侍女ズを気遣う善助を意味ありげに見やる井上君。


栗山善助「何じゃ? 何じゃ、その顔は?」


そりゃあ、何時本願寺に奔るか判らん女を娶って子まで孕ませた奴が家宰気取りで同輩に指図してりゃあ、文句の一つもいいたくなるわなぁ。まぁ、それはさて置き、姫路城明け渡しがアバンタイトルの2分で終わるというのは問題あるだろ。いや、ここから発するネタで物語を描く気がないというのであれば話は別ですよ? それこそ、序盤から播磨平定に向けた軍議をガッツンガッツンやってくれたほうが嬉しいに決まっています。でも、今回は筑前ズ・ハイになっちゃったクロカンが自分の足元を見失いかけるのがメインでしたので、その前フリを等閑にされるとなぁ。冒頭でいきなり、秀吉に城を明け渡すのではなく、


クロカンの決定~黒田家家臣団賛否両論~小寺家家臣団猛反発~実際に人質出したのウチだ、ガタガタいうな~皆、しぶしぶ沈黙~恭兵パパン、息子の浮つきぶりに危惧を抱く~本作の冒頭に繋がる


こういう流れのほうが視聴者的にも『官兵衛、本当に大丈夫かよ?』みたいに感情移入できるし、本編の流れもスッキリしたと思うんですよ。先回の松寿丸の自発的人質発言を除けば、阿房みたいなミスをしない反面、タメとかカタルシスとかが殆ど描かれないのが本作の特徴。もっというと特徴がないのが特徴です。


2.今週のアラーキー


中川清秀「門徒に与する我がほうの者が密かに兵糧を運び入れているとか……」


瀬兵衛さん、チィース。右近が出たので逆に出番がないんじゃないかと思っていた中川瀬兵衛でしたが、めでたく出演。アラーキーの謀反フラグをぶったてていきました。実際、内通を疑われたのは瀬兵衛の配下ですから、出して貰わないと困るんですが。それにしても、瀬兵衛はアラーキーの謀反の原因をつくっておきながら、そのアラーキーが反旗を翻すと自分は早々に織田家に帰参しているんですよね……如何にも戦国武将らしい強かさというか。

さて、アラーキーの謀反フラグですが、実際の謀反は数週先になりそうですね。今回のフラグは時期としては好適かと。ただ、アラーキーが部下の不祥事を信長に知られるのを恐れる場面が些か微妙。誰かが先回のミッキーカーチスの謀反を事例にあげるべきでした。そうでないと何であそこまでアラーキーがビビるのかが伝わってこない。信長は怖い上司という通説に頼っているから、物語に必要な押しの一言が出てこないんじゃないかと。

信長の御前でアラーキーとミッチーが雁首揃えている場面は好きでした。二人とも謀反起こしますよというメッセージでしょうね。まぁ、いつの間にかアラーキーが本願寺攻めの総責任者扱いされていたのは何だかなぁでしたが、史実の総責任者が佐久間信盛なのでスルーされるのも是非もなし。晩年に信長に追放された所為で佐久間の後世の評価ガタ落ちだからなぁ。でも、ある程度は身から出た錆なので仕方ないよね。そちらは許容範囲でしたが、信長の鉄船の説明を聞くアラーキーにビビり入っているのは意味が判らなかった。あれ、信長は別に変なこといってないよね? 敵の糧道を絶つ方策を伝授しているだけだよね? いや、まぁ、多分、信長のあまりの進取性についていけなくなった的な表現なのかもですが、これも通説頼みの所為で肝心の一押しが出てこない場面でした。


3.今週の主人公周辺


黒田職隆「あれは幼い頃から一途なところがありまして、物事に夢中になるあまり、厠にいくのも忘れるほどでござった」


この前フリに、


竹中半兵衛「それは学問の途中で厠にいった息子をボコった俺への皮肉?」


こういう返答を期待した視聴者は多かった筈!


しかし、スタッフ、意外にもこれをスルー。

魂の叫び


これをやらなきゃ、クロカンのお漏らし設定に何の意味もないじゃん。理由もなく、お漏らし設定にされた主人公が不憫でならない。弁明の余地なし。謝れ、官兵衛に謝れ。ここでガクーンと視聴意欲落ちちゃいましたよ。

さておけない問題をムリやりさて置くとして、冒頭で描かれたクロカンの有頂天っぷりを半兵衛が戒めるというのがメインイベント。寡聞浅学にして初耳のイベントですが、これに類する逸話は確かにあるそうです。勉強になりましたが、物語上の使い方としてはどうなんでしょうか。元々、前半生のクロカンは自らの才能を恃む為人で、それが有岡城イベントの遠因でもあるのですが、半兵衛の叱責で改善されると、そこに繋がらなくなるんじゃないかと。ここはもう少し、クロカンの有頂天気分を継続させたほうが有岡城イベントとの落差が出たんじゃないかと思います。

それと、サブタイの件は秀吉の存在感で何とか乗り切ったとはいえ、ラスト付近でのクロカンと半兵衛の会話には心底萎えた。


黒田官兵衛「天下統一がなれば戦はなくなります」

竹中半兵衛「さよう、この乱世を天下太平の世へと作り変えるのです。そのために我々軍師は働くのです」


出ました、太平の世。


主人公の武力行使を正当化する魔法の言葉。信長麾下にいる以上、天下統一というヴィジョンへの共感はあったでしょうが、別に戦をなくすために天下統一を目指していたワケじゃないからね。いい加減、嫌なんだよなぁ、この言葉を大河で聞くのがさぁ。


ツベコベツベコベと!

何故、素直に『天下取ったる!』と言えんのだ!


『徒に比較をしたくない』という冒頭の発言と完全に矛盾して恐縮ですが、再放送が始まる『独眼竜政宗』は主人公の『死ぬまで天下を狙ってやる!』という大人気なく自重しない気概に溢れていたじゃないですか。大名と軍師(戦国時代に軍師という概念があったこと自体に疑問ですが)という立場の違いとはいえ、軍師は軍師で『オラが殿さまに天下を取らせたい!』という行動基準で描いたほうが自然だよね。そういった価値観を再確認する意味でも『独眼竜政宗』を早く見たいという気持ちで一杯ですよ。早くこいこい土曜の六時。


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